クロニクル・レギオン  3 (ダッシュエックス文庫)

【クロニクル・レギオン 3.皇国の志士たち】 丈月城/ BUNBUN ダッシュエックス文庫

Amazon

獅子心王リチャード一世の襲撃から辛くも駿河を守り切った征継たち。だが息つく暇もなく、大英帝英軍が東海道地方の州都・名古屋を陥落させてしまう!壊滅状態の東海道州を立て直すため、東海道総督の座を立夏が継承し、駿河を臨時州都とした新東海道将家が成立。さらに皇女志緒理は歴史の表舞台に立つため、東方ローマ帝国の大元帥カエサルをも巻き込んだ大胆な賭けに出る!ついに軍の中心に躍り出た志緒理。腹心の将として、新東海道軍特務騎士団「新撰組」の副長に就任した征継。そしてローマが呼び寄せた謎めいた新たな復活者…。大英帝国軍指揮官・黒王子エドワードが本陣を講える箱根にて、ついに両陣営が全面衝突する!
征継の正体、ついに発覚! というのは正確ではなくて、竜胆先生の啓示と志緒理の推測に基づくヒントから、なんだけれど、あそこまで書いたらわかるよ!!
しかし、これはまた意外なところ突いてきたなあ。これ、その方面の歴史について調べてる人でないと、まず一般的な知名度は無いに等しいんじゃなかろうか。ちなみに、私は知りませんでした。ただ、戦歴をみると尋常じゃないですね、この人。英傑のお歴々に全く引けをとっておりません。というか、これ冗談じゃなく史上もっとも世界の広範囲で戦った将軍なんじゃないでしょうか。パッと思い返しても、これに比肩するのって東はノモンハンで関東軍いわして、西でドイツ軍相手にドンパチやってたソ連のジューコフ将軍くらいしか思い浮かばないんですけど。
航空機が存在する近現代ならまだしも、馬しか移動手段がない時代でユーラシア大陸の東西でこれだけ戦って勝ちまくった、というのは史実でなかったら盛りすぎじゃないか、と疑いたくなるような戦歴じゃあないですか。
これだけ縦横無尽に大陸を駆けまくった、途方もなくだだっ広い戦争をやっていた人が、極東の島国の、それも東海道の狭っ苦しいところでチマチマと戦っている、というのも何だか違和感を催すところなんですけどね。
それをいうと、騎馬民族相手に大遠征した衛青にしても、十字軍で中東まで攻め入ったリチャード一世にしても、はるばるガリア征伐を行ったカエサルにしても、とにかく戦域がワールドワイド、なイメージがある英傑ばかりなので、ちょーっちこの戦場のスケールは狭っ苦しい感じはなきにしもあらず。
ただ、その限定されたフィールド、制限された駒の数、それ以外にも戦争のルールが定められているなど、様々な制約がある状態でありながら、各人ともにその制約をむしろ楽しみながら伸び伸びと楽しく戦争をやっているなあ、という感もあり、あまりエドワードも征継も戦争狂のリチャード一世を笑えないんじゃないだろうか、これ。征継なんか、この内戦と文化祭のミスコンを同列に置いて楽しんでいる節もあるし。楽しんでいる、と言ったらおかしいのかもしれないけれど、責任感や義務感、或いは野心で戦っているのとは違うっぽいですし。天衣無縫というか、何事にも囚われない自由さ、というか。好きにやってるなあ、という風なんですよね。強いていうなら、女の為、皇女志緒理の望みを叶えるため、というのがらしいのかも。
この辺の粋さ、については土方歳三とはまたひと味ちがうんですよね。しかし、日本の復活者って真田信繁とか楠木正成か、これに土方歳三を加えても、なんでこう、滅びの美を飾った人たちばかりなのかしら。日本人、こういう人ら、好きだから仕方ないのかもしれませんけれど。考えてみたら、九郎判官もそうだわなあ。

しかし、征継がやはりこれだけ楽しそうに見えるのも、三人もの美少女を侍らしているからなんでしょうなあ。姫や妹に加えて、颯爽とした武人である立夏さんまでお手つきにしてしまって。それは手段として必要だから、という建前があるはずなんですが、この主人公建前なんかあまり気にせずに、かなり素直に女の子の素肌をぺたぺた触るのを楽しんでるんですもん。男の欲望に正直、というかなんというか。変に繕ったり誤魔化したりしないあたり、女慣れしているなあ、というのが良く伝わるのです。一方で、ガツガツしない余裕もあるから、女性陣に無理は強いませんし、愛でている、というのが一番ふさわしい表現でしょうか。
戦いにおける生と死の瀬戸際を悠々と綱渡り、強敵と槍を交わし策をぶつけあう楽に興じ、その合間に可愛い女を愛で、ついでに学生としての日々を堪能する、と。
……人生、謳歌してますなあ、征継さん。うん、補給は大切大切。これは絶対に疎かにしてはいけません。

シリーズ感想