ひとりで生きるもん!2 およめ券のその後 (MF文庫J)

【ひとりで生きるもん! 2.およめ券のその後】 暁雪/ へるるん MF文庫J

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「最近の慶人さ、ちょっとわたしに甘すぎない?」
最愛の彼女・湊千紗の言葉をきっかけに、自分が以前よりつまらなくなっていることを自覚した元ぼっち・織田慶人。彼は、千紗にふさわしい男になるため自分の将来を見つめ直す。そして、バイト先の先輩が所属する劇団で喜劇の脚本に挑戦することになったのだ。脚本が1本も採用されない中、夏休み日本に遊びに行くと千紗に告げられ……? これは人生と笑いをかけた、ひと夏の想い出――。元ぼっち×高嶺の花で贈る、「やっぱひとりじゃ生きられないよね」系ラブコメ! ふたりの未来に幸あれ!
丸々一冊使っての後日談。これは、贅沢な作りだなあ。というのも、千紗と慶人の関係についてはもう一巻で完成しちゃってるんですよね。それを、わざわざヒビ入れたり余計な茶々を入れて揺さぶってみたり、という要らん事しなかったのはいいんだけれど、完成してしまっている恋人関係なんて、ひたすらイチャイチャベタベタバカップルしてるだけなんですよ。いや、それが悪いというわけじゃないんだけれど、さすがにここまでバカップルされてしまうと、逆にいたたまれなくなってくる。どうぞ、邪魔しないようにあっち言ってるので、どうぞ思う存分やってください、てなもんで。
というわけで、完成してしまった関係はこれ以上進展も後退もしないので、物語として何を軸に置くか、について本作は主人公が夢を見つけ、それを叶えるための現実を目の当たりにし、しかし恋人に支えられて頑張り通す、というこれもまたベタベタな未来を描くお話に。
とはいえ、興味深かったのが主人公が現実の厳しさを思い知る展開が彼自身を見舞うのではなく、目標とし憧れた師匠とも言うべき人に襲いかかったことでしょうか。慶人は、まだ現実の厳しさに打ちひしがれる以前の問題で、まだそんな現実を味わう舞台の上にすらあがってなかったんですよね。それを、舞台袖から見ていただけ。夢を追うということは、そんな厳しくつらい目に遭う可能性の高い舞台の上にあがらなければならない、どんなに優れていても、才能があっても、突き落とされてしまうかもしれない舞台の上にあがらなければならない、というのを思い知ってしまうわけだ。中途半端に味わうよりも、余計に身に沁みる展開だし、何も知らずに勢いだけで駆け上がるよりも、よほど勇気が必要になる。
そのあたりの、現実と向き合う立ち位置のさじ加減の描き方が、なかなか興味深かった。これも、別方向からの青臭さとも言えるんですけどね。まあ、その青臭さをラブラブという砂糖まみれにしてしまった作品でもあるんだけれど。まあ、お幸せに、という他なく。実のところこの二人の幸せな未来、というのは絵に描いたようなそれで、あんまり羨ましいとか思わなかったというか、興味も関心も湧かなかったんですが。

1巻感想