うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。 (HJ NOVELS)

【うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。】 CHIROLU/トリュフ HJ NOVELS

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高い戦闘技術と冷静な判断力を武器に、若くして頭角を現し、近隣にその名を知られる冒険者の青年デイル。とある依頼で深い森の中へと足を踏み入れた彼は、そこでガリガリに痩せ細った幼き魔族の少女と出逢う。罪人の烙印を背負いしその少女・ラティナをそのまま森に捨て置くことが出来ず、これも何かの縁かと彼女の保護者になる決意をしたデイルだったが―
「ラティナが可愛すぎて、仕事に行きたくない」
「また馬鹿言ってんの!?」
―気づけばすっかり親バカ全開に!?凄腕冒険者の青年と訳有り魔族少女のアットホームファンタジー!!
全く、親バカは始末に終えんなあ。ちょっと子供が可愛いからって、見境なく暴走されても傍から見てると滑稽で苦笑しか浮かんでこないもんなのよ? ……とか、タイトルだけ見て読む前に思ってた自分は死ね! 死んで反省しなさいッ!
もしかして魔王も倒せるかも? なんで疑問形? そんなもん、余裕で倒せるに決まってるじゃないかっ! むしろ、ラティナの為ならば魔王どころか神すらも殺せるね! 魔王程度なら、その辺の定食屋のおっちゃんでも八百屋のオバちゃんでも倒せる!(確定
恐ろしい本である。これほど見境なく読む人を片っ端から魅了してしまい、ラティナ教の狂信者にしてしまうのだから、これはもう魔導書か聖書の類であろう。
可愛いのだ。本気でガチで可愛いのだ。ラティナかわいいよ、ラティナ。お小遣いあげちゃいたい! 好きなもの買ってあげちゃいたい。ああでも、この娘本当にイイ子で賢い子だから、人様から理由もなくお小遣いやプレゼントなんか受け取らないんだろうね。そりゃ、この街の人間たちが軒並み親衛隊に入ってラティナを見守る態勢に入ってしまったのも大いに理解できる。こんな可愛い子を置いて泊まりの仕事に出なきゃいけないなんて、発狂モノだろう。デイルがダメになった? 冗談、ラティナの為に駄目になるならそれはもう勲章ものである。国家を上げて表彰スべし。
森のなかで、父親と思しき死体の傍で出会った一人の幼い少女。彼女を拾ってしまった義務感から育てることにしたデイルだけれど、一日経たずにラティナのあまりにも健気で一生懸命な姿に、陥落。いやもうこの子、本当に健気なのよ。とても賢いんだけれど、賢しらじゃなくて、良く人のことを見ていて、幼いながらに役に立とうと頑張るんですよ。その頑張りが、頭の良さで空回りしないのよね。でもやっぱりちっちゃい子だから、周りの人はハラハラしながらその頑張りを見守ってしまって、やり遂げる姿にキュンキュンしてしまうのだ。もう、ギューッと抱きしめて頭なでてあげたいっ!
デイルが居候している宿は、冒険者御用達のお店で、出入りしている客連中はやっぱりごっついおっちゃんとかばっかりで、見た目もいかついのだけれど、この娘ってば怖がりもせず、ニコニコと強面たちに接してくるわけで、そりゃもう荒くれ者たちもイチコロですよ。
本当にもう可愛いのよ!
なんか、可愛いしか言ってない気がするけれど、どれだけ言っても言い足りない! 可愛いの、可愛いの、可愛いのよ!!
とまあ、これだけ途方もなく宇宙レベルで可愛くて可愛くて可愛いラティナなんだけれど、あろうことかこの娘の優しい心を平然と踏みにじってしまう輩も登場するわけですよ。
よし、殺せ。許す、殺せ。
むしろ、街の連中総出で吊し上げくらって生きてる方を後悔しそうな目に合わなかっただけ、マシと思えってんだ。デイルは、よくまあ怒りをこらえて冷静に対処したもんだ。見なおした。いや、別に見損なっていたわけでは全然ないんだけれど。まあ、法的にフルボッコにしてくれたので、スキっとしましたけれど。
しかし、ラティナが本当の意味で傷ついたのは、悪意を向けられたことじゃなくて、自分の魔人族という種と大好きなデイルや友達たちの人間種との種としての在り方の違いからくる隔たりだった、というのが幼いくせに賢すぎて、そんな年齢で考えなくてもいいことを考えてしまったよなあ。将来、いつか考えなきゃいけないのだろうけれど、こんな心が柔らかい時期に思い悩むことじゃないよ。それだけ愛され、大事にされてもどうしようもない、流れる時間の差。ある意味、子供だからこそ想像してしまう恐怖なのかもしれない。多くを失って、何も持っていなかった事を気付かされて、今とても幸せだからこそ、とてもとても怖くなってしまったのだろう。ううう、泣いてるよ。ラティナが泣いてるよ。デイルがギューッと抱きしめてくれて、本当にあのシーンは安心した。そして、クロエが怒ってくれたことにとてもとても安心した。
幸せの形が、ここにある。
あーー、なんか胸がいっぱいだー。

ラティナがどうして、あの森に放逐されていたのか。タイトルからして、魔王関連の話が込み入ってくるのかもしれないけれど、ラティナの為ならば幾らでも無敵になれる人たちがデイルを筆頭に、そりゃもうたくさんたくさん居そうですし、その意味では不安はないですね。魔王ごとき、楽勝っすよッ♪