ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ (ファミ通文庫)

【ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ】 志田用太朗/三月 ファミ通文庫

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鼓膜から脳へと、快感が駆け巡る―!聞こえてきたその理想の声に、俺は“ひと耳惚れ”をした。生まれつき人一倍耳が良かったせいで不遇な時代を過ごしてきたこの俺が、遂に出会った美声の君!その声の主だと思われる美少女を追ってノータイムで入った朗読部は、先輩も優しいし同級生のイケメンも案外いい奴…なのに、なんでトラブルばっかり起きるんだ!?第16回えんため大賞優秀賞受賞作、音利きで万事解決!超聴覚系スクールコメディ、誕生!!
むむむ、希少な方言少女の方言を聞いて気分を悪くするとは何事ぞ、と憤ってしまったのだけれど、どうやら誤解だったようでよかったよかった。露骨な方言、というかその喋る方言の地方の印象をそのままキャラに当てはめているようなキャラはあんまり好かないのですけれど、あくまで方言とキャラの性格を別としているのなら、ヒロインの使う方言というのは素晴らしいチャームポイントになると思うんですよね。個人的には中国から四国らへんのが好みだったりするわけで。伊予弁? いいじゃないですか、素敵です。ヒロインの子は、凄くはんなりとしていて、しゃべり言葉も使い方がキュートなんですよ。特に「だんだん」は使いドコロといい、良かったなあ。こんなんアクセント直さんでいいですよ、そのままの君で居て?
あらすじにはスクールコメディと表されていますけれど、実際は5つあるエピソード全部で日常の中で遭遇した謎を解いて、起こったささやかな事件を解決していく学園日常ミステリーでした。ミステリー研究会でも文芸部でもなく、朗読部でありながらなんで謎解きをやっているのかはそれこそ謎なんですけれど、当人たちは起こっている問題を解決するために動いていたら結果として現れた謎を解き明かす、という作業をしていた、という形になるので、決してミステリー小説バリに探偵になりきって謎解きをやっているつもりは特になかったと思うんですよね。音好くんも、全然探偵っぽくなかったですし。耳は良くても、頭がキレるタイプではなかったからなあ。基本的にみんなで情報を集め、意見を寄せ合い、わいわいやっているうちに、例えば音好くんの耳が良いという特徴が役に立って真相にたどり着いたり、というように一人の頭脳が冴え渡って複雑に絡み合った謎を快刀乱麻を断つがごとく解き明かす、というスタイルではなくて、みんなで知恵を寄せ合い、足で稼いで答えを見つけ出すというスタイルのお話だっただけに、終始和やかな雰囲気だったように思います。全然肝心の朗読はしてませんでしたけれど。
しかし、途中まで実は保健の先生のえみさんが真ヒロインじゃないのか、と疑ってしまうくらいの音好くんとの絡みの多さはなんともはや。向日葵さんが素顔を明らかにするまで結構間がありましたからねえ。方言少女というのが発覚してからは、ギュンギュンとプッシュされてはきたのですけれど。相方となる友くんはトモくんで、実は女じゃないの?という疑惑が終始つきまとってましたし。ラブコメ、というにはそっちの空気はちょっと薄かったか。