聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 13 (GA文庫)

【聖剣使いの禁呪詠唱<ワールドブレイク> 13】 あわむら赤光/refeia GA文庫

Amazon

亜鐘学園にも卒業式の日が訪れた。
実戦部隊の次期隊長も決まり、敬愛する先輩たちが旅立っていく朝に諸葉が思い出す記憶とは――

「大人しく性欲の餌食になれぃ!」
斎子と真夏のセクハラ海水浴!

「モロハ、遠慮なく揉むのデース」
ソフィの大胆すぎる勘違い?

「兄様、もう脱げないよぉ……」
「諸葉の全裸は私が守る」
女子寮騒然の脱衣ポーカー大会開催で諸葉の貞操が大ピンチ!!

心拍数ドキドキの肌色シチュエーション満載な嬉しすぎる大騒動♪

一方、遠くロシアの地にも勇気ある別れの星が瞬いた。

めくるめく展開に興奮必至の学園ソード&ソーサリィ、危険な第13弾!!
久々に見たなあ、こんな酷い表紙絵(苦笑 いや、男の尻が揉まれてるジャケットデザインとか見たこと無いから久々どころじゃないかもしれない。

というわけで、石動先輩たち三年生の卒業に合わせていくつかのエピソードを盛り込んだ短篇集。12巻と次の巻を繋ぐ幕間回でもあります。石動隊長たち三年生が抜けることで、実戦部隊も新体制を迎えることになるのだけれど、Aランクの石動隊長を始めとして実力を持つメンバーの多くが三年生に偏っていたために、彼らがごっそり抜けるのはかなり不安だったんですよね。静乃とサツキ、そして春鹿先輩を除くとCランクすら殆どいない本当に心もとないメンバーだけに、諸葉に頼り切りになってしまうのではないか、と。
そこの懸念は三年生諸氏も共有していたようで、石動隊長の後任となる新隊長の人選は、ある意味すごく納得でした。思えば、登場当初から人の上に立つべき資質は折々に触れて示してましたもんね。あれだけお調子者でやかましく鬱陶しい人間にも関わらず、メンタルのブレの無さはもしかしたら石動隊長よりも頑強かもしれないし、周りのこともよく見ているし、諸葉に対しても一切特別扱いせずに最初から先輩風吹かしてましたからねえ。諸葉に対して一貫して色眼鏡で見ないで、ちゃんと後輩として接してたのって実はこの人くらいなんじゃないだろうか。あれだけ突出していた諸葉が、あっさり実戦部隊に馴染んだのってこの人のお陰、という面は間違いなくある、と思われ。
普段は馬鹿ばっかりして迷惑かけまくるだろう人だけれど、肝心なときにはすごく頼もしいんじゃないだろうか。石動隊長みたいに全力で引っ張るタイプじゃないけれど、むしろこういう支えなきゃ、こっちがちゃんとしないと何やらかすかわからねえ、というアホな隊長の方が今の弱小メンバーは奮起しそう。
さつきは、まあ確かにもう一年。ちゃんと最上級生になってからだなあ。この娘も上にたったら良いリーダーになりそうだけれど。


「鬼副長の甘いワナ」
なんで、こんな女として終わってるというかエロオヤジをこじらせているような人が、見てくれは美人なんだろう。というわけで、斎子副長の鬼畜さを諸葉、これでもかと味わうの回。いったい何をどう育てたら、こんな酷いセクハラ親父に成長してしまうのか深刻に首を傾げたくなる。母親の方はわりと厳格でまともな人っぽいのに。やはり、セイバーらしく前世の影響なんだろうか。かわいそうに。
まあ、これに目をつけられて絡まれる諸葉の方が明らかにかわいそうなんですけれど。こんな中身ゲス親父な女性の生肉に思わず興奮してしまった諸葉の敗北感は想像するに余りある。


「アメリカ娘のミステイク」
ソフィア先輩の場合、ほぼ天然百%なのが恐ろしい。この人も最初の方はもっと色々と含みをもたせた怪しげな一面を持ったキャラクターだと思ってたんだけれどなあ。むしろ逆に、これ以上なくあけっぴろげな人過ぎて、うんこれは幾らなんでも無防備すぎる。
今回の短篇集は、諸葉も年頃の男の子なのだよ、というシャイというか初心な一面がけっこう垣間見えてよかったんですねえ。まあ、彼の場合このたぐいの主人公としては珍しいくらい、一貫して親しみやすいキャラなんですけれど。


