黒鋼の魔紋修復士11 (ファミ通文庫)

【黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グリフィコス) 11】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫

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カリン、シャキーラを一蹴しアーマッドを去ったオルヴィエトとルキウス。重鎮であったリヒテルナッハ家の罪を問う声は大きく、連座としてディーも獄中の身となってしまう。誰よりも信頼していたふたりを失い捨て鉢になるディーだが、彼の下を訪れたカリンから、同盟各国で起こる破壊活動にルキウスが加担していること、さらに自分への恩赦のため、ヴァレリアがイサークと婚約するという噂を知らされる。気持ちの揺らぐディーは決死の行動に出るが…!
えええっ!! ええんかい! 別にかまへんかったんかいっ! 衝撃の事実すぎて、変な笑いが。ちょ、この設定ってわりと重要というか、揺るぎないものだと思い込んでいただけに、シャキーラさんのあまりといえばあまりのぶっちゃけに、ひっくり返ってしもうたわ!
これ、絶対ディーとヴァレリアに教えたらいかんですわ。今のこの二人にこんな事実を教えてしまったら、歯止めがなくなるぞ。この男ならやる。今の此奴なら、躊躇いなくやる!!
しかしもう、嬉野さんの書く主人公というのは、前作の【彼女は戦争妖精】の伊織くんといい、マジ凄いわ。ライトノベルの主人公で、これほど女の扱いというものに対して容赦ないやつ、他に居ないよ。始まった時はさ、ディーとヴァレリアが、ラブロマンスに至るなんて有り得ねえ! と、喚いてしまうくらい二人の仲って最悪だったんですけれど、だからこそ嬉野さんならこの二人の恋愛、書くだろうなあと感じたんですよね。その予想というか直感を、思わず「やっぱり無いんじゃね?」と否定してしまいたくなるほど、二人の断絶は凄まじかったんですけどね。あれだけ容赦なく、ヒロインこき下ろす主人公とかw
でもでも、このあり得ないからこそやってくれたら面白くなるに違いない、と感じたのは間違いじゃありませんでした。最初の断絶が大きければ大きいほど、相手を認め、受け入れ、それがロマンスへと発展した時の激烈さ、濃厚さたるや、生半可なもんじゃありませんぜ?
だいたいあのディミタールが、普通にデレるとお思いか。あの男が、恋する男の子なんて可愛い顔見せるもんですか。デレたらデレたで、凄まじい獰猛さであるこの男。デレ方が人喰い狼みたいな獰猛さって、どういう主人公だよ。ヴァレリアが自分を助けるためにイサークと婚約するという噂を聞いた後のディーのとった行動を目の当たりにした時は、もう呆気にとられてしまいましたがな。あの冷徹と言っていいくらい冷静で、クレバーだった男があれですよ、これですよ。完全に理性焼かれてるし。頭おかしくなってるし。メーター振り切るにしても、ぶっちぎりすぎである。でも、こういう獰猛さはやっぱりカッコイイのよ。若いなあ、いいなあ。あれでディミタール、思いっきりテンパってるんですよね。テンパったら襲い掛かってくるって、獣か!!

しかし、シャキーラ様も思い切った手をとったもんだ。前回いい所なかったのを大いに挽回してくれた。さすがにここで国内でグダグダやってたら、致命的な事になりそうでしたもんね。イサーク王子の小細工といい、国王陛下の一刀両断の喝破といい、色々と煮詰まり行き詰まりかけてた雰囲気に、風穴があけられたような気分でしたよ。淀んでいた空気が吹き払われましたなあ。
同時に、これ王子とベッチーナのフラグが確定したような。イサーク王子とヴァレリアの婚約話、こうしてみるといろんな方向に影響力及ぼしてたのね。
でも、こうなるとルキウスの方がちょっとかわいそうになってきた。あんな状態になってるとはなあ。危なっかしいどころじゃないですよ。

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