落第騎士の英雄譚<キャバルリィ>7 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚<キャバルリィ> 7】 海空りく/をん GA文庫

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「私が勝ったら、ヌードモデルになってもらう…」試合スケジュールの変更で二連戦となった一輝は、“一刀羅刹”で第一試合に勝利した。だが、次の試合ではその切り札が使えない。しかも次戦の相手サラは一輝自身を創り出して戦わせられるほどの実力者。そして一輝を絵のモデルにしようと執拗に迫ってくる、いろんな意味で侮れない相手!?剣士VS画家の異色対決!しかしそこには考えうる限り最悪の展開が待ち受けていた!「“幻想戯画”―比翼のエーデルワイス」“世界最強”vs“無冠の剣王”再び!激戦必至の第七巻、登場!!
短編だけじゃなくて本編でも一貫してお馬鹿で変態で色々と取り返しのつかないことになっているメインヒロイン(笑)のステラさんに敬礼!!
いやマジで、普通ならもうヒロインとしてアウトなレベルでやらかしまくってるんですけれど、この人。これだけメインヒロインを容赦なくヨゴレ系脳筋自爆キャラにしてしまうのは難しいと思うんだけれど、本作ってハーレムものじゃなくて当初からステラ一択でちゃんと恋人同士になっているからこそ、ステラに対してあれだけ好き放題やらかせる気がします。まだ主人公側が選択していない段階でこれほどやらかしてしまうと、本気でヒロイン戦線から脱落しかねないですからね。逆に言うと既に選択がなされた後だったらメインヒロインやりたい放題やらかしてもなんとかなる、という証左でもあるのかもしれません。どんどん勢い良く一輝の心がステラから離れていく様子には爆笑してしまいましたがw
それにしても、いい加減学習しろというか、ステラも珠雫を信じてひどい目に遭うの何度目だ。あれだけ警戒しているにも関わらずころっと騙されるチョロさは、もうステラって珠雫のこと大好きだよね、と言いたくなるくらい。まあ、珠雫の方も最近はステラ弄りにも愛が感じられると言いますか、わりとちゃんと兄との関係を認めてあげて義理の姉として受け入れた上で、小姑としていびり倒している感じなのですが。

さて、次の試合はもう反則レベルの能力で蔵人に完勝してみせたサラとの対決。正直、あのサラの能力はどうやって勝つのかさっぱりわからないというくらいの無茶苦茶さだったんだけれど、あの能力をどう攻略するのか、ではなくてきっちりサラという天才画家のバックグラウンドを掘り下げてきたところは実に好みな展開でした。ってか実はこの作品って、バトルに関してはあれこれ趣向を凝らした能力が登場するにも関わらず、いざとなると徹底して脳筋な力押しになるんですよね。むしろそれがいいんですが、この場合。前から言及してますけれど、海空さんの作品って根本的な所でヤンキーのドツキ合い的なノリで出来てるので、あれですよ、喧嘩は気合と根性なんですよ(笑
なので、気合と根性が噛みあうと、どのバトルも際限なく熱量があがっていって、燃える燃える。そして、そういうメンタル同士をぶつけ合うには、熱くなるための燃料として彼我のキャラクターの掘り下げ、というのは案外と重要なんですよね。その意味では、もうヌードモデル引き受けてあげなよ、と思うまでに至るサラの絵画への情熱に関する事情を余すことなく描いたのは良かったですし、さらにそれを一輝の家庭の事情、父親との確執に絡めることによって、サラと一輝二人の人生に絡みついた鎖を双方が解き放つ展開に持っていったあたりは、うまいなあと感心したくらい。
正直、サラ戦がここまで熱くなるとは思わなかったんで、大変美味しゅういただきました。

と、そんな熱くなったハートに冷水を浴びせるような、ラストの衝撃的なシーン。アリス、アリスはなにしてんのさ!? あの珠雫がただでやられるとは思えないので、見たままの展開ではなく一筋縄ではいかない事情が横たわっているのでしょうけれど、それでもあのビジュアルインパクトは来るものがあったなあ。
毎度、巻の終わりの引きは凶悪です。

シリーズ感想