GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン (8)中 (電撃文庫)

【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 8(中)】 川上稔/ さとやす(TENKY) 電撃文庫

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本能寺の変へ向け白熱する、交渉戦という名の"嫌がらせ"! 学園戦国ファンタジー、最新刊!!

「――本能寺の変が終了するまで、あの場所には、近づかないで頂きたい」
本能寺の変へ介入すべく行動を起こした武蔵。だがそこへP.A.Odaの重要人物、森・蘭丸が現れ、その動きを制止する。武蔵が京に近づくことによって、"戦闘とは別の理由"で皆に害がなされるというのだが……。
その一方で、羽柴への嫌がらせ行為――武蔵の関東入りに関する、武蔵と羽柴の首脳会議が幕を開ける! 生徒会副会長の本多・正純が繰り出した"先制攻撃"に対して、羽柴側、羽柴・藤吉郎と竹中・半兵衛はどう応じるのか――?
歴史再現のターニングポイント、本能寺の変が間近に迫り、動き出した世界各国。それぞれが目指す"最善手"へ向けて、交渉戦が火花を散らす!
『都市シリーズ』『終わりのクロニクル』の川上稔が贈る、大人気学園戦国ファンタジー第八話、中盤戦!
加藤・清正が乙女すぎる!! なんか、ここ、福島・正則と二人で青春グラフティーしてませんか!? 外道が標準のこの世界で、あまりにも純朴で純粋で初々しい青春的恋愛をしている二人を見ていると、心配で胃がしくしくしてくるよ。なんかあっちゃこっちゃでカップルがイチャイチャしている中で、告って逃げ出してしまいシクシク泣いてる清正と、告られて逃げられて魂抜けちゃってる正則がなんとも無垢すぎて、思わずアワアワと触れることも出来ずに両手を彷徨わせてしまう次第。海野ちゃん、もうちょっと気遣ってあげてー! 知らないとはいえ、傷口グリグリしないであげてー!! 思い出して顔を覆って泣き出しちゃう清正の可愛いことかわいそうなこと。
もうねー、ただでさえ織田勢と羽柴勢は殺しても死なない武蔵勢と違って全員幸薄そうなんだから。その中でも特に十本槍はわけありらしいし。まさか、二鏡紋関連でそこまでヤバい立ち位置に居るとは思わなかった。嫌な意味で覚悟完了してるっぽいのよねえ、この若者たちも。柴田先輩たちと同じベクトルで。十本槍と彼女らよりももう一つ若い世代の後輩たちとの間に、何故か明確な陰の有無があるのはなんでだろう、と思ってたんだけれど、ようやく見えてきた感あり。しかし、七人じゃなくて八人かー。成成成は多分違うにしても、もう一人が誰なのか。竹中か片桐か。

今回は本能寺の変を前にした最終局面に対しての準備段階編。つまるところ、本能寺の変に対してどう首を突っ込むか。それに対していかなる障害があるのか。ちょいと思わぬところから思わぬ要素が出てきて、巴午前の過去話や武蔵内のあの人などが絡んで一気に収束してきた感もあるんですよね。
なるほど、本能寺の変において「それ」については意識の範囲外にあったので、クリスティーナを介在させたこの事前の話し合いは大いに価値があった模様。わかっているのと居ないのとでは、備えが違ってくるし。備えなんてなくても戦争を仕掛ける正純にとっては、実はあんまり関係がなかったのかもしれないけれど。うん、正純のあの何が何でも戦争に持っていく強引にして華麗な手段はもはや芸術ですね! いや、まあ今回はまだ戦争には発展しませんでしたけれど、いざとなったら戦争すればいいや、という心の余裕は正純の成長というか、外道化の完了を実感させられて、感無量である。そしてその余裕の分の負担を全部おっ被されることになる大久保さん、ご愁傷様!!
とりあえず、最終局面を前に武蔵の方針の大前提にして基本理念である、失われようとしている人は助けるぜー、が再確認されたのは良かったんじゃないだろうか。クリスティーナについても、打算はあったとはいえ、それがなくても長太の要請をもぎ取って助けてただろうし。そして、その基本理念が機能しているからには、今後の本能寺の変にまつわるあれこれで失われるかもしれない人たちについても、絶対に見捨てないということですしね。どうも、武蔵内にもそのあたり、ヤバいかもしれない人がいることがはっきりしてきましたし。
同時に、その方針がやはり失われることを前提としている織田・羽柴とは決定的に対立するところであり、そしてさらに、どうやらこの世界の大本となるシステムともかち合う可能性が出てきた、というのはかなり大きな要素かと。
今回のクリスティーナと長岡・忠興のご夫婦の様子や、安定のメアリ様、幸せそうに頑張ってらっしゃるお久しぶりのフアナ様の姿を見れば、武蔵が如何に外道の集団だとしても、その理念は何も間違っていないのだと信じられるわけで、ラストシーンにおいて、ついに本格的に物語に関わりだすであろうことを示した、ミリアムについても、東ともども何とか良い形でまとめてあげてほしいものである。そういえば、あの夫婦のところの幽霊少女について、未だ何にも触れられてないんだよなあ。

シリーズ感想