ナイツ&マジック 5 (ヒーロー文庫)

【ナイツ&マジック 5】 天酒之瓢/黒銀 ヒーロー文庫

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ジャロウデク王国による侵略行為に端を発した大西域戦争。
緒戦において滅亡の憂き目を見たクシェペルカ王国だったが、銀鳳騎士団の力添えにより再興を成し遂げた。
一方、ジャロウデク王国においては、戦いの中に倒れた第二王子クリストバルの仇をとるべく老兵ドロテオが動き出していた。
彼は未曾有の巨大兵器『飛竜戦艦』を駆り、新生クシェペルカ王国へと襲い掛かる。
西方では絶えたはずの、竜の姿を模した巨大兵器は猛威を振るい、新生王国を再び窮地へ追い詰める。
度重なる脅威を前に、女王エレオノーラの意を受けた銀鳳騎士団長エルネスティは騎士団を率いて戦場へと向う。
彼らを待ち受けていたのは、燃え上がる城砦と、炎吐く巨大な竜であった。
大空を舞台に、鬼面六臂の鎧武者と飛竜戦艦の、戦いの幕が切って落とされる――。
一年ぶりの新刊は、これ以上ないくらいエルくん

やり・たい・放・題!!

え? 今までもそうだったじゃないかって? うん、その通りです。だから、毎度おなじみやりたい放題!!
とはいえ、今回はジャロウデク王国側にもエルくんと同じ方向にどっぷり浸かったマッドサイエンティストがエルくんの新技術に刺激されて、どんどん対抗策を練り技術革新を進めてしまった結果、飛竜戦艦などというこれまた時代を隔絶した新世代兵器を生み出してしまったものだから、相乗効果でえらいことに。どえらいことに。
エルくん一人でやりたい放題やられてもとんでもないことになるのに、両方でしのぎを削りながらやりたい放題されてしまった日には、見事に阿鼻叫喚の地獄絵図である。さすがに今回の相手にはエルくんも楽勝とは言わず、イカルガを駆りながらも結構苦戦することになるんですけれど……エルくん自身は強大な大型強襲兵器に人型兵器で立ち向かうというシチュエーションに大興奮、狂喜乱舞、あんたちょっとワクテカしすぎ!! 苦戦しているはずなんだが、もうキャピキャピしながらはしゃぎまわっているようにしか見えない不思議。
クシュペルカ王国サイドの人たちの唖然とした姿に苦笑して、もはやエルくんの常態に慣れきってしまっていてあの目も当てられない姿にすら、まあいつもの事よ、と受け入れてしまっている銀鳳騎士団の面々の達観ぶりには冷や汗をかく始末。なんか、銀鳳の連中もいい加減末期よなあ。同じ穴のムジナになってしまっているというかなんというか。ディートリヒの部隊の連中なんか、もうヒャッハー軍団にしか見えないし。
最終的に、クシュペルカ王国の人たちも若干毒されてしまっていたような気もするけれど。エレオノーラの英断とはいえ、防御を捨てて全軍総出撃で殴り込みとか、ちょっと箍が外れてましてよ? でも、エレオノーラは本当に成長して一端の王女様になりましたわ。守られることで強くなる人も居るのよねえ。これ、完全にキッドとフラグ立ってるんですけれど、キッドはどうするんだろう。というか、エルくんたちはキッドをどうするつもりなんだろう。なんか、目算はあるみたいだけれど。エレオノーラは女王様になるわけですしねえ。一応、キッドも貴族の端くれなので、アクロバットすればなんとかなるのかしら。難易度でいうと、獅子王子と従姉妹の娘の方がすんなりと収まりそうだけれど。
今回はさすがに激闘につぐ激闘だったせいか、ワンオフの幻晶騎士は軒並み全壊してしまったんですが、これって新型機開発のフラグですよね? グスターボが幾ら凄まじい剣腕の持ち主で、乗っていた幻晶騎士も特別製だったとはいえ、エルくんの肝いりで作った幻晶騎士のワンオフ版が壊されちゃたわけですから、そこはそれ、イカルガほどの無茶苦茶さは無理だけれど、やっぱり無双出来るくらいの新型機はエドガーやディーには作ってあげて欲しいものである。あと、キッドもそろそろ一人乗りの機体乗って欲しいじゃないですか。

なんか、やってはいけない切磋琢磨、マッドサイエンティスト同士の化学反応の結果か、とんでもない上げ底がなされてしまった技術革新が、さらに大規模な技術流出を伴って、ラストの展開はどえらいことになってるんですけれど。この世界観、いったいどこまでぶっ飛んでいくのか。これはこれでワクワクするですねえ。

シリーズ感想