赫竜王の盟約騎士4 (一迅社文庫)

【赫竜王の盟約騎士 4】 手島史詞/八坂ミナト 一迅社文庫

Amazon

5年前に起こった2柱の竜王、イグニスとアルゲントゥムとの争い。その真実を知ったジルはアルキミア王城へと攻め入ろうとするが、いまの弱くなったジルでは勝てないと立ちふさがった教官ベルクマンに返り討ちにされてしまう。かつての己の力が復讐心から生まれ、その昏い情熱が薄れたいま戦いへの執着が薄れていたことに気づいたジルは、失意の淵に沈んでしまう。一方ティナは、アルキミア王の手によるアルゲントゥムの復活を阻止すべく、動き出すのだが…。
前回は咲夜とフルフルがイチャイチャしてたんだけれど、今回は咲夜さん、ティナを弄り倒して法悦に浸りまくってるんですけど、この人。ある意味、ティナとイチャイチャしっぱなし。いじり倒して涙目になったティナに対して、うっとりと「かわいい……」とご満悦なあたり、もうなんというか。一方で、ジルに対しても余計な情念が排されたことで同志や運命共同体、共犯者という枠組から抜けだして、純粋に一人の女性として寄り添えることになったことで、こちらともイチャコラ……。ついには行くところまで行き着いてしまったわけで……あれ? これって咲夜の一人勝ちじゃね?
いや、名目上はジルが咲夜と良い仲になりつつ、ティナやフルフルとも良い雰囲気で……という体裁なんだけれど、よく見ると咲夜の方がじっとりねっとりキャピキャピと全方位にイチャコラしちゃってて、なにこの咲夜ハーレム(笑
物語の方は、若干巻いて巻いて、と早送りになってたけれど、概ね書きたいところは注ぎ込めたんじゃないかなあ、という内容で。ジルという人間の性質が過去や死人に対する復讐や怨念よりも、今生きている大切な人たちを守り助けることの方にこそより力を搾り出せる人間であった、というところや、復讐のために命を使い果たして未来など望まない竜狩りたちに、それでも未来を掴ませること、恩讐を超えて竜と対話し共存すること。それぞれきっちりと結論までは描けた、とは思うんだけれど、やはりそこに至る過程をドラマとして実感を与えつつ描くことには、質量ともにちと足りなかったかなあ、と思う。アルキミア王が、白竜王アルゲントゥムに対して挑んだ賭けとか、イグニスが密かに仕掛けていた人間たちに対するトリガー含めて、多分ジルとティナとの対比にもなってたはずなんだけれど、王様との対決含めて溜めなしで駆け抜けちゃったのももったいなかったかなあ。
ともあれ、ティナのあの弄られ属性は実に素晴らしいもので、手島作品における至宝に値するキャラ付けだと思うので、メインサブ問わず、今度もこういうキャラは登場させてほしいものです。
ただ、あれほどメインヒロインとして圧勝ムードを漂わせていたにも関わらず、あっさり咲夜に先越されて撃沈していたのはさすが過ぎます。まああくまで先を越されただけで、あとでちゃんと拾って貰えそうな雰囲気でしたけれど。拾って貰えそう、というのも凄いなあ。
なんか、イラストの八坂さん、本作前作含めたイラストの画集出すみたいだけれど、なるほどこのシリーズでもなかなか色っぽいイラスト満載で、堪能させていただきました。イラスト買いさせる力のある絵師さんですなあ。

シリーズ感想