赫竜王の盟約騎士〈3〉 (一迅社文庫)

【赫竜王(イグニス)の盟約騎士 3】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

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王家の秘密を探っていた剣聖の一番弟子は王国で秘密裏に進められていた新世代の竜狩りの育成計画の存在を知るが、気配に気づいた完成形の新世代竜狩りたちとの戦いで行方不明となってしまう。ジルたちは王国が作った新たな竜狩り部隊の脅威から学院を守りきることができるのか、そしてジルに強い復讐心を抱く新世代の竜狩りのリーダーの正体とは。竜を狩って強くなれ!手島史詞の竜狩りファンタジー第三弾登場!
こうなってくると、フィーネの退場がちょっと早かったんじゃないかと思えてくる。彼女の死がこれほど重く多くの人に影響を与える事になるにしては、彼女、ジルたちと知り合ってから退場するまであんまり間がなかったんですよね。交流していた期間が短かったんで、どうしても通り過ぎていったような感覚しか残っていなかったので、あそこまで彼女の死がジルに後悔とともに焼き付いているとは。
そもそも、そこまでジルが責任を感じるところじゃないもんなあ。もっと、本格的にフィーネを利用して殺す形になっていたら、罪悪感の抱きようもあるってなもんだけれど、あれはちょっとした錯誤のようなもので、別に彼女を死なすつもりなんて毛頭なかったわけですし。
その意味ではジークリットのそれは完全に八つ当たりも良いところで、あそこまでショックを受けてしまうジルはどれだけ人が良いというべきか、復讐という行為に神聖さを抱いているというべきか。ジルや咲夜が抱いている復讐と対照とするには、ジークリットのそれはちょっと理不尽すぎてパワーが弱かった気がします。
それならそれで、もっとビシッと復讐を否定する調停者たるティナが切って捨ててくれればよかったのですが、丁度ジルの変節を感じ取った咲夜が不安定になっているところで、彼女の迷走と暴走が重なってしまったせいでその辺のテーマの回収も、ちとあやふやになってしまった感がある。
今回、咲夜が一人ティナの影響を受けて破滅の道から外れつつあるジルに置いてけぼりにされて、彼女自身破滅型の生き方を貫くか、それともジルと同じく違う道を行くか。甘い破滅に身を任せるか、それとも厳しくも眩しい希望の道へと踏みしめるかの岐路に立つ、という彼女の主役ともなる話だったわけで、コチラも蔑ろにするわけにはいかなかったのだろうけれど。
結局咲夜って、最初からもう復讐者としてよりも女としてジルに寄り添っていた節があるので、自覚して認めるか否かの話ではあったんですよね。依存からの脱却、とも言えるのだけれど。でなきゃ、あれほどフルフルにほだされないですよ。もうちょっと咲夜にはフルフルとイチャイチャしてほしくもありましたが。

まあこれ、まんまとティナの圧勝ムードなんですよね、これ。ジルも、ティナを敵とか言いはるのもそろそろ無理が出てきてますよ。

シリーズ感想