問題児たちが異世界から来るそうですよ? 軍神の進路相談です! (角川スニーカー文庫)

【問題児たちが異世界から来るそうですよ? 軍神の進路相談です!】 竜ノ湖太郎/天之有 角川スニーカー文庫

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“人類最終試練”の魔王アジ=ダカーハとの死闘から三か月―。ようやく落ち着きをみせた箱庭で、十六夜たちは新たなギフトゲームに挑む。でも順調に勝ち進んでいく十六夜に異変が起きて!?一方、その裏では、箱庭全土を巻き込む一大プロジェクトが進んでいた。仲間たちにも転機が訪れるなか、十六夜、飛鳥、耀の下す決断とは!?そして、ついに地上へと降臨した“ある人物”の正体とは!?―いま、究極の進路相談が始まります!!異世界バトル第1部完結。

ヤバいなあ、やっぱり自分、この多積層次元構造な世界観、大好物なんですよね。スケールが大きい、という表現だとどうしても三次元レベルにとどまってしまう。この他に類を見ない時間と空間が見事に偏在している世界観をなんと言ったらいいものか。神話から科学的概念に至るまで、独自解釈によって再構成して、フォーマットこそ既存のものを踏襲しながら、それを読み解く読解ルールをほぼ刷新して新しい世界にしてしまってるんですよね。そのあたりをこれでもかと語り尽くしたのが、この第一部のエピローグであり第二部のプロローグなわけだ。
箱庭の階層、三桁とか四桁とかの本当の意味合いや、人類最終試練と呼ばれるモノの存在意義、外界との関係、これに限らず各種設定や登場人物の行動原理なんか、この巻を読み込むとある程度一貫したルールみたいなものが見えてくると思うんですよね。これまでよく意味がわからなかった発言や行動、設定なんか、改めて読みなおしてみると見えてくるものがあるかもしれない。こうしてみると、決して無軌道じゃなくてちゃんと一貫した解釈とルールがあったんだなあ、というのがわかる……気がする。いや、実際これ難しいと思うんですけどね。
この世界観そのものが、ギフトゲームのようなものであり、その根底に明確な真意があってちゃんと紐解ける謎である、と解釈すればわかりやすいかも。それを読み解く材料は潤沢に供給されていて、この第一部完結編は、最初の答え合わせみたいなもの、と思えばいいか。
そして、登場人物たちにもはっきりと次のステージにあがるべく、次の段階に向かう為のステップが必要となったわけで、十六夜の場合は彼自身も知らぬ彼の正体に、その因果に足を取られていたところを寄ってたかって背中押されたことになるのかな、これは。半ば、自力だったような気もするけれど。
いずれにしろ、問題児たちは今までの自分に一つのケリをつけて、次の段階に向かいに至ったわけだ。あの三人組だけじゃなく、殿下たち魔王組もそうだし、ジン・ラッセルもそれっぽいけれど。ジンは、マジでペストとこれ、心中…というと言葉が過激になるけれど、彼女の為に太陽を落とす気マンマンになっているのが、ゾクゾクするねえ。個人的には、今回一番熱かったのは混世魔王その人でしたけれど。原典では雑魚魔王にすぎないというのに、こんなに熱い男になってるとはなあ。なんだかんだと、シスコンな気もするけれど。そして、この作品の斉天大聖って、斉天大聖史上最高のイケメンなんじゃないだろうか。暴走しかけた白夜叉を制止した時の侠気あふれたあのセリフといい、かっこ良すぎますよ、気持ちよすぎですよ。でも、こっちの悟空は女なのよねえw

虚を突かれたのは、フェイスレスの正体ですか。まさか、ここで正体が明らかになるとは思っていなかったので、不意打ちですよ。しかも、シンプルに神話体系の著名な英霊のたぐいかと思ってたら、完全に予想外の人品で。ってか、飛鳥の家って冗談抜きで皇室関係だったの!? 
十六夜が去ったあとの外界の彼の家族たちも、ここに至って深く関わってきているみたいだし。金糸雀があのホームに居たのも、全然偶然なんかじゃなかったわけか。重要なのは、十六夜だけじゃなかったのね。リンが殿下とつるんでいたのも、どうも平易な理由じゃなさそうだし、第二部スタートに対して全体に張り巡らされた謎もさらに一段深みを増してきた感がある。面白い。
第二部スタート、ガチで楽しみです、これは本当に楽しみ。どうはっちゃけるのか、うひゃひゃ。

シリーズ感想