神話大戦ギルガメッシュナイト (HJ文庫)

【神話大戦ギルガメッシュナイト 2】 翅田大介/Ryuki  HJ文庫

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聖王ギルガメッシュの『聖楔者』であるディーナ・チャレンジャーの正式なパートナーとして『摩天の夜宴』を戦うことになった宿儺星一郎。早速、自宅にて一緒に風呂に入るなどディーナとの仲を深めていたところ、幼馴染みの忌寸刀羽華が現れ、思わぬ修羅場に突入。そして立派に育った(主に胸)刀羽華までも『聖楔者』になったことを知り、戦いは新たなステージを迎えるのだった。
伝統的にこれを着ないとダメな改造巫女服かと思ったら、これ私服なんですか!? 痴女じゃん、ただの痴女じゃん!! 救いは当人はファッションに無頓着で、服を選んだのは妹だ、という点くらいか。でも、痴女じゃん!!
というわけで、清楚系のはずなのに見た目があれな幼馴染が登場。なんかテコ入れがあったのか、と思うくらいディーナと刀羽華の二人で色仕掛け、という展開が多発したのだが……主人公、反応しなさすぎだろう。わりと平気で肌を晒す女性陣もどうかと思うけれど、そこまで体を張ったアピールに対して、慌てすらせずあそこまで事務的にあしらわれたら女性としての挟持は傷つくわなあ。さすがに、これはちょっと異常だろう、と思ったら実際星一郎、異常をきたしていたらしい。最初からメンタル面、ある程度ぶっ壊れていたのか。
星一郎の聖楔者が「全き人間エンキ=ドウ」である事を考えるなら、彼の人間としての破綻、不具合はなるほど、エルキ=ドゥの逸話をある意味踏襲していると言えるのだろう。だとすると、刀羽華はエルキドゥを人間にした巫女シャムハトとも見立てることも出来るのか。実際の彼女の聖楔者の力の元は全然違うんだけれど、今回の敵である波々木節奈との関係から見ても、彼女の立ち位置って英雄神よりも奇稲田姫っぽいんですよね。
この第二巻は、だから過去の出来事から人間として欠けてしまっていた星一郎が、二人のヒロインにそれを埋めてもらい、人間に戻る、あるいは人間になる物語だったわけだ。
ヒロイン二人がかりとはいえ、やり方がそれぞれ違うのも面白い。刀羽華の方は彼が壊れている原因を深く理解していた上で、ディーナにも事情を語って理解を共有すると同時に献身によってそれを埋めようとする一方で、ディーナの方はむしろ突き放すことで自覚を促そうとするあたり、彼女の在りようというのは「王様」っぽいんですよね。内面的には女の子らしく、星一郎の代償行為に傷つきながら、振る舞いとしては厳しく叱咤する。さてその挟持は女性としてのモノとも言えるし、また王らしい厳格な振る舞いとも言える。二人共チョロいのは確かなんだけれど、やり方は違うとはいえ男が甘え続けるのを許してはくれない、なかなか厳しくも真ん中に一本芯が通っているカッコイイ系のヒロインではあるんですよねえ。そのへんは、翅田作品の片鱗があるのか。
ともあれ、この一巻でがっつり叩きなおしてしまうとは思いませんでしたけれど。いやでも、あの壊れていた部分が矯正されたとなると、ディーナも刀羽華もちゃんと女の子として見られるようになるわけで、今までみたいなノリで迫ると、あっさり星一郎手を出してしまうんじゃないだろうか。いいのか、これ?w