無能力者(レベルE)のオービット・ゲーム 2 (オーバーラップ文庫)

【無能力者(レベルE)のオービット・ゲーム 2】 翅田大介/伍長 オーバーラップ文庫

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激突! 倏依(エレクトロキネシス)畛箸い療刑融!!

「さすがは半端チームの『エンジェル・フェイス』ですね」
アルテミシア宇宙学園の公認チームとして存続が決まったソラたちだったが、実習生として赴任した『瞬星』アオがソラにべったりで、不機嫌を隠せないソフィーとフレーナ。
そしてアオが『出来損ない』に関わっていることを不愉快に思う学園の天才児リズ・ポーターが自らのチームを率いて挑戦してくる。
倏依(エレクトロキネシス)瓩箸いΥ少な能力を使うリズに対し、迎え撃つソラ。
度重なるイベントで騒然とする学園だったが、更にその裏ではソラを狙った陰謀も進行していた。
止まらない&無重力下(ノンストップ&ノングラヴィティ)バトルエンタメ第二弾!
ドSだーーっ! この主人公、ガチのドSだーー!! やばいやばい、主人公のソラくんが筋金入りのサディストだった件について。なんちゃってSじゃないですよ。こいつ、マジモンだw 宇宙最高の頭脳と呼ばれる女性によって仕立てあげられたソラのメンタリティは、もはや精神汚染か人体改造されたと言っても過言ではない強化がなされていて、魔改造もいい所。もう人類のそれを逸脱してしまっているのじゃないか、というぐらいに凄まじい次元で鍛えあげられていて、それこそが何の能力持たない彼の強さの源でもあるのだけれど、そこに至るまでに虐待を通り越して虐殺に近い精神強化の為の訓練というかサバイバルというか死んでも生きろな状況に叩きこまれてイジられてしまったせいか、恐ろしいまでの嗜虐性が備わってしまい、見るも無残なサディストの出来上がりである。
尤も、敵味方問わずに撒き散らされるS性ですが、敵はともかく味方に対しては心を傷つけるものでも屈服させるようなものでもなく、からかい半分にいじって来るぐらいの程度なんですが……それでもこれは酷い(笑
普通の年頃の男の子が持っているようなシャイな部分とか純真さなんかは鼻紙に包んでポイされてるような人間なので、いじられるにしてもそれはもう草葉の陰で涙してしまうそうなほど残虐非道な為さりように、ソフィーやフレーナの悲鳴がひっきりなしに響き渡ることに。もうご愁傷様です、ぐふふ。
意識せずに、なんでも受け入れちゃいますよ状態のアオに対しては、見事なくらいの放置プレイを各所で決めにキメまくってるあたり、そのどSっぷりはフルブースト状態。
ともあれ、このソラの精神的な強さというのは、とてもじゃないけれどマトモなものではないんですよね。正気の人間が保持できる強靭さではありえない。元来のものではなく、後天的に強化されたもの、という点でもその異常性は際立っている。どう言い繕っても、狂気の産物であり、イカレている存在なのである。
もっとも、その狂気もイカレっぷりも不安定さがかけらもなく、見事に制御されているあたりが味噌なのである。暴走しがちな狂気よりも、完全にコントロールされた狂乱の方が、怪物性は跳ね上がるのである。怪物性とは得体の知れなさであり未知であり、だからこそ悍ましく恐怖を生み出す泉足り得る。それが主人公に備わっている場合、この悍ましさは正しく敵に向けられるので、物語的にはややダークサイドな痛快さが保証されている、と言ってもいいんですよね。
さらに、主人公のソラだけがその部分で突出しているのかというとそうではなく、ヒロインの一人のアオもまた、同種の狂乱を内包していることが、作中で語られている。黒幕サイドの人間ですらビビるような、根本からイカれ狂ったキャラクターが主人公とヒロインに配置されている、というのはこう……ゾクゾクするような仕込みなんですよね。この手のイカレたキャラというのは、逆にその攻撃性や危険性が味方に牙を剥くことは殆どないので、その手の不安感については振り回される必要なさそうですし。まあ、パックリ頭から齧られそうな牙から伸びた舌にペロペロ顔を舐められてよだれまみれになりながら、涙目になって悲鳴をあげさせられるくらいの茶目っ気は、ソフィーたちヒロイン衆は覚悟しておかないといけないかもしれませんが。ソラもアオも、その辺り嬉々として弄びに掛かりそうな人たちですし。いかん、この幼馴染コンビ、敵にも味方にも危なすぎるw

と、表紙なんですけれど、てっきりアオなのかと思ってたら、新キャラだったんですね。アオが転入ではなく教育実習生として来校した為にチームの新メンバーになれなかった為に、違う新メンバーが必要なのは冒頭の展開からも自明だったのですが、そうかー、この子かー。
いかんぞ、ただでさせ一生懸命背伸びして頑張ってきて、周りの目から本当の自分を鎧って踏ん張って頑張ってきた小さい娘が、それらを全部脱ぎ捨てたら、むしろ針鼠になって生きてきた分中身は無垢なままなので、そこにドSにいじられる環境に置かれてしまったら、即座に染まっちゃうじゃないか……うんうん。
いやマジで、仮面を脱いで天才児ではない歳相応の顔で現れたリズは、はかなげで無垢そうな幼女だったので、こんなヤバい男のもとに置いておいていいものかと真剣に危ぶむほかなく……そんなリズをソラの魔の手から守るべく、ソフィーとフレーナが自ら盾となって庇おうとしてドツボにハマっていく様子が目に浮かぶようであるw

1巻感想