ノーブルウィッチーズ 第506 統合戦闘航空団 飛翔! (角川スニーカー文庫)

【ノーブルウィッチーズ 第506統合戦闘航空団 飛翔!】 南房秀久/島田フミカネ 角川スニーカー文庫

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「侯爵家なんて言っても分家だし、たいしたことないんだよね」
肩を竦めるのは黒田邦佳。
「その血にふさわしい振る舞いができぬのなら、貴族を名乗る資格はない! 」
豪語するのはハインリーケ。全く異なる二人のウィッチが、第506統合戦闘航空団に配属されて……!?
ノブレス・オブリッジを貫くべく、二機の乙女が蒼天を翔け巡る!

島田フミカネ氏完全監修! ! 大人気アニメ『ストライクウィッチーズ』待望の新シリーズが始動!
邦佳ちゃん、めっちゃいいキャラじゃないですか!! ストライクウィッチーズの宮藤芳佳も、隊のみんなから好かれる愛され系でしたけれど、この黒田邦佳ちゃんは物怖じしないネアカ系で人懐っこい子犬みたいにじゃれついていくタイプで、かなり難しい性格揃いの第506統合戦闘航空団のみんなから可愛がられるという偉業を達成している。いや、マジでこの航空団、面倒くさい性格の人ばっかりじゃないですか。プリン姫ことハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタインばかりが取りざたされますけれど、他の部隊で抗命や上司への反抗など納得出来なければ断固として譲らないアドリアーナ・ヴィスコンティや、B部隊の筋金入りの貴族嫌いのマリアン・E・カールとか、狷介と言ってもよい性格ですし、イザベル・デュ・モンソオ・ド・バーガンデールやカーラ・J・ルクシックなんかもかなりイイ性格してますし、相当厄介な人材の揃った隊ですよ、これ。
そんな人付き合いなんて鼻を鳴らしてそっぽを向きそうな面々から、こぞって構われて、時には取り合いまでされる邦佳ちゃんがどれほどの逸材か。ノーブルウィッチーズは、貴族主体で欧州全土から(無理やり)集められたA部隊と、アメリカから送り込まれたB部隊の2つの部隊が基地も2つに別れて協力もせず事実上いがみ合ってる状態なのですが、邦佳ちゃん着任の際に間違ってB部隊の方に最初行ってしまい、その際にB部隊のアメリカ娘たちとも仲良くなってしまうのですが、良くB部隊の面々からこっちに移籍しろ、と誘われてる、とエピソードが以前から語られてましたけれど、冗談交じりにこっち来なよ、というニュアンスじゃなくて、これ読んでるとかなりマジで勧誘してるんですよね。それを、プリン姫やアドリアーナが抱え込んで牙を剥いて威嚇しているような有り様で……。ガチ取り合いですw
いやいや、まさかあのプリン姫がここまで邦佳ちゃん気に入る事になるとは思いませんでした。貴族の誇りなんてどこへやら、超庶民派でちゃっかり者の脳天気娘な邦佳ちゃんってプリン姫とはかなり相性悪そうだし、邦佳ちゃんがちょっかい出してもプリン姫の方があんまり親しまないかなあ、と思ってたんで、二人きりの夜間航空戦のお話なんか、物凄く顔がニヤけてしまいました。デレたプリン姫の強力極まりない事。

それにしても、期待以上に面白くって、キャラクターも個性的でよかったなあ。南房さんは、やっぱりノベライズよりもオリジナルで書いた方が段違いに面白いですよ。ストライクウィッチーズの小説版も、アニメのノベライズ部分よりもオリジナルの話の方が俄然面白かったですし。
プリン姫以外は、まだハッキリとしたイメージが確立していないキャラばっかりだったと思うのですけれど、それぞれこの一冊でバッチリキャラ立ててきましたねえ。イザベルの笑えない冗談は本気で笑えないし。面白くないのではなくて、ネタがやば過ぎて笑うにしても引きつった笑いが、というパターンで。これって毒舌の範疇に入るんだろうか。押しのキツイプリン姫とアドリアーナの影に隠れがちですけれど、イザベルも相当ですよ、これ。ただでさえ、男の子として育てられたボクっ子で、アイザック君なんて呼ばれてる個性の持ち主なのに。邦佳ちゃんもあれフリーダムですし、このメンツをまとめるグリュンネ隊長の不憫さがすさまじいことに(笑
この人、思いっきり愛玩動物系で押しも弱いし隊長なのにみんなあんまり話聞いてくれないし、と見てて可愛そうになってくるくらい大変そうで、いやもう笑った笑った。別に蔑ろにされてたり軽く見られているわけではなく、これであの気むずかしいメンツに認められ、尊敬すらされているのですけれど、傍から見てると扱いが……w
一方でB部隊なんですけれど、度肝を抜かれたのがB部隊の隊長を務めるジーナ・プレディ中佐である。この人、アンラッキー・プレディと呼ばれるほど何度も不幸に見舞われて、事故で重傷を負う事も度々、という大変な目に何度も合ってる人なんですけれど、その実力たるや固有魔法の【ホークアイ】という能力がそのまま異名となってるほどの狙撃の名手であり、戦闘巧者。作中でA部隊とB部隊の模擬戦の話があるんですが、このノーブルウィッチーズのメンツの中ですら別格じゃね? と思ってしまうほど尋常じゃない腕前を見せてくれるんですよね。プリン姫もジーナ隊長には完全に一目置いてるし。
邦佳ちゃんも脳天気だけれど、あれで結構古参兵で、紅海での激戦ではユニット片肺で負傷した仲間を背負ってネウロイの制空権を突破して味方の基地まで帰還したというエピソードの持ち主で、歴戦のパイロットなんですよね。ガリア防衛の為に編成された部隊とはいえ、相当の古強者揃い。戦闘面でもビシッと引き締まってるし、逆に日常編でも邦佳ちゃん中心に実に楽しく引っ掻き回してくれて、いやあこれ一気に506も好きになってしまいましたよ。これがこのままシリーズ化してくれるのは、滅茶苦茶嬉しいし、先々が楽しみです。
私の中で506ブームが来そうな勢いですよ。

南房秀久作品感想