カボチャ頭のランタン02 (ダッシュエックス文庫)

【カボチャ頭のランタン 02】 mm/kyo ダッシュエックス文庫

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二人になって初めての迷宮探索を無事に終えたランタンとリリオン。嵐熊との戦いの傷を癒やし、装備を調え束の間の休息を過ごす二人だが、ランタンをしつこく勧誘するギルド探索者とのトラブルに巻き込まれてしまう。そのトラブルの裏にはリリオンを巡る陰謀が、そして暗く深いランタンへの因縁と妄執が渦巻いていた…。ギルドの武装職員テス、博識な協力者の司書、そしてランタンを襲う謎めいた女探索者ルー・ルゥ。新たな出会いが新たな冒険へとランタンを誘う。圧倒的な描写力で綴られる超本格迷宮ダークファンタジー小説、待望の第二巻!!
面白い、じわじわとハマっていくような味のある雰囲気が実に素晴らしくて面白いんだけれど、だけれど。いくらなんでも中途半端すぎやしないだろうか。え、そこで終わるの? と意表を突かれるくらい話の途中でバッサリと終わっちゃうんですよね。元々ウェブ小説なのだから仕方ない部分はあるんだけれど、それでももう少し話の区切りというものを考慮して欲しいなあ。お皿に乗った甘くて美味しいお菓子をパクパク食べてて、まだあると思って伸ばした手が空を切った時のような、この悲しさ。行き場のないもどかしさ。面白い分、余計にくるものがあるわけです。
ともあれ、読み終えて食い足りん! という激しい感情が沸き立つ作品ってのは、その時点でひとつの証明がなされているようなものでもあるんですよね。つまらん作品にそんな感情は沸き立たない。ええい、焦らし上手め、とまでは言わないよ。せめて、もう少し切り良く区切ってくれないと、勿体ぶる様にもならないし、レイニー留めとは言えないや。
さて、初めての迷宮探索を終えたランタンとリリオンだけれど、もう十年来一緒にいるかのようなランタンのリリオンの甘やかしっぷりには、微苦笑が浮かぶばかり。どんだけ年季の入った過保護なんだ、というくらいリリオンという巨大幼女の可愛がり方がどうに入ってるんですよね、この少年。もう少し戸惑いやどうしたらいいかわからないような様子があっても不思議ではないのだけれど、これまでずっとソロを続けていたわりには他人のいたわり方、気の使い方、幼い子どもの心の包み方を実に心得ている。これはもう、才能なんじゃないだろうか。ロリコンの才能があるんだよ!
でも、視点を逆さまにしてみると、リリオンもあれで甘え上手な部分が大きいのかもしれない。その純真無垢さと怖いもの知らずさ、それに反比例するような礼儀正しさは、気難しい人ほどその堅牢な鎧を崩されてしまう穿孔力を備えているかのようだ。ランタンも、元々は相当狷介な人物のようだし、鍛冶屋の親方にしても昔気質の客に対して厳しいお人なようですし、司書殿に至ってはあの毒舌、気難しさたるや尋常ではない様子。それを、
片っ端から落としていくリリオンの誑しっぷりは、ある意味無双のようなもので、これも一つのカタルシスというべきか、痛快感を覚える蹂躙なんですよね。特に、極めつけの難物と思われた司書殿が、リリオンの無邪気さにタジタジになって押しまくられてしまう様子たるや、読んでいるこっちの相好も崩れて仕方なかった。司書の性格をよく心得ているだろう、昔からの友人である武装職員のテス姐さんなんかからすると、司書のあの姿は愉快痛快極まってたんだろうなあ。彼女がちょっと親切すぎるんじゃないか、というくらい親身になって世話をやいてくれた理由の一つとしては、十分なものだったんじゃないだろうか、これ。

と、ランタンとリリオンが改めてイチャイチャするというか、幼女を甘やかしているというか、これってほのぼの日常ライフものだったけ、と首を傾げてしまいたくなるほど穏やかな生活の様子が描かれ、さらにリリオンが色々と難しい人たちを陥落させていくのを楽しんだ一方で、なにやら裏に思惑があると思われる襲撃が、二人を見舞う。狙われたのがどうやらリリオンらしい、という事以外殆どなにもわからないまま、犯人をおびき出すためにその襲撃に操られて加えられていた歴戦の傭兵探索者である蛙人のルー・ルゥや、テスさんとその弟にも協力してもらって、撒き餌となる探索を開始して……というところで、終わっちゃうんですよね。うん、考えようによっては、階層ボスを倒すというのは区切りになるのかもしれないけれど、肝心の襲撃に関するあれこれがまだ何も解決どころか、理由すらわからない状態のままお預けですからねえ。そりゃもどかしいですよ。
キャラはわりと出揃ってきたような気もしますが、話自体はやはり進んでいないようですし、ここは早いとこ続きを出してもらわないと。

1巻感想