クロニクル・レギオン2 王子と獅子王 (ダッシュエックス文庫)

【クロニクル・レギオン 2.王子と獅子王】 丈月城/BUNBUN ダッシュエックス文庫

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大英帝国軍の侵攻を橘征継が退けてから3日―依然として駿河に閉じ込められながらも、皇女志緒理と征継は秘かに反撃の機会をうかがっていた。一族秘伝の銘「九郎判官義経」の継承に初音が成功し、戦力を整える征継たちだが、大英帝国軍の黒王子エドワードによって箱根が陥落されたとの報せが入る。さらに、獅子心王の呼び名を持つ伝説の英国王・リチャード一世が増援として皇国日本の地に降り立つ!真紅のレギオンを率いる伝説の大英雄に、未だ記憶の戻らない征継と志緒理の戦略とは!?悠久の時を越え、ついに復活者どうしの戦いが幕を開ける!!幻想と歴史がクロスする覇道戦記、極大スケールの第2巻!!
【獅子心王】のイメージが、ガラガラ崩れていくぅ。こ、こんなヤンチャな人だったのか。いやあ、自分の剣にエクスカリバァァァ!!と名付けて喜んでた人というのは知ってたけど。わりと残念よりのドリーマーな人だというのは知ってたけど。……何気に史実に近いキャラクターなんじゃないのかこれw
でも、リチャード一世がイングランド王でありながら、どちらかというとイギリス人じゃなくてフランス人という話にははっとなりましたね。イギリスには半年ほどしか滞在せず、殆ど国王としての業績は残していない、というのは知識としてありましたけれど、英国王というレッテルをそのまま当てはめて考えていたので、この偉人をフランス人として考える意識は皆無だったなあ。これはなかなか既成概念に囚われてる、という話ですよ。
そうなると、十字軍でのフィリップ2世との不仲も英国と仏国という括りじゃなくて、フランス王とプランタジネット家との悶着に焦点を当てて見た方が……と、本作と話がずれてきた。
でも、獅子心王がイギリスにおける屈指の英雄王というのは間違いない話で、その大人物が同じく英国屈指の英雄である黒王子エドワードと幕を同じくして戦う、というのは大英帝国的に見てもドリームチームの極みなんだろうなあ。しかも、ネルソン提督までついてるんですぜ。
これは敵わんですよ。
と、思ってたんですが、このメンツを相手にしながらの征継の戦い方が実に面白い。軍師のように立ち止まって熟考して策をひねり出すのではなく、しかし猪武者のように何も考えずに突き進むのでもない、ひたすら馬で駆けまわりながら状況を動かし、そこで生じた隙目掛けて躊躇なく斬りこむような感じなんですよね。待ちではなく、まず自分から動く。そうして相手も引っ張りこんで動かして、全体を流動的にして思惑を定まらないようにする、という感じで。攻めるのも物理的だけじゃなく、精神的にだったり、相手の性格を利用したりだったりと計略も用いていて、硬軟合わせてる感じだし、とにかく戦闘勘がずば抜けてる感じなんですよねえ。これは、騎兵指揮官によく見る特質というべきか。
征継の正体についての情報については、今回もポロポロとこぼれ落ちていっているのだけれど、実はかなりの女好きだったり、攻城戦、というか恐らく城塞都市の類を数えきれないくらい陥落させている経験といい、的は絞られてきていると思うのだけれど。
正直、過去の偉人が本当にそのまま蘇ってしまうと、倫理観とか人権意識とか古代から近世に至るまで相当アレだったりしますし、英雄のたぐいというのはそれこそわんさと虐殺の類をやらかしている人たちでもあるので、ある程度人倫面はソフト化してるはず。でないと、この作品のヒロインさんたち、ガチで貞操のピンチですから!!
既に今の段階で征継はかなりの肉食であることが発覚しているだけになおさらに。なにやら、一定の自分ルールはあるみたいだけれど、一般的に見て相当の節操なしなのは間違いないし。ってか、気に入った女性に片っ端からプロポーズしてないか、この男w
実はかなり乙女だった志緒理さまといい、ミーハーである事がバレバレな立夏さんといい、いつこの男の毒牙にかかってしまうか。既に、今の段階でペロペロ舐め回されてる気がしますが。
そして、今回の目玉は義妹である初音の色んな意味での無双でしょう。いやあ、ここまでかっ飛ばした女性キャラも滅多ないですよ。気持ちいい。見ていてスカッとするような竹を割ったような性格なんですが、それにしてもサッパリしてるよなあ。割り切りが早いというか、決断に躊躇がないというか。それでいて、脳筋という風でもないんですよね。即断即決に、常に清涼とした雰囲気が寄り添っている。これも一つの女傑だわなあ。
志緒理さまといい、立夏さんといい、よくまあこうも三種三様の女傑を取り揃えたものです。まだまだ三人共、全力で活躍できる場が与えられたかというと、まだもう少し見せ場が欲しいところなんですが。うん、それをいうと主人公の征継も、今のところ、戦力的にずっと劣勢なまま綱渡りを強いられているので、一度ガチンコでやりあえる舞台をみたいですねえ。

1巻感想