絶対城先輩の妖怪学講座 六 (メディアワークス文庫)

【絶対城先輩の妖怪学講座 6】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫

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「『鬼』の正体は探るな」。クラウス教授にそう忠告された絶対城だが、妖怪学における『鬼』の真相を探るため、節分の時期に行われる厄払いの儀礼「修正会の儀」に参加することになる。
政財界の有力者が集まるパーティで、絶縁した家族と対峙した絶対城は、『鬼』の正体はこの国のタブーであったことを知る。さらに、幼い頃に絶対城の世話をしていた元執事の高岩と再会し、秘匿されていた櫻城晃の死の真相を告げられることに――。
妖怪学最大の禁忌に、黒衣の妖怪博士絶対城が迫る! シリーズ緊迫の第6弾!
惚れたら負けよ、を地で行ってるよなあ、この先輩。礼音もなんで気が付かないかな、と思うくらい絶対城先輩の彼女への惚れっぷりはこっ恥ずかしいんだけどねえ。ドレスアップしてウィッグもつけた礼音を見た時の狼狽えっぷりなんて、そりゃもうむしろアンタを直視できないよ、というくらいなのさ。普通、絶対城先輩みたいな頭が良くて居丈高で何でもお見通し、みたいなキャラは容易に内心をさらけ出さない鼻につくキャラが多いんだけれど、絶対城先輩は他のことに関してはともかく、礼音に関する事柄については本当に態度が実にわかりやすいんで、そこが愛嬌というか微笑ましいんですよねえ。まあ、礼音の事以外でも情に厚くて結構感情的になることも多いんで、言うほど内心がわかりにくいキャラじゃないんですけどね。偉そうであっても意固地ではなく、自分が悪いと思ったら相手がだれでもきちんと礼を尽くして頭を下げる素直さや謙虚さもあるのが、好感度あげてるんだろうけど。
その意味でも、礼音への意地の悪い態度はあれ、完全に甘えてるとも言えるんですよねえ。小学生か。そのくせ、礼音になんかされたら簡単にぶちきれるくせにw
さて、今回はこの国の最大の禁忌、触れること能わずとされ、その謎に近づくものには謎の集団の魔の手が迫る、という「鬼」の秘密に迫る展開。政財界の重鎮たちですら、その影に怯え、実際絶対城先輩の妖怪バカ仲間がかつて鬼の秘密に挑んだが為に、謎の死を遂げ、新たにクラウス教授も警告を受けて危うい目にあった、というこのシリーズ最大の難関であり関門が訪れた、と思ったのだけれど……。
この国において、鬼の伝説はそれこそ無数にあり、「鬼」を定義することすら難しいくらい多種多様の鬼の正体が存在する。とはいえ、一番有名な鬼はなにか、というとやはり大江山酒呑童子の名が上がるわけで、今回もその路線へと入っていくわけだが……あの「古代生物」ネタは何があっても欠かさないのね(笑
ワニの話は、もっと突き詰めていっても面白かったと思うなあ。与太話としても、楽しめる。それよりも、個人的にはあの「街」の話の方が荒唐無稽でしたけどね。山の奥に孤立した隠れ里みたいな集落、とかだったらまだしも郊外都市とはいえ、インフラが普通に繋がって交通機関もアクセスしていて情報的にも物理的にも全く隔絶していない街が、あんな有り様になれるもんなんだろうか。
思いの外、チョロいというか前振りの大仰さに対して中身の浅薄さが顕著だったので若干拍子抜けしていたのだけれど、なるほど本命はあくまでそっちだったのねw
なんだよ、最初から格付けは全然逆だったってわけだ。結局、たちが悪くて手に負えないのって、絶対城先輩の周囲の人間ばかりじゃないか。類が友を呼ぶというのかなんというか。いや、クラウス教授にしても、今回の人にしても、絶対城先輩いいように振り回されてる節があるので、偉そうな態度のわりに実は立ち位置あんまり高くないんじゃないだろうか、絶対城先輩って。杵松さんにも何だかんだ手綱取られてるし、一番下っ端である礼音からして、惚れた弱みで何だかんだ弱いし……礼音相手に傍若無人に振る舞ってるのが、本当に可愛らしく思えてきたw

シリーズ感想