VRMMOをカネの力で無双する5 (HJ文庫)

【VRMMOをカネの力で無双する 5】 鰤/牙/桑島黎音 HJ文庫

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暗黒課金卿キルシュヴァッサー、爆誕!!

アカウントハックによりアバターを奪われた一朗は事態の収拾を図るためキングや明日葉とともにアメリカへと飛び立った。
留守を任された桜子は、イチローのアカウントで暴れまわる犯人を止めるために、ナロファンのトッププレイヤーたちに協力を求めることに。
そして、彼女は主の名誉を護る為、禁断(カネ)の力に手を染めるのであった――。
これがカネの力の暗黒面なのかー! 普段からイチローの身の回りの世話をして、あの超セレブの世界を知っている桜子さんが、カネの力に屈するとは思いもよらなかったのだけれど、そうか桜子さんも人の子だったか。いや、彼女なら宝くじで三億円やら十億円が当たったとしても自分を見失うことはないと思うんですよね。あぶく銭が手元に入っても、堅実にそれを扱えると思う。でも、今回に関しては単に目もくらむような大金を手に入れてしまった、という状況ではなくて、実際にその金を湯水のようにザブザブと使わないといけなかったわけで。そりゃあ、頭おかしくなりますよ。あーた、たとえば今夜朝まで一晩、5分に一枚、1万円札にライターで火を着けて燃やすお仕事してください、とか言われてやらされてみなさいな。頭おかしくなるよ? そして、似たようなことをさせられて、頭がおかしくなった人が一人。カネの暗黒面にオチてしまった人が一人。
イチローさん、あーためっちゃ面白がってるでしょう、これ。このたった一人で完結してしまっている完全超人は、異性に対する恋愛感情なんてものは発動し得ないものなのかもしれないけれど、そのたったひとりで完結している彼をして、桜子さんはプライベートにおけるパートナーであり続けているわけだ。それが桜子さんのキャラクターというか個性に対する「楽しむ」という感情なのかもしれないけれど、一般的な男女関係にはならないのかもしれないけれど、それでもどうやら「特別」ではあるんですよね。
彼のナロファンへのスタンスといい、そこで出会ったキリヒトやアイリスたちとの交流と言い、これだけ自分の支配が及ばないものを尊ぶ姿勢というのは、面白いね。完璧超人であるにも関わらず、その完璧さが及ばない領域をこそ愛している。そんじょそこらのラスボスや悪役と違って、支配が行き届くことが安心へとつながるのではなく、退屈へとつながっているからこそ、なんだろうけれど。イチローさんは、その完璧具合と遊びの部分が鼻につかなくて、不思議で刺激的で目が離せないカリスマと面白味のあるキャラクターで、ちょいと真似できない独特のキャラなんですよねえ、やはり彼の存在感が支柱になっているのか。
とはいえ、彼一人の物語ではなく、こんな彼が興味津々に首を突っ込み続けている、構い続けているナロファンに跋扈するキャラクターたちの騒ぎっぷりこそが、この作品の彩りなんだろうなあ。
なんか、服飾関係関係ない独特の方向へと突き進みつつあるアイリスといい、ネタキャラ集団でありその通りの活動を続けているにも関わらず、何気に美味しいところばかりかっさらっていくザ・キリヒツの面々といい、見ていて飽きない。なんかネムさんも、変な意味でキャラ立っちゃったし。この間までもうちょっと面倒くさい人だったはずなんだけどなあ、どうしてこうなったw
あ、そういえばついにキングの性別が明らかになりましたね。てっきり、このまま性別不詳で行くのかと思ってたのだけれど。流石にあの明日葉との気安すぎる距離感からして、あっちではないと思ってましたけれど。
でも、ウェブ版だとこれ、性別小説版と逆なんですね。結構、ウェブ版と小説版で話の筋というか、ルートを大きく変えて続けているケースがポツポツ目につくようになってきた気がしますね。そうやってウェブ版と小説版で大きく差異をつけていくのは、両方追いかけ続けている人にとっては良いことだと思いますけれど。

シリーズ感想