グラウスタンディア皇国物語5 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 5】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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難攻不落と名高きゾラ港を見事手中に収めたクロムたちは、矢継ぎ早に次の進軍準備へと取り掛かっていた。
今度の作戦は、リジア海軍司令部が鎮座する重要拠点アラティアの陥落。
陸路から四つの関を突破することが最低条件とあって、今までにない激戦が予想される中、最後の皇国七聖である鍛冶屋・ウルの血縁を名乗る者がユースティナの下を訪れて――。
ラトルグ国のレイリン姫、優しくて責任感のある人ほど、思いつめて覚悟完了してしまうと徹底的にやらなきゃならないことを妥協せずにやっちゃうもんなのか。彼女の道はこれ、覇道になっちゃったなあ。神代の真実に触れる事が彼女に覚悟を強いたのだとしたら、ユースティナもあの時境界を踏み越えてあちらを覗いていたら、レイリンと同じ道を選択していた可能性もけっこうあるんだろうなあ、これ。コウソンは姫を大事に思いながらも、あくまで彼女に為政者として在るように望んでしまっている。ここが、クロムとユースティナとの関係の微妙な違いになってしまうのか。
リジアの若き法王も、実は賢君である事が明らかになり、それぞれ三国とも内部の他派閥や敵対勢力との権力闘争の中で実権を握ろうとしているのだけれど、たとえ三国が賢君の指導下に収まったとしても、どうやら争いは収まりそうにないのがキツイなあ。利権や権益による争いなら幾らでも妥協できるのに、これは宗教どころか神権による代理戦争の影があるので、どこにも妥協の余地がないんですよね。皆が、それに乗らざるを得ず、神が敷いたルールに則って犠牲を多く出しながらも戦乱を終結させようともがいている。それが、余計に血で血を洗う地獄を引き出しそうなんですよねえ。そろそろクロムが握っているカードを表に向けて貰わないと、希望が持てなくなってくるんですが。
皇国七聖の最後のメンバーが現る……って、二人いるじゃないですか。いや、鍛冶師の兄ちゃんはともかくとして、算術家の妹の方はこれ存在価値がパないんですけれど。ラトログ国の黒色火薬の出現も世界を刷新するかもしれないけれど、彼女のもたらす概念はこの世のすべてをソフト面から刷新しかねない。革命的、とすら言って過言ではないかと。クロムは、果たしてどこまで正しく彼女のもたらした力の及ぶ先を見て通せるのか。弾道力学なんか、本当に瑣末なそれだぞ。
一方で、今回一番スポットが当たったのは七聖の一人にして盗賊、或いは諜報の専門家ファウラの過去話。彼女がいかにして今の彼女になったのか、を彼女を救ってくれた、彼女に名を与え人生を与え未来を与えてくれた恩人の娼婦との物語。この作者の人は、こういう個人にスポットを当てたシットリとしたお話の方が上手い気がするんだよなあ、と思わずウルウルきながら思ってしまった。勿論、ラブコメも素晴らしいのだけれど。
しかし、皇国七聖もこれどんどん世代交代している、ということなのね。実態のない称号のはずなんだが。フィフニスも新七聖に入りそうだな、これ。なにこの地上に舞い降りた大天使様は(苦笑
なんか、一人だけ別次元でわけのわからないことをしてるんだけれどw そのうち、新宗教が立ち上げられかねないんですけれど。リアル神群VS偶像神(アイドルマスター)フィフニス、とかならないだろうか、マジで心配なんですがw

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