ザ・ブレイカー (3) 虚ろの神は人世を狂わす (電撃文庫)

【ザ・ブレイカー 3.虚ろの神は人世を狂わす】 兎月山羊/ニリツ  電撃文庫

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神を名乗る謎の教祖にカナタとリセが拉致され――!?

林間学校を楽しむ葉台高校の生徒たち150名以上が、まとめて拉致される事件が起こる。犯人は、武装した大勢の信徒を率いる、狐面をかぶった少女。
「我が名は“生虚神”。ヒトの未来を担う神でございます」
そう名乗る狐面の彼女こそ、凶悪なテロ計画を密かに進める謎多きカルト教団・黒陽宗の教祖。
拉致された学生、そしてその中にいるカナタやリセも、否応なく、テロへの荷担を強制されるのだった……。
人気サスペンスシリーズ、第3弾!!
また捕まってる!! 1巻からこの3巻まで、皆勤で敵犯罪集団に拘束される主人公とヒロイン。いや、一巻ではカナタは刑務所から招聘されたので少し違うのだけれど、リセについては、捕まってない時間のほうが少ないんじゃないか、というくらいの頻度で拘束されてます。そのせいか、若干対応に慣れが見えてきた感すらあるのがなんとも。
ともかく、またも拉致され拘束されてしまったせいで、カナタの行動には極端な制限がつけられてしまうのですけれど、史上最悪の犯罪者という触れ込みのカナタの能力がこの場合、殆ど対処療法に費やされちゃってるんですよね。事が起こってしまってからそれをリカバーする事にリソースが費やされてしまっているのが、何とも勿体ないというか、いつも後手に回りすぎじゃないか、と思わないでもない。
今回なんか、結局CIROごと出し抜かれた形となり、学校の同級生たちまで巻き込んでしまったわけですからね。最初から捨て駒にするつもりで、釣餌として級友たちを利用する、くらいの極悪非道な心づもりだったならともかく、犠牲については諦める、くらいの強度だったからなあ。悪を為して悪を討つにしろ、偽悪を持って人を救うにしろ、ちょいと中途半端というか天才のわりに実はあんまり結果出せてないんじゃないかなあ、カナタって。今回なんて、教祖さまが最初から意図的に付け入る隙を与えてくれるずさんな計画を立てていたので収まるところに収まりましたけれど、本当に徹底してやる気だったらまずアウトだったんじゃないだろうか、この一件。
実のところ、犠牲はけっこう出ているにも関わらず、物語としてもやや中途半端なんですよね。洗脳やら生徒たちを使ったテロリズムにしろ、触りだけで済ませているので肩透かしだったくらい。特に洗脳の一件なんて、生徒間でもっと地獄絵図な対立が起こるくらい徹底してやるかと思ってたんで、あれだと思想誘導やマインドコントロールにも届いていないんじゃないだろうか。リセが頑張って洗脳を防ぐ、みたいな事もなかったし。
イーグルアイも、あれ本気で言っていたのか、とガクッとなってしまった。いや、同級生連れてCIRO本部に現れるってあからさまに変じゃないですか。それも、ちょうど黒陽宗の本拠地に査察に向かったタイミングで、ですよ。プロなら察しなさいよ、と嘆いてしまいました。あまりな反応に、そうかカナタの意図を組んで演技してるのか、とも考えたんですけどね。メンバーの個々の能力は凄いんだろうけれど、CIROってこれ対テロ組織としては大丈夫なのか、と心配になってしまいました。
一応、黒幕というかすべてに裏で糸を引いていたフィクサーが登場してきましたけれど、とてつもない大物感、とはあんまり縁がなさそうだなあ、という印象。手の届く範囲に降りてきちゃったら、それはもう倒せる敵ですからねえ。

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