聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》12 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱《ワールドブレイク》12】 あわむら赤光/ refeia GA文庫

Amazon

諸葉不在の学園を襲う、招かれざる悪魔ども――亜鐘学園実戦部隊の総力をもって、絶望的状況を覆せ!!

「発表しまーす。今日、この学校は」
「オレたちの手で滅ぼすと決めた!」
諸葉不在の亜鐘学園を襲う未曾有の危機。反・救世主を唱える六翼会議の熾場亮が暗躍し、レナードとルイーズ、そしてヂーシンまでもが、学園壊滅の嵐を巻き起こす!
対抗するのはサツキ、静乃をはじめとした実戦部隊の精鋭たち。絶望的危機下にあって、誰もが命と全力を賭して立ち向かう。心は一つ、諸葉の帰還をひたすらに信じて……!

「皆のことはこのあたしが守ーる!!」
「夫の留守を守るのは妻の務めよ?」

招かれざる悪魔どもの来訪に、一致団結で立ち向かえ!
若き総力結集の防衛戦に挑む、超最強学園ソード&ソーサリィ第12弾!!
諸葉が居ない中での、残された亜鐘学園の生徒たちの激闘。六翼会議のメンバーの実力たるや如何なるものか、と思ってたんだけれど、なるほどなあ。如実にSクラス未満Aクラス以上、というあたりになるのね。ぶっちゃけ、諸葉を除いてもSクラスとAクラスには隔絶した差がありすぎて……ちょうどこの中間クラスが存在しないんですよね。その意味では、六翼会議のだいたいのメンバーはこの中間クラスにあたるわけか。新たに加わったヂーシンと、ロシアの雷帝はSクラスの一番下あたり。逆に石動隊長は限りなくAクラスの頂点に近いところまで実力を引き上げている、にも関わらず、隊長はどうしてももう一歩届かずに悔しい思いをし続けてるのが、辛いなあ。
かつて、ヂーシンにまるで歯が立たなかったのもさることながら、今回Sクラスに至らないであろうレナードにも一対一では伍しきれず、地べたを這うことになったのは悔しいことこの上ないだろう。隊長も、どんどん強くなっているにも関わらず、これだけ敗戦を重ねてしまっているのは、読んでいるこっちも辛いです。もっと報われて欲しいし、これだけ負け続けてしまうとどれだけ精神的に強靭な隊長でもどこかで悪堕ちしちゃうんじゃないか、という不安がつきまとってしまいます。ヂーシンに負けた後も危惧してたんだけれど、そんな不安を吹き飛ばすように揺るぎなく正道を歩み続けてくれて、隊長は大丈夫、と一度は安心したものですが、そこから勝利を得るのではなくさらに敗北を重ねてしまう展開になるとなあ……実際怖い。
伸び悩んでいるわけでもなく、レナードも絶賛しているようにその実力は着実にAクラスを超えつつあるわけですし、今回の防衛戦では戦線を支えきったMVPだと思うのですけれど、結果として勝ててない以上、隊長としても納得出来ないでしょうし。
意外と今回の戦い、身内側でも明暗分かれたような感じで、株をあげたのが副長の神崎とやはりサツキになるのか。そしてモモ先輩。神崎副長、本気でただの変態だと思ってたら、ここまで前線指揮官としての指揮能力に秀でているとは思いませんでした。これって、ログ・ホライズンのシロエばりの全力管制戦闘だわなあ。
モモ先輩は、というとこの人はBクラスというのが不思議になるくらいの活躍で。同時に、自分の限界の向こう側を、敵であるレナードに見出したことで、スピードタイプとしての進化の手応えを得てるんですよね。自分が進むべき道の具体例が、敵とはいえはっきりとそこに見いだせたわけで、手探りのママ進むよりもよほど進捗は早くなるでしょう。
そして、ひたむきに努力し続けた結果、それに見合う順調な成長を見せたサツキ。この娘に関しては、余計な業とか小細工抜きで、ひたすら脇目もふらず基礎工事で土台を鍛えてたらその分、想像を絶する超巨大建造物が出来そうな超巨大基礎が出来てました、みたいなノリで、どこまで底が抜けるのか楽しみになってきた。器の大きさの限界が見えない、という意味ではもしかしたらすでに訳の分からないことになっている諸葉よりっも、サツキの方がおっかないことになりそうで、ちょっとワクワクしている。

一方で、努力不足が露呈してしまったのが、静乃なんでしょう。ストイックなくらいに強さを探求している隊長や、努力を欠かさないサツキに迷いながらも進み続けるモモ先輩なんかに対して、静乃は実力を伏せるなんて悠長な真似をしている間に随分と置いてけぼりをくらってたんですなあ。神崎先輩のあの一言は厳しかった。昼行灯を気取ってやるべきことを怠っている者が、いざという時に限界を突破した何かを掴めるのか、というとそんなわけがなく、そんなはずがなく。今回、物語の流れというか回転からして、諸葉不在の中で静乃が大活躍しそうな順番だったと思うんですよ。あらすじでも、それっぽいことを匂わせていますし。ところが、実際はというと戦力のひとりとして相応の働きはしたものの、目立った活躍があったかというとお世辞にも秀でたところがあったわけではなく、肝心な所で実力不足を露呈してしまった感すらある。なかなか、厳しい展開じゃあないですか。
出来ないものは出来ない、という厳然たる現実は、マーヤについてもおんなじで。アニメでは彼女、あっさりと再現成功させていた校長の固有秘法を、しかしどれだけ頑張っても、泣き叫びながら振り絞っても何も成せなかったわけで。この作品って、諸葉がそれこそなんでもやってのける完璧超人なんでそっちに目が行きますけれど、意外と出来る出来ないの厳然たる区分け。やるべきことをしっかりやっている人としていない人に対する正当な結果、が結構如実に描かれてるんですよねえ。だからこそ、その境界線上で足掻いている、石動隊長以下の主人公以外のメンバーの活躍がしっかりと輝く作品になっていると思うんですけれど。

さて、ラストで最近おとなしかったロシア支部がどえらいことになってますけれど、ロシアの雷帝の今後が問われる展開でもあるなあ、これ。

シリーズ感想