ミスマルカ興国しない物語 〜ミッション・シャルロッテ〜 (角川スニーカー文庫)

【ミスマルカ興国しない物語 〜ミッション・シャルロッテ〜】 林トモアキ/浅川圭司 角川スニーカー文庫

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軍令本部長執務室―その部屋の主たる帝国第一皇女シャルロッテは、マヒロを呼び出し帝シュポ片手にこう告げた。「これは、帝都の危機よ!」「…。」「というわけで、お出かけよ!」シャルロッテ姫の帝国を思う気持ちに突き動かされ、帝都の窮地を救うためにマヒロが東西南北に奔走する!?WEB連載時から話題沸騰の「ミスマルカ」シリーズスピンオフ小説が、書き下ろしと幻の短編「天界クロニクル」を加えて書籍化!
全編ギャグでコメディなんだけれど、そのギャグ調、コメディ調でだって本来のマヒロ王子だと引っ掻き回す方に回るはずで、そのマヒロ王子の鼻面に縄つけて自由自在に振り回すことのできるシャルロッテお姉さまはやはり最強なのである。ガチシリアスでもギャグ時空だろうと、シャルロッテお姉さまにはマヒロは敵わないし頭があがらない。そうであってくれるのが、一番なんですけどねえ。マヒロにとっても、それが幸せになれる最良だと思うんだけれど。この王子は蛇の業にハマりすぎているだけに尚更に。シャルロッテはシャルロッテで、姫として帝国軍令本部長として国と家族を愛するが故に、あえて踏み外して業にハマっている人でもあるんで、彼女にとってもマヒロの存在は救いとして機能してるんですよね。この二人のコンビの意気投合っぷりは、単に性格の相性が噛み合っている、というだけじゃ済まない救済効果があると思うんですよね。
と、底抜けにバカバカしいコメディ話でこんなシリアスな話をしても仕方ないかもしれませんけれど、この腹に一物も二物も仕込むのが常態であるマヒロ王子とシャルロッテ姫が、こんな風に底抜けにバカバカしく裏表のないスチャラカなドタバタ劇を繰り広げて、本当に楽しそうにやらかしているのって、それだけでちょっとした救いなんですよねえ。この二人がそんなことをしていられる、というのはそれだけこの時の帝国が平和だってことですしねえ。まさにいっときの平和なのかもしれませんけれど、ちゃっかりガチで帝国の危機が混じってたりもするのですけれど、でも二人が謀略抜きで馬鹿騒ぎしていられるのは平和な証拠であり、ある意味ここが最終目標でもいいんじゃないかとすら思えるのです。この二人がこうやって馬鹿騒ぎしていられる地点が、ハッピーエンドの光景でなんらおかしくないじゃないですか。
ってか、やっぱりメインヒロインはシャルロッテ姉様がいいなあ。ルナスも悪くないんですが。
概ねシャルロッテお姉さまの水戸黄門的活躍、というか暴れん坊将軍でも良さそうですけれど、折角なので身分隠して世直しするなら、黄門様よろしく助さん格さん弥七にお銀ぐらいのスタッフは揃えてくれても良かったのに。帝国なら、これに伍する人材ならナンボでもいらっしゃるわけですから。……いや、誰居れても血の雨が振りそうだから、やっぱりいいや。

書き下ろし短編は、これミスマルカじゃなくてレイセンの方に入れる話じゃないの? と思ってしまうんですけれど、な【天界クロニクル】。何気に無理やりマリアクレセルさん、皆勤賞狙ってるんでしょうか。これで一応、林トモアキ作品に全登場ということになるはずですし。【お・り・が・み】とかで風邪で欠席していたガブリエルさんはこれが初お目見えかしら。ショーペンハウアーはおひさー。
とりあえず、マリアクレセルのあれはフラグというかフリでしかなかったというか、見事にジャックポット!!
そしてリップルラップルの自由さというか無軌道さというか、キャラなんて捨ててかかってこいよ、というらしさには色々と頭がさがります。なんでもやる魔王だなあ。ってか、ミズノの回し者という以外はなんでもありですよね、このお姉さま。

シリーズ感想