シャルパンティエの雑貨屋さん 2 (アリアンローズ)

【シャルパンティエの雑貨屋さん 2】 大橋和代/ユウノ アリアンローズ

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やっとの思いで開店した「地竜の瞳商会」。シャルパンティエ領にある雑貨屋さんの店主ジネットは、今日も元気に働いています。シャルパンティエ領はまだまだ開拓の途中。ジネットは雑貨屋さんの切り盛りをしながら、領主ユリウスを支えていく。そこへ思わぬ来訪者、妹・アレットが登場。姉に感化されたというアレットは薬草師として即戦力!パン屋のディータ・イーダ兄妹や元ギルドマスターも領民に加わり、シャルパンティエ領はにわかに活気づく。そんな中、虹色熱という魔法病の緊急事態発生!厳冬期で領外から薬を取り寄せることはできない。しかしジネットはあきらめない。彼女は雑貨屋さんならではの奇策で打開を目指す!いよいよ本格始動する雑貨屋さんストーリー、第2幕ここに開店!
おー、着々と街ができ始めましたよー。街というよりも、同系統の店が一件ずつしかない、どころか生活に必要な店もまだ揃わないような、まだまだ小さな村程度の規模なんですけれど、それでもジネットの雑貨屋の店舗が建てられ、営業を開始したようにあちらこちらからユリウスやその伝手を通じて招聘された若者たちが、一国一城の主として店を構えて動き出す様子は、新しい街の始動という新鮮な息吹を感じさせられて、なんとも清々しい。
面白いのはこのシャルパンティエ領。普通の開拓村などとは違って、一からなにもないところから始められた領地ながらも、近くに未踏破のダンジョンがある、ということで最初からダンジョン目当ての冒険者を対象とした街、としてスタートしてるんですよね。だから、シャルパンティエの最初期の住民となる者たちは全員冒険者相手の店主や冒険者ギルド関係者であって、開拓民や農民、漁師などといった通常存在する第一次産業の従事者が皆無なのである。広義で考えると、ダンジョン攻略の為に滞在する冒険者たちがこの第一次産業の従事者に当たるのかもしれないけれど、彼らは定住者ではありませんからね。だから、一番近しいあり方としては、鉱山の街、というのが似ているのかも。
とまれ、シャルパンティエでは街の始動=各店舗の営業開始、となっていて、こういうのも変だけれど地元商店街のお話、めいた雰囲気も感じられるんですよ。地元のお店みんなで協力しあって、盛り上げていこう、みたいな空気が。若者ばかりではなく、名うての元ギルドマスターが隠居先にと奥さんと転居してきて、その経験豊富さから見事にすっぽりと、みんなの相談役、みたい重石となるなポディションに収まってくれましたしねー。
実家から独立してきた妹のアレットが、ジネットのもとに転がり込んできたことで、ジネットの雑貨屋も単にお店、というだけではなくて家族と一緒に住む我が家、という匂いもついて、にわかに街ぐるみでアットホームな雰囲気が醸成されてきたわけですよ。
これが、本当に零のまっさらな更地の状態から地道に、でもすくすくと育つように出来上がっていく姿をつぶさに見守ることが出来たわけで、より一層この作り上げられたアットホームな空気に親しみやら共感を抱いてしまうわけです。ほんと、一から出来上がるのを見てたわけですしねえ。
そして、まだ生まれたての、でもしっかりと出来上がって動き始めたシャルパンティエの最初の集大成として、最後のあの事件が起こったと考えれば、あの街のみんなで、常連となってる冒険者さんたちも含めて、一致団結して乗り越える障害としては、良いタイミングだったんじゃないかな。初々しくも、まるで昔から一緒に街を背負っていた古馴染みのように、気心の知れた協力体制は、出来立ての街とは思えない息の合いっぷりであり、そのまとめ役としてどれだけジネットが、シャルパンティエの成立に大きな役割を果たしていたのかが如実に浮かび上がる事件だったんじゃないでしょうか。さすがは筆頭家臣、と一目置かれるだけあります。
まだまだ、街づくりで忙しく、ユリウスとの進展はぼちぼちでんな、というところですけれど、それはこれからのお楽しみ、というところで。事件を乗り越えより一層発展の気配をみせはじめたシャルパンティエ領、続きが楽しみ楽しみ。

1巻感想