VRMMOをカネの力で無双する4 (HJ文庫)

【VRMMOをカネの力で無双する 4】 鰤/牙/桑島黎音 

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才能の違いが戦力の決定的差でないことを教えてあげるわ

ついに美人デザイナー・ネムとゲーム内のファッションショーで直接対決をすることになったアイリス。しかしその正体とは、アイリスがデザイナーとして憧れていた人物、芙蓉めぐみであった。
自身に才能が無いと思いつつも、イチローの助けをきっぱりと断るアイリス。
あがき続ける彼女のとった、自身の力のみで勝利するための手段とは――。
アイリス、本当に面白いキャラクターになったなあ。実質、この近辺のエピソードにおいては主人公扱いだし。御曹司は何がどうあろうと無人の野を行くが如しなので、彼が主人公だと物語を浮き沈みさせにくいだろう事はよくわかる。。原因にして根源であり概ね責任はこの人にあるのだけれど、この人が解決しようとするとバッサリ一刀両断して身も蓋もない事になってしまうので、もう御曹司は各所を突っつき回して刺激して回る役割に徹してるんですね。加えてこの人、周囲の人間が自分の思惑を超えて動いていく事に関して、見てても思わず苦笑してしまうくらい嬉しそうにしていらっしゃるので、多少ヤンチャしてもまあ御曹司だし仕方ないかあ、という気分にさせられてしまうのは、なんともかんとも。あれで、意外と愛嬌があって憎めない人なんだよなあ。
それを感じているのは、彼と直接関わることになるアイリスたちも同様なのか、あれだけ振り回されているにも関わらず、何だかんだとあんま彼に文句言う事はないんだなあ、不思議なことに。
と、今回はそんな御曹司は余計なことはあんまりするな、と言われているので割りとおとなしく?事態の外縁部を自由に散歩していらしていて、本筋はあくまでアイリスの苦闘であります。御曹司の直接の助力を断り、自分の力だけでネムと対決する事に決めたアイリス。しかし、その対戦相手であるネムの正体が憧れのトップデザイナー芙蓉めぐみである事を知って、そのメンタルずぶずぶと深海に沈むことに。いやあ、この娘のテンションの上がりっぷりと下がりっぷりが実に豪快で、見てて本当に面白い。感情が浮き沈みしやすくて精神的に不安定な娘って、普通はかなり面倒くさいタイプなんだけれど、アイリスって浮くにしても沈むにしても勢い良く一直線、まかるときもカーブじゃなくて、90度でカックンと盛大に折れてくれるので、上がるにしても下がるにしても何故か見てて気持ちいいんだなあ。しかも、その折れ方が忙しないものだから追っかけているだけでなんだか笑えてくる始末。彼女の夢であるファッションについては自他共認める才能の無さなんだけれど、実はしょうもない才能については幾つも天才的なものを持っていて、何気に多芸多才だったりするんですよね。望んだ夢には才能なくて、その人にとってどうでもいい才能はあふれるほど持っている、というのは一種の悲劇なんだけれど、アイリスの場合だとむしろ喜劇に見えるのは、本当に持ってる才能群がしょうもなかったりするのもあるし、彼女のファッションの才能の無さに対するコンプレックスや苦悩というものが陰湿ではないからなのでしょう。
才能がないとわかっていても、ネムのような本物に真っ向から逃げずに挑むような負けん気の強さ。馬鹿な事をしているとわかっていても、バカを貫き通すのはちょいとカッコイイですよ。負け犬根性に屈さない女の子の意地ってのは、痛快じゃあないですか。
御曹司に頼らないと決めたから、勝負に必要なお金も自分でバイトして貯めて、大半が無駄になると承知しながらせっかく稼いだお金をガチャに投じて、無為にお金を失って七転八倒。みっともないほど悶え苦しみながら、それでもヒーヒー悲鳴をあげながら這いずって突き進む。
なるほどなあ、御曹司が彼女のどこを気に入ったのか、は実のところよくわからないのだけれど、アイリスという女の子の魅力については、充分伝わってくるエピソードだったんじゃないかと。みんなが何だかんだと彼女に力を貸してくれたりアドバイスしたり、と手を差し伸べてきたのもわかるし、桜子さんも、体張るはずだ。
いやでも、あのネムとの舌戦でのアイリスのセリフ回しは笑ったなあ。どこからあんなセリフポンポン出てくるんだろう。
キャストオフ! はもっとじっくり見たかったですけれど。うん、カラー口絵に差し込んでくれただけでも充分か。
しかし、桜子さんはアイリスには結局正体バラさないのね。だんだん、いつリアル桜子さんの事をアイリスが知るのか気になってきたぞ。
そして、ネムさんこと芙蓉めぐみさんのあまりのチョロさに絶句。この人、本当に、もうどうするよ(笑
これ、アイリス何気に超絶的なコネが手に入ったって事にもなるんですよね。アイリスにそれが活用できるかは怪しいところですけれど。

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