神楽剣舞のエアリアル 3 (GA文庫)

【神楽剣舞のエアリアル 3】 千羽十訊/むつみまさと GA文庫

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「剣ごと切り裂く、辻斬り?」
学院のある街に、腕利きの実力者ばかりを襲う辻斬りの噂が立つ―そいつは霊殻持ちだという。そんな中、雪人はルナリアのクラスメイトの少女、シヴと出会う。シヴとの邂逅で、雪人はかつて自分を破った少女を思い出す…。一方、辻斬りの魔剣が雪人の大切な人を傷つける時、彼の太刀が新たな絶技を創り出す。魔術と剣戟が加速する異世界バトルファンタジー第3弾!
相変わらず、シリーズの初っ端にいきなり過程モロモロすっ飛ばして最終決戦からやってしまった弊害が続いている。雪人たちが学院でどう過ごしていたか、交友関係がこっちにはわからないまま、なんか知っている前提で展開を放り込んでくるので若干置いてけぼりにされてる感があるんですよね。そもそも、この学院が普段どういう形で運営されているのか、生徒たちがどう過ごしているのかがさっぱり描写されていないので、唐突感が否めない。ともかく、作者と読者の把握している情報認識に錯誤があるっぽいんだよなあ。
キャラクター同士の掛け合いや、テーマの沿った掘り下げ、因果を含めた関係性の絡まりなんかや、ストーリーの盛り上げ方など、決して悪くはないのだけれど、全体的に情報の出し方がまずい感じがしてならない。盛り上がりが加速していくタイミングで、その度に足場が悪くてつまずいているようなイメージ、とでも言えばいいのか。勿体無い、全体的に面白そうは要素はこれでもか、と詰まっているのに。雪人の退魔師時代の話もいろいろあるみたいですしねえ。
しかし、雪人の異性との接し方の話ってこれまで出てましたっけ。3巻にして、え、今更そんな話なの? と、ちょいと目を白黒させてしまった。これはちょっと、フラン可哀想じゃね? いや、扱いとしては風夕やルナよりも、今回についてはヒロインとして扱われていたような気もするけれど。まあそれぞれのヒロインとの関係を具体的にわかりやすく分類するには、あの話は便利ですし、有耶無耶な部分を一度整理してしまうことで、改めて関係の変化を起きやすくして前に進めやすくする、という意味ではありかもしれませんけれど。雪人のフランへの絶大な信頼と、めっちゃ大事にしていることは伝わってきましたしね。一方で、風夕への過保護すぎる扱いからの距離のとり方、ルナとの新たに構築しつつある関係、と。整理整頓はきっちりできたんじゃないかと。
戦闘シーン、特に雪人のそれは今回改めて思ったけれど、面白いね。現代日本の退魔師であり剣術使い、という設定以上に、実際の刀剣、名剣の特色や逸話を踏まえた特殊攻撃、とか。実在の剣術流派の術理・理合に基づく剣技というのは見かけたけれど、刀剣の逸話を再現しての剣技というのは物珍しい。最近流行りの【刀剣乱舞】を意識してのネタなんだろうけど、「薬研藤四郎」とか「へし切長谷部」なんて銘、そうそう見かけることなんてなかったからなあ。

1巻 2巻感想