ノーブルウィッチーズ (2) 第506統合戦闘航空団 混戦! (角川スニーカー文庫)

【ノーブルウィッチーズ 2.第506統合戦闘航空団 混戦!】 南房秀久/島田フミカネ 角川スニーカー文庫

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破壊工作と思われる大規模な基地爆破事件に巻き込まれてしまった黒田那佳は意識不明の重体に陥ってしまう。混乱の中、事件は何と内部犯行説が浮上する。内通者はAか、Bか、互いに疑心暗鬼に陥る魔女達…!軍部から傷病手当が支給されるか気が気でない黒田であったが、事件の真相究明に向けて奮闘して―!?ちょっぴり守銭奴な魔女が貴族と庶民の間を駆け巡る!異色の部隊、混戦必至の第2弾!
あまりにも露骨に怪しすぎるものだから、むしろ怪しいが故に怪しくないんじゃないか、とすら疑ってしまっていたら、やっぱり普通に怪しかったのでござる。
那佳ちゃん愛されてるなあ。テロ事件で昏睡状態(?)に陥ってしまった那佳ちゃんに、みんなが順繰りにお見舞いにくるんだけれど、特に普段ツンケンしているプリン姫とマリアンのへこみようと言ったら。まあ、昏睡の原因が明らかになって、那佳ちゃんの愛されっぷりは大暴落してしまうのですが。てかこの娘、爆発から姫を庇って肋骨何本も負ったあとにあんな真似しでかしたのか。ある意味凄まじい。
と、冒頭に基地でテロ事件が起こってしまったのを象徴するように、今回は対ネウロイ戦というよりも人間同士国同士の駆け引き謀略戦のとばっちりを受ける形で様々な妨害工作を受けることになったノーブルウィッチーズ、という話になっている。これが嫌がらせ程度ならまだしも、ロザリー隊長と懇意にしていたアメリカの記者が謀殺されたり、諜報部が乗り込んできて調査の主導権を奪ったり、内部にスパイが、506の解散を目論む勢力が、とかなりきな臭い話になっている。ただでさえ仲の悪いAチームとBチームが、さらに疑心暗鬼を誘われてギスギスを通り越した、戦闘における致命的な不具合まで発生しかける事態になって、雰囲気としてはかなり重苦しいものになっていた。こういう時こそ那佳ちゃんの出番、のはずなんだけれど、怪我した影響でそれほど活発に動けてなかったしなあ。それでも、本当にヤバい時に大事な大事なお金を放り出してBチームを助けにいった那佳ちゃんは殊勲ものであります。あの行動がなかったら、本当にノーブルウィッチーズは致命的な段階を迎えていたかもしれない。
男の子として育てられたイザベルの掘り下げ話なんかもあったけれど……那佳ちゃんが同世代で一番仲良いのはこのアイザック君ということになるのかな。

506のみんなで慰問として子どもたちに劇をやってみせる話では、意外なことにリベリオン海兵隊のマリアンがメインでした。Bチームだとこの娘が一番存在感あるというか、面白いキャラしてるなあ。貴族嫌いというのは、アメリカ南部の閉鎖的な田舎街の生まれ、外の世界から隔絶された時間の止まったような場所から必死に這い出してきた彼女だからこそ、華やかな貴族社会に劣等感混じりの憎悪を感じている、というところなのか。でも、そんな場所で憧れを抱きながら停滞したまま、ではなく彼女はちゃんと自力で外の世界に抜け出して、こうして外国の地に立ってるわけだから、そこまで今更コンプレックスを感じるまでもないんだよなあ。彼女が501の同じリベリオン出身のシャーロット・E・イェーガーを凄く尊敬し憧れている、というのもシャーリーが自由に自分の夢を追っているのに憧れているから、なんだろうけれど、自分だってもう自由に自分の夢を追いかけるだけのものは持っているはず。なのに未だにどこか井戸の底にとどまっているような感覚を抱いているんだろうか。彼女の夢、女優や演劇に関わることに今回の一件を通じて、もう少し気軽に向き合えるようになれたら良いのですがね。
まあラスト、あれだけしっちゃかめっちゃかになってしまうと……この連中で劇をやる、という時点でもう終わっていたのかもしれませんが。
「……わたくし、危うくこの隊を引き受けるところでしたのね」
ロザリーの前に506の隊長就任を打診されたものの、ガリア復興事業に携わるためにこれを断ったペリーヌ・クロステルマンが、506の実態を目の当たりにした際にこぼした心からの一言である。神回避(笑

ラストはなかなかに衝撃的な展開で、まさかの人物がスパイ、内通者だったのか、という話になっているけれど、さすがにこれは驚いた。だってこれ、あの娘が白だろうと黒だろうと、いずれにしても「アウト」ということになりますもんね。

1巻感想