聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》11 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》 11】 あわむら赤光/refeia GA文庫

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諸葉に迫る、刺激的な誘惑の数々! そして現世最高の発明家《工廠》アーリン=ハイバリー、遂に登場!! だけどその正体は……? ソフィアとも緊急密着するアメリカ編の第11弾!!

「ウチを救えるのハ君しかいないんダ」
アメリカ支部長アーリンたっての願いで、ソフィアと共に渡米することになった諸葉。果たしてそこでは――
「NYの夜を一緒に満喫しないか?」
なぜかアメリカ美女たちによる、刺激的な誘惑に次ぐ誘惑が待っていた!
手段を選ばぬ引き抜き工作をしかけてくる彼女たち。だが「家族愛」を重んじるアメリカ支部の真意を知った時、 諸葉は彼女たちの為、誰にも為すことのできぬ戦いへと自ら身を投じる――

放て、想いを束ねし必中の超撃!!

魅惑のお姉様たちと行く真冬のニューヨーク縦横無尽、オトナのレクチャー満載な旅情譚!
ソフィアたちと心も身体も緊急密着する、超最強学園ソード&ソーサリィ第11弾!!
あれ? 何この地味目の新キャラ。と、思ったら、この娘がアメリカ支部長なの!? え? アメリカ支部長って女だったの!? 何を勘違いしていたのか、自分、アメリカ支部長ってドワーフみたいなオッサンなんだと思い込んでました。なんでそんな風に思ってたんだろう。以前から、アメリカ支部だけは各支部の勢力争いから距離を置いているというか、アーリンが戦闘向きじゃないクリエイターかアーティスト気質の人で俗世に関心がないみたいな話で、今まで殆どスポットが当たっていなかったから、というのもあるんでしょうけれど。
しかし、前々からアメリカ支部の大人しさというか、自己主張の薄さは気になってたんですよね。だって、アメリカですよ。あの派手で目立ちたがり屋で、というのは偏見かもしれませんが、とにかく前に出たがるアメリカさんがなんとも大人しいのは不思議な感じだったのですが、今回諸葉がアメリカ支部に招かれて現地に赴くことで、その様子を目の当たりにすることが出来たわけで……いやいや、なるほどなあ。アメリカらしくない、と思っていましたけれど、アーリンの元に集うこのアメリカ支部という組織は、これはこれでアメリカらしいの一つの側面とも言えるのかもしれない。
あの大国意識剥き出しの傲慢な、しかし頼もしくも強い「アメリカ」というのはやっぱり、アメリカ合衆国の政府(ガバメント)としての、国家としてのそれであるわけで、しかしアメリカ支部はアーリンの意向と努力もあってか国からの干渉を徹底的に配した独立性を保っている。それが、大きなマクロとしてのアメリカではなく、ミクロなアメリカの精神性を体現してる感じなんですよね。ステイツとしてのアメリカじゃなくて、ファミリーとしてのアメリカ、とでも言うのか。アーリンが、組織への束縛を極端に忌避しているのも、そのあたりが大きいのでは。
結果として、面白いことにアメリカ支部は他の5つの支部と比べても極端に組織色が薄い集団になってるんですよね。これだけミニマムな集団で、よくあの広大なアメリカ大陸の防衛を賄えているものだ、と思う所なんだけれど、組織色が薄いのとは逆にチームとしての連携力は素晴らしく高いように、フットワーク軽いんだろうなあ。
なんか、よく知っているアメリカを、違う立ち位置から見たような新鮮なアメリカ感がなかなか楽しいお話でした。気分的にも、諸葉のアメリカ旅行編というか、ホームステイ編みたいな感じでしたし。
アーリン支部長も、もっと腹に一物抱えているタイプなのかと思っていただけに、本当に純粋に芸術家肌の、しかし真摯に身内の事を思いやるファミリーの長らしい人だったのは良い誤算でした。これで、本当に裏でなんぞ画策してそうな黒幕っぽいのって、日本の支部長だけになっちゃったじゃないですか。他はイギリスのエドワードも、フランスのシャルルも、中国の老師も、ロシアの雷帝もほぼ諸手を挙げての灰村派になっちゃってたところに、トドメでアメリカも支部丸ごと諸葉サイドになっちゃいましたしねえ、これ。
今回のアメリカでの魔神級の出現予知の、どうも情報がわざと後出しされてたんじゃないか、というようなタイミングとか見ても、どうも日本支部長がわざとやってるんじゃないか、という向きがありましたし、こりゃ獅子身中の虫はやっぱり日本の方になりそうか。
実際、諸葉がアメリカ行ってるタイミングで、日本でラストにあれですもんね。完全に陽動だ。

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