「春鹿と斎子の放課後クッキング勝負」
……春鹿先輩、ちょっと追い込みすごすぎじゃないですか? 周回遅れ呼ばわりされたこの人ですけれど、ひたすら脳筋方向に突っ走っているさつきに、もったいぶりすぎて押しどころを見失ってる静乃、ある種の沼にハマってしまって遠いところに行ってしまったエレーナ、とヒロインとしてはなぜか残念な方向に迷走している他のヒロイン衆に対して、春鹿だけは着実に女子力あげてヒロインとしての徳を積み重ねてるんですよね。今回なんか、ついに諸葉の胃袋を掴んじゃいましたよ。もはや周回遅れどころか、追い越してないかこれ?


「宗谷真奈子の好き嫌い」
うわー、すごく面倒くさいタイプの女性にも関わらず、むしろそれがいい、というところまで至っちゃってる丈弦先輩、ガチでべた惚れじゃあないですか。この先輩、スマートな人柄だけにこっそり付き合ってるといっても、もっと余裕あるのかと思ってたんだけれど、デートの様子なんか見てたらいっぱいいっぱいにも程がある。ちょっと好きすぎだろう(笑
それにしても、デートでばったり、というシチュは一緒にも関わらず、諸葉の痒いところにまで行き届いたフォロー含みの可愛い後輩っぷりと、悪魔の様なさつきの所業の格差には笑ってしまった。いや、本当に無邪気に酷いな、さつき。これは殴りたいww


「サツキと斎子の女子寮ポーカー勝負」
これ、最後までサツキが負けてたら諸葉、斎子先輩にいったいどこまでされてたんだろう。鬼畜系エロゲの陵辱もかくや、というレベルにまで至ってたんじゃないだろうか。なにそれみたいw
ともあれ、無事人生終了していたのは間違いなし。サツキの豪運なのにポーカーフェイスが一切出来ない、という凄まじい弱さはちょっとおもしろすぎるでしょう。これで自分が弱い、という自覚があるならまだしも、あれだけ負け続けているにも関わらず、まったく揺らがないあの自信はどこから来るのか。この娘のアホさ加減も留まるところを知らないなあ。そこが可愛くもあるんだけれど、そこにヒロインとして、という冠がつくかどうかは微妙。
しかし、これビジュアル的にみたら凄まじい展開ですよね。作者、なんかネジ外れた?


「血戦 エカテリンブルグ」
12巻の衝撃のラストからどうなったのか、に合わせて雷帝が諸葉に敗れたあと、どうなっていたかについてもこの話で語られるのですが……そうだよなあ。雷帝がこれまでやってきた事がチャラになるわけじゃないんですよね。彼女の心を挫いたところでそのまま放置、というのは雷帝当人とロシアの人たちにとってそれはそれで厳しい処置だったと思うんですよね。自分たちで、これまでのことの精算と今後のことについて考えやってかなければいけなかったわけですから。
その中で、カティアはよくやっていたしこのまま行けば、ある程度は成果と安定は掴んでいたんだろうとは思うんだけれど、ヴァシリーサについてはどこまで助けられていただろうか。
彼女のへこみっぷりはちょっと予想外でしたけれどね。思うところはあったんだろうけれど、むしろだからこそ余計に立ち直れなかったんだろうなあ。自分だけのことなら、折れたものを鍛え直すことも出来たかもしれないけれど、彼女は前世も今世も王として在り、彼女なりに責任感を以って統治を行っていただけに、取り返しのつかないものに関してちゃんと理解し、受け止めていたわけだ。本当にただの暴君だったなら、あっさりと心いれかえられたのかもしれないけれど。
それこそやり直すには、もう一度生まれ変わらなければならないのかもしれない。


「エピローグ」
なるほど、そう来たか、と頷くばかりのラスト。そうだよなあ、この作品の主人公の一人である石動隊長を、このまま卒業、異動という形で物語の最前線から離すのはありえないですよねえ。
幸いにして、前任者が図らずも居なくなってしまったこともあり、この配置は大いにあり、かと。いや、本当に三年生全部抜けてそのままだったら、さすがにヤバかったもんなあ。


シリーズ感想