ラストエンブリオ (1) 問題児の帰還 (角川スニーカー文庫)

【ラストエンブリオ 1.問題児の帰還】 竜ノ湖太郎/ももこ 角川スニーカー文庫

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“少し”特殊な力を持った少年・西郷焔に届いた一通のメール。そのメールを開いた瞬間、焔は異世界に召喚される!そこは神魔の遊戯・ギフトゲームが支配する世界。素敵ウサ耳を持ったロリータ少女の黒ウサギに出迎えられた焔は、いきなり超巨大ギフトゲームに参加することになり!?一緒に異世界に召喚された彩里鈴華、久藤彩鳥、そして五年ぶりに再会した逆廻十六夜と共に、現実世界をも巻き込む修羅神仏のゲームに挑む!!
【問題児たちが異世界から来るそうですよ?】からタイトルも新たに再スタートとなったネクストステージ。初っ端から外界である地球に、箱庭からの余波でとんでもない災厄が。という風に、前回よりも遥かに外界とのリンクが強く描かれることに。って、問題児シリーズのラストで帝釈天が降界していたように、十六夜がいた時代・世界の地球が重要なファクターになってくることは予見できていたけれど、ここまで密接に箱庭とリンクしてくることになるとはなあ。ご存知のように箱庭世界というのは、多次元的に地球と繋がっているわけで、それは平行世界的にも時間軸的にも偏在しているといっていい状態だったのに、現状は十六夜が居た地球と時間的にもリンクしつつあるのね。なにやら孤児同士の義理の兄弟だったはずの十六夜と焔には秘められた関係があるようだし。いずれにしても、初っ端から謎満載である。
と、同時に地球滅びかけてるしーー!! それ絶対に台風の軌道じゃないですからっ。赤道をまたぐというありえなさよりも、殆ど地球を一週する勢いでヨーロッパに大被害をもたらした台風が巡り巡って日本まで辿り着くって、そっちの方が無茶苦茶さ加減を実感できるんじゃないだろうか。それに加えて、台風にウイルス散布機能が付属しているとか、殺意コメられすぎなんじゃないでしょうか、これ。
こんな余波が外界にまで及んでしまっている、箱庭で行われている太陽主権の争奪戦って、いったいどうなってるんだろう。断片的には語られて、それに十六夜も大きく関わっているのはわかったんだけれど、相変わらずスケール感については並外れている。
正直、この修羅神仏が跋扈して常識を遥かに超えたスケールで繰り広げられる神話規模のゲームに、ただの一般人が巻き込まれて、どうにか出来るとは思えない。その意味では、特殊すぎる焔や鈴華たちでようやく端っこギリギリなのだろう。どれだけ十六夜たちが吹っ飛んでいたかもわかるってもんだ。その彼らですら、箱庭に来た時はここまでえらいことになってなくて、一応落ち着いた状態だったものねえ。
しかし、彩鳥さんはフェイスレスとしての自分の記憶が保たれていることは公にするつもりはないのかー。転生前フェイスレスだった、ということについては積極的に隠すつもりはなくて、黒うさたちが察するのは想像に任せてるみたいだけれど。記憶についても積極的に自分から語るつもりはなくても、バレることにはあまり頓着していないのかもしれないけれど。飛鳥や女王と再会したらすぐにバレることではあるしなあ。にしても、当人も忸怩たるものがあるようだけれど、自分も彩鳥があそこまで鈍っているとは思わなかった。ぶっちゃけ彩鳥さんが居れば大概の場合大丈夫だよねー、という十六夜レベルに近しい安心感を持っていたので、ミノ戦からこっち結構焦ったじゃないですか。早いところ、女王騎士としての実力を取り戻してくれないと、今の三人組では唯一に近い前衛戦力なだけに。

まさかの前後巻編成ということで、今箱庭で何が起こっているのか。どうして、帝釈天をはじめとする護法十二天の有力武神たちが外界に降りているのか、などの詳しい説明はまだない。取り敢えず、はじめて箱庭を訪れた焔たちの目を通して、かつての混乱から新たな繁栄を取り戻しつつある箱庭の様子をアンダーウッドを舞台に描いているのだけれど、前シリーズからちょっとだけ時間が経っているんだなあ、というのがあちこちのシーンから窺い知ることが出来る。これが、ネクストステージのはじまりを実感させてくれてるんですよね。黒うさと、前シリーズと同じく最初の対戦相手である白雪姫は顔を見せてくれましたけれど、早くほかの面々も登場して欲しいものです。十六夜兄さんについては、思いの外早く登場してくれましたけれど。十六夜こそ、登場を引っ張ると思ったんだけれど、まさか外界まで突き破ってくるとはなあ。

ともあれ、いいところで終わってしまっているので、早いところ次出してください。そうして、この新シリーズの開幕を決定づけてくれないと。ああでも、この段階まででワクワクが止まらない面白さなのがたまらない。よし、行くところまで行ってしまえ、ってなもんですじゃ。

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