アルバート家の令嬢は没落をご所望です (2) (角川ビーンズ文庫)

【アルバート家の令嬢は没落をご所望です 2】 さき/双葉はづき 角川ビーンズ文庫

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表向きは才色兼備の大貴族の令嬢、本性はコロッケ好きで変わり者のメアリ・アルバート。従者のアディは唯一の理解者で、いつも一緒だった。実はアディはメアリにずっと片想いしているけれど、メアリはまったく気づかない。そんな中、メアリがアディを置いて留学することになって!?「どうか俺だけを、一人の男として隣に置いてください」長年のアディの想いは実るか否か!?爆笑胸キュンラブコメ、見逃し厳禁の第二巻!!
どうも、このデザインのアディは慣れんなあ。こんな余裕たっぷりのイケメン男子じゃありませんからねえ。あのすっとぼけて結構三枚目で、メアリをからかう一方で散々引っ掻き回されて涙目なってるのが良く似合う、親しみやすい兄ちゃんだからこそ、好きなわけですから。
ともあれ、悪役令嬢ものとしてゲームのクライマックスを目指すコメディものは前回第一巻でたどり着いた本作、ゲームシナリオ的には終了して、筋書きのないその後のお話となった今回は、ラブ増強のラブコメ仕様となっております。それでも、単純にだだ甘の当分高めのラブラブものにならず、相変わらず常識を踏み外したメアリお嬢様の暴走コメディとして笑い混じりに恋愛調が高まっていくのは、読んでいても楽しかったです。
アディが必死の思いで執事としての分を踏み越えて、メアリの傍らに寄り添う資格を手に入れようと決意した途端、メアリがやらかしたあのシーン。あれは笑った笑った。
アディ、あれ目的を達するための手段としてそれを要求したにも関わらず、メアリってば手段としてのそれを与えるために、アディの最終目的であるそれをぽんと与えちゃうんですから。
その手段を得ることだけでもかなり一杯一杯の思いで告げたにも関わらず、手段よりも先に目的を手に入れてしまったアディの唖然呆然っぷりは、もう色々酷いです。肝心のメアリときたら、自分が何をやらかしたか、さっぱりわかってなかったわけですしね。アディ、かわいそうなのかおめでとうなのか、あのわけの分からなさっぷりは素晴らしかった。
一方で、ここから眼の色変えて躍動し始めるのがパトリックである。彼の食い付きっぷりから、八面六臂の勢いで怒涛のごとく動き出す彼の辣腕、豪腕っぷりは、それまでのスマートなイメージを覆す迫力で、キャラ変わってませんか、これ?w
ただ、ここからさらにパトリックという、メアリの元婚約者である青年のキャラクターが魅力たっぷりになっていくのも確かなんですよね。恋によって結ばれなかったものの、幼馴染として、親友の恋人として、最高の友人となるパトリック。アディとの男同士の気心の知れた悪友という感じの付き合いかたも、すごく感じよくて、メアリとアディ、パトリックとアリシアのダブルカップル、四人が一緒にいるシーンのしっくり感は、見ればみるほど笑みが浮かんでくる光景で、いいんですよねえ。
ダンスパーティーで、アシリアがメアリを捕まえて離さなくて、アディ涙目、とかアリシアのダンプカーっぷりはずっと健在なのですけれど。考えてみると、アリシアとパトリックのこのパワフルすぎる行動力カップルは、本来主人公ヒロインカップルとして見ると、盛大に外れてますよねえw

この巻で一番好きなシーンはやはり、メアリがようやくアディの気持ちと自分の気持ちに気づいて、それをふわふわしたままみんなに告げて回るシーンでしょう。あそこのメアリは、うん、めちゃくちゃかわいかった。あそこまで女の子に幸せな顔をさせたアディは、よくやったと言いつつ蹴飛ばすべきでしょうね。実際、この後全方面からいじられまくったみたいですし、アディくん。


留学先のエピソードや、そこで仲良くなってしまった泣くのがデフォのパルフェットたちとの話もけっこう好きなのだけれど、ここらへんはちょくちょく削られた部分も多いか。あのカリーナさんの超ドS系令嬢化がなくなってしまっていたのは、かなり残念なんですけどね。あのカリーナはキャラ立ってたんだけれどなあ(笑

大いに笑い、大いに和み、大いにニマニマ出来る、素晴らしいラブコメでした。あー、楽しかった。

1巻感想