路地裏バトルプリンセス 2 (GA文庫)

【路地裏バトルプリンセス 2】 空上タツタ/平つくね GA文庫

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朱羅姫 VS 跳拳妖精(スプリンガン)!!

「でも……お前が心配なんだよ」
「ええー! ……って、ちょっと日月。きみあれでしょ。私の心配じつは二の次でしょ」

不審者出没に悩む小町の護衛を建前に、アニメの聖地と化した佐倉女学院へ女装で潜入する日月。
ところが――

「惰弱、脆弱。いけませんね弱い男は」

不審者を制したのは、同じくコスプレで潜入していた三つ編みの少女。
しかも彼女は、引退した元6位の血闘者《跳拳妖精(スプリンガン)》だと名乗り――!?

一方《血闘》自粛中の路地裏では、血闘者だけを狙う襲撃事件が横行。
果たしてその目的は……。

白熱の路上バトルアクション第2弾!
日月のこれって、コスプレ趣味じゃなくて純粋に女装趣味じゃあないのか? と思ってしまうくらいに、女性へのなりきりっぷりが凄いんですが。女子校に潜入するのに一切躊躇なかったよね? 警戒の仕方も、自分が校外の部外者である事に対してであって、男だからという点については殆ど意識してなかったよね?
中身は普通に男らしい男なだけに、余計の女装状態の躊躇のなさに周囲の方がうろたえてしまうのが何となく笑えてきてしまう。でも、衣装へのこだわりといいほんとにこの趣味が好きなんだな、というのが随所から伝わってくるのは悪くない。だからこそ、その趣味に対して理解を示してくれるだけではなく、撮影など色々と付き合ってくれる小町に対して、日月の方からけっこうはまってる節もあるんですよね。うん、だからこそ小町の方がメインヒロインっぽく見えるのかな。お互いに、色んな種類の好意が絡まり合って引っ張り合ってるんですよね。
今回のお話は、ある意味小町がプライドを持って生きてきた世界に対して、日月が理解し受け入れ共有する話でもありましたし。この作品、徹底して暴力はどう言い繕うと暴力だ、というスタンスなんですねえ。その上で、暴力とそうではない闘いの境界線上を突きつけてくる。血闘それ自体が、非常に危うい均衡の上に成り立っているものであり、自覚的にあるいは無自覚に、血闘者は容易にそれを踏み越えてしまう危険をはらんでいる事実を突きつけてくる。その上で、人を傷つける無秩序な暴力ではない、お互いを尊重しあう闘いとしての血闘というものの意義を、そこに確かにかけがえのない何かがあることを、物語は描こうとしているわけだ。
一巻ではくるみが、そしてこの二巻では小町が、身を挺してそれを証明しようとして、日月はそんな彼女たちの決意を、覚悟を、切実な願いを守るために彼自身、拳を握ることになるのだ。一巻ではまだ部外者だった彼だけれど、この二巻において彼は初めて、血闘者として戦うことの意味を理解し共有することになる。誰かを傷つける闘いではなく、戦う相手をすらリスペクトする闘いを、はじめて得ることになるのだ。
なんちゅうか、単純に悪いやつをやっつけろ、という内容ではなく、ひたすら戦うという行為の暴力性とそうでない部分を追求し、探求し、哲学しようとし続ける話は、登場人物のみならず物語自体がひたむきでなんか好きだなあ。
しかし、小町は本当に可愛いなあ。
明朗快活な彼女だけれど、決して荒っぽかったり粗野な女性ではなくて、さすがはお嬢様学校の人、というくらい実際はお淑やかな部分が随所に垣間見えるんですよね。品がある、というのかこういうのは。気楽に友達付き合いできる気安さと明るさ、女性的な柔らかさ優しさ落ち着きや性格的に楚々とした面が両立していて、ヒロインとして実に魅力的なんだよなあ。今回は最初から最後まで物語の核として牽引してくれましたし、うん堪能できる小町回でありました。

1巻感想