世界の終わりの世界録<アンコール>4 異端の覇王 (MF文庫J)

【世界の終わりの世界録<アンコール> 4.異端の覇王】 細音啓/ふゆの春秋 MF文庫J

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伝説の英勇エルラインが遺した至宝「世界録」。その在り処を世界中の国や旅団が探し求める時代―聖女エリエスとの邂逅を経て、揺るぎない決意を胸に刻んだレン。次の目的地として一行は、不穏な動きを見せる「王立七十二階位特務騎士団」の真意を測るべく、エリエスの「カナン巡礼聖教船」と共に覇都エルメキアを目指す。待ち受けるのは、世界最強の男・騎士王ゼルブライト、そして精霊の怯えの正体を探る剣聖シオン。偽英勇は、やがて伝説となる英雄たちの輪舞曲の中心で、その存在を証明する―いま、最も王道を行くファンタジー、大騒乱の第4弾!
ようやく、「世界録」というものの持つ意味が見えてきた。これまで、勲章みたいな扱いで探し求められているだけで、実際それが何なのか。そこに何が記されているのか。それを手にすることが何を意味するのか、何も語られてなかったわけですし。それを知っているはずの三大姫は、一切口を噤んだままでしたしね。結局、この世界の成り立ちから隠されていた秘密、かつて英勇エルラインが三大姫と共に戦った終焉戦争の真実を旅の中でちょっとずつ知っていくことが大事なのか。いきなり先に真実を告げられたとしても、それが本当に真実なのかわからないですしね。ねじ曲げられた恣意的な事実なのかもしれないし、見解・解釈の違いだってあるでしょう。三大姫は、そのへん、自分で知って自分で確かめ、自分で納得した真実であるべし、という共通見解のご様子で。
それはそれで、導き手の思考だなあ、と思わなくもない。でもまあ、レンも成長したとはいえ、まだ三大姫は一度ラスボス戦クリアした強くてニューゲーム状態で、その力量を存分に示してくれた今回の暴れっぷりを見る限り、まだまだ対等には程遠そうだもんなあ。それでも、レンの心意気は彼女らの期待をいささかも裏切っていないんだけれど。
ぶっちゃけ、レンのライバルってどうしたってエルラインなんですよね。三大姫の対等の仲間でありリーダーであり、本物の英勇であった男。追いかけているのは常にエルラインであり、並ぼうとしているのは姫たちなわけで……世界最強の男はこういっちゃなんだけれど、役者不足だ。ゼルブライト、以前から最強最強とうたわれてその名前は伝え聞いていたけれど、こんなにつまらない輩だったとは思わなかった。本当に、ただ強いだけでそれ以外何にも持っていない空っぽの男じゃないか。強い以外、信念も期待も意思も希望も持たない、その程度の男がスカしてんじゃないよ。偉そうに、立ちふさがってんじゃないよ、と思ってしまった次第。強いだけの男が、それしか基準を持たない男が、強さでしか世界を量れない程度の男が、ほんとうの意味で世界を掴もうとしている男を見定めようなんて、おこがましいにも程がある。
ちょっと敵キャラにしても、ライバルキャラにしても、これはつまらなすぎるんじゃないですか、と言いたくなるなあ。
その意味では、色々と思惑あり陰謀あり厄介事を企んでいそうな、二位以下の「王立七十二階位特務騎士団」メンバーの方が面白そうではあるんですよね。
まあ今回は、珍しくキルシェたちが全力全壊で大暴れして、スッキリしてたので、こちらも思わず微笑ましさに和んでしまいました……ん? 彼女たちはフリーダムにしてる時が一番輝いてるよね、うんうん。

細音啓作品感想