神鎧猟機ブリガンド2 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 2】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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鋼鉄の鎧“ブリガンド”を駆り、『悪魔狩り』を続ける斯波連志郎。情報統制されている中でも“ブリガンド”の映像はネット上に出回っており、その正体が何かという憶測が飛び交っていた。当の連志郎はあくまで復讐者であるという姿勢を貫くのだが、ある日その信条を揺るがす事件が起きる。そして亜麻音たち“フォスファー”は対“ブリガンド”の分析を進めており、反攻の機会をうかがっていた。そんな中、紫織が福引きで当てた優待券で、連志郎や綾たちみんな揃って海沿いのアミューズメント・パークへ行くことになる。するとそこへ“悪魔憑き”が現れ―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、第2幕!
この紫織というヒロインの振る舞いは面白いなあ。基本的に彼女、連志郎に対して何か申し立てたり物言いをつけたり意見したり、というようなことは何もしていないんですよね。殆ど、何も言わないヒロイン。だけれど、決して思うところがないわけではなく、何も言わないからと言って意志薄弱な流されやすい性格をしているわけでもない。押し付けがましくないだけで、紫織という娘はけっこうはっきりとした明瞭な意思を以って連志郎にプレッシャーをかけてるんですよね、これ。本人は戸惑い迷い自信なさげに振舞っているけれど、一方で連志郎を傍らで「見続ける」という行為に関してはかなり強い目的意識と確信をもって行っている。
あの「見守る」という観測行為は連志郎に対してかなり「促してる」感じなんですよね。
押し付けがましい言葉ではない分、余計に彼女の視線は連志郎に自分を省みる機会を与え続けている。ずっと見られている、或いはずっと見ていてくれているというのは、どうしたって自分がどう見られているか、が気になってしまうもの。恥ずかしい振る舞いは出来ないし、無様な真似も見せたくない。そう頭をよぎるものがあれば、じゃあ自分にとって何が恥ずかしいのか、何が無様なのか、彼女にどんな風に見られたいのか、というところに意識はあてられていくものです。彼女の視線に、自分への信頼があるなら尚更に。
さて、そんな視線を無視できるほどに視界が狭くなっているならともかく、連志郎はなんだなかんだと復讐者を名乗るには、心をガチガチに固めた壁で覆っている、というわけではないからねえ。好きなものがあり、そこに拘りがあり、執着があり、好意がある。それは、心の余裕だよ。
その意味では、最初からダークヒーローなどには成りきれない主人公でありましたけれど、これほど早くチョロい側面をみせはじめたのには、紫織の影響は無視できないんじゃなかろうか。あんまり何もしていないようでいて、何気に存在感の大きなヒロインである。すでに、無言で寄り添い支える献身的ヒロイン、という風情で鉄板の様相をみせはじめてるし。
まあだからこそ、余計に阿川の勘違い行為は気持ち悪さ覿面だったんですが。うん、幾らなんでもこれはキツイ。自分の痛々しさにまったく内省がないタイプというのはなんともなあ。
さすがにおじゃまがすぎたので、生贄扱いにもむしろ安堵を覚えたくらい、というのはさすがにアレかしら。

1巻感想