リーングラードの学び舎より 2 (オーバーラップ文庫)

【リーングラードの学び舎より 2】 いえこけい/天之有 オーバーラップ文庫

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「節制?」「はい。掲示板に節制の協力を求める告知がありました」
前代未聞の計画「義務教育」を進めるリーングラード学園で、意外な問題が浮上した。
それはまさかの『予算不足』。
外部との取引に何者かの妨害工作が行われ、このままでは学園の経営も危ぶまれる事態に。
ヨシュアンは自分の生徒たちが独自に金儲けを企み始めるのを的確にオシオキしつつ、学園全体を巻き込んで対策を検討し始める。
それは「生徒たちの自主性も活かしつつ、学園の経済活動を活発化させる」という秘策で――!?
破天荒な教師と生徒たちがファンタジー学園物語、二時間目の授業スタート!

うむむ、思わず唸ってしまった。思っていたよりも遥かに真剣に「教育」という主題に向き合ってる作品だったんですねえ、これ。資金不足とか貴族勢力の横槍とか主人公の過去、という普通は本題になりそうなものこそお囃子であって、あくまで「義務教育」という未知の概念を叩き上げていくと同時に、主人公も教師とは何なのか、生徒にものを教えるということはどういうことなのか、というのを実地で学んでいく話でもあるわけか。一巻よりもさらに「教育」がテーマとなるエピソードが掘り下げられていっているような感がある。これは、ヨシュアンが本気で教師という生業に取り組みだしたからか。一巻では自分なりのやり方でグイグイと突き進んでいたものの、本気で教師として教育に取り組みだすと所々でつまづきが生じだしてしまうわけである。
これ、わかりやすい失敗、とかではないんですね。どれも、気にせずに無視すれば、そのまま進めてしまうような事なんでしょう。でも、生徒たちをどう成長させていくか、に真剣に向き合った時に蔑ろにしてはいけない大事な部分でもあったわけです。同僚の先生とのディスカッションで送られたアドバイスは、なかなか耳に痛いものが多く、読んでいるこっちもなるほどなあ、と頷いたり首を傾げたり。
でも、生徒ひとりひとりどう考え、どう受け止めて、どんな事を思い描いているのかを、きちんと観察し解釈しどう導いてあげるのか。果たして、本職の教師のどれほどがこれほど生徒個人個人に取り組めているのか。先生の生徒の受け持ち人数、少人数が良いというのはこういうのを見る限り、大いに納得できるんですけどね。
自分の知っている何かを教えるのは、簡単……とはイカないか。それはそれでスキルや何やが必要で難しいことなんだろうけれど、まっさらな白紙の状態である子供たちに施す「義務教育」で求められているものは、きっともっと違うものなんだろうね。教えるだけじゃなくて、一緒に考える、一緒に探す。決められた答えなんかなくて、一人ひとり違う過程をたどり、違う答えへと続いている。それをいちいち見つけ出すのは、どれほど大変なことか想像もつかないけれど、彼らがやろうとしていることはそういうことだ。
教師たちが迷い、頭を悩ませ、失敗を反省し、手探りでより良き在り方を探り出そうとしている。この二巻は生徒じゃなくて、先生たちのお話で、それが何ともむしゃぶりつきたくなるくらい面白かった。なかなか、先生サイドのこういうアプローチはないですからねえ。年齢的にも先生たちに共感しちゃうなあ。

1巻感想