スクールライブ・オンライン 5 (このライトノベルがすごい!文庫)

【スクールライブ・オンライン 5】 木野裕喜/hatsuko このライトノベルがすごい!文庫

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妄執に捕らわれた生徒会長・会堂の奸計により、《心の欠片(フラグメンツ)》、そして零央に関する記憶を封印された沙耶。
失われた記憶を取り戻すため、零央たちは高レベルのボスモンスター【Dullahan】の討伐に挑む!
絶望的なレベル差、数々の制約、参加メンバ―の不足、圧倒的に不利な状況下、あがき続けるギルドメンバーたちだったが、零央と沙耶は迷いの中にいて――。

やっぱり記憶のない沙耶は沙耶じゃないわ、というのが小学校時代での彼女の自由さから、復活して即座にやらかしてくれる暴れっぷりでいやというほど実感させられました。記憶の無かった頃の沙耶の大人しいこと殊勝なこと。零央の記憶がないだけで、これだけキャラ変わるのか、というくらいに。そりゃあ、零央のツッコミスキルも鍛えられるというものです。沙耶が和ませてくれないと、これだけ雰囲気暗くなるのか、と暗然としてしまうくらい鬱々とした空気だったもんなあ。滝先輩も、今回はおふざけに興じるわけには行かずに、ムードメーカーがいない状態でしたからね。
でも、雰囲気が暗い分、シリアスな展開の中でこそ男連中のカッコよさが際立ったような気がします。特に、剛田先輩がガチであんな事になるとは思わんかったよ! 剛田先輩みたいなキャラが真っ当に報われたのって、もしかしたら初めてみるかも。あったとしても、本命相手に撃沈されたところを前から想いを寄せていた人が居てその人と結局結ばれる、みたいな救済措置が大概だったと思うのよね。やったよ、剛田先輩、あんたやり遂げたんだ! 漢を見せて、その男気が報われる、というのは見ていても清々しいというか嬉しくなるというか。良かったね、と言わせていただきたい。しかし、美女と野獣ならぬ、少女と巨獣が成立するとは。世界は可能性に満ちてるなあ。ユマって、当初はこの作品のメインヒロインなのかと思ったくらいの登場の仕方をした子だったので、なんとも感慨深い展開でありました。
んで、も一人のMVPはやはり忍足隼人でしょう。それまでの印象はやはり良くなかっただけに、この際仲間になるのは仕方ないにしても、印象の悪さを挽回するにはよっぽど頑張らないと、と感じていたのですけれど……これはその「よっぽど」を稼いだんじゃないですか? 零央の格好悪さをこれでもかと蹴っ飛ばして刺激して、ついにこの鈍感を芸にまでしてしまった男に自覚を促す役割と、意識して果たしてくれた上で、後腐れない見事な玉砕を見せてくれた上で、神鳴ちゃんにキッチリ筋通してみせてくれたわけで。いや、素直にカッコイイと思ったよ、忍足くん。案外面倒見も良さそうで、ぶっきらぼうさが可愛げにも見えてきたし、良いキャラになったんじゃないだろうか。零央のツッコミスキルにも対応出来そうだし。うん、神鳴ちゃんがときめいてしまったのもわかるわかる。
周到に準備を重ねながらも、レベル制限を受けてほぼ無理ゲーに等しい高レベルボスに挑むことになった今回のバトル。対デュラハン戦は最終形態のハチャメチャっぷりも合わせて、非常に盛り上がって面白かったよ。ゲーム部分もキッチリ面白く仕立ててくれて、満足満足。
ひとまず山場となった沙耶の記憶の奪還が終了して、そのまま高天原との対決かと思ったら、今回ずっとシリアスだった分、息抜き回を設けるのか。ここで緊迫感を解いてしまうのはどうかとも思うんだけれど、この作品はキャラを伸び伸び明るく動かしていた方が抜群に面白いのは間違いないので、それはそれで楽しみに思ってしまうわけで、難しいねえ。

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