甘城ブリリアントパーク (6) (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 6】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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甘ブリに夏がやって来た!パークは、プール開きにパレードの準備にと大忙し!しかし、今年度の動員目標は昨年の実績を遥かに超える「300万人」という無茶な数で、天高くそびえるハードルに西也は頭を悩ませていた…。そこに突如、空からスーパースター登場。最王手デジマーランドの世界的マスコットである彼は、甘ブリに救いの手を差し伸べると言うがその条件とは―?さらに、ちょうどその頃、支配人ラティファの様子が何かおかしいとの報告が入る―。甘ブリに、再び転機が訪れようとしていた。この局面を切り抜けるため、西也が下した大胆な“決断”とはいったい―!?
久々の本編進行。新刊出ても、短篇集みたいな内容ばかりでしたしね。件の300万人問題は、もうなるようになれ、と流れに身を任せるのかと思ったくらい。
300万人というと、国内のテーマパークではガチでディズニーとUSJ含めて片手で数えられるくらいしか達成してません。無理です、不可能。ひらぱーでも100万超えるか超えないかだよ!!
なんぞ見込みがあるのかと思いきや、甘ブリではやはり絶対に無理な領域だったようで。呼べる呼べない以前の問題で、それだけ客が来園しても、そもそもそんな200万、300万が訪れることを考えて作られた施設ではないから、さばけるキャパもノウハウもない、ってんじゃあ、物理的に無理だわなあ。
一つの施設に、それこそ何時間も並ぶことになる。現段階ですら、人気では数時間待ちの列ができつつあるのに。
それをなんとかするためには、最王手の傘下に入って助けてもらう他ない。ビジネスに都合の良い解決法なんて、早々ないものだからこればっかりはねえ。主人公の西也って最初のスタジアムの事故の時もそうだったけれど、わりと手段を選ばないダーティーなところがあるのは、実のところ経営者向きだとは思うし、わりと作者の賀東さん自体、やるとなったら色々やらかすことを躊躇わない、というかむしろ好んでそっちをやっちゃう節もあるんですよね。フルメタなんかも、追い詰められれば追い詰められるほど主人公サイド関係なくそういう傾向あったし。
その意味では、西也がまだ酸いも甘いも噛み分けてきたとはいえ、まだ若い高校生であるということ。そして、今回の姫様の身に起こった出来事にまつわる設定群は、現実のダーティーさにどんどん埋もれていくのを引き止めるアンカーになっているような気がする。アニムスという概念は単にエネルギーの問題ではなく、一番素朴で正しいであろう「幸福な結末」を忘れないように指し示す、寄る辺であったのだと今ならわかる。
でもまあ、高校生に背負わせすぎだわなあ。責任者になってる以上、それはもう他社と分けて背負えるものじゃないにしろ。それを姫様もわかっているからこそ、何も言えなかったんだろうけれど、アニムスの動きが姫様の症状を通して、それを浮き彫りにしてくれたわけだ。
てっきり自分は、あの姫様の症状って西也の無茶な魔法の使用のフィードバックがきてるのだと思ってしまったので、西也が魔法ゴリ押しするたびに取り返しがつかなくなってるんじゃないかと思って焦り倒したんですけれど、……どうやら違ったみたいで安堵した次第。ガチでフィードバックだったら、バッドエンドもラストの範疇に入ってるのか、と危惧するところでしたし。
しかし、西也は夢の国として正しい選択をし、開き直って自分を取り戻してヤル気もチャージしたとはいえ、あの現実的な選択を梨の礫として、いったいどうやって三百万人を達成するつもりなのか。
こっからはただのアクロバットでは収まらないぞ。
だけれど、その途方も無いアクロバット的な解決法をこそ、どうひねり出してくるかが楽しみな展開なわけで。
ラブコメの方も含めて、クライマックスの盛り上がりに期待したいところである。で、次は何年後? とか問わせないで欲しいですねえ。

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