天壌穿つ神魔の剣 3 (GA文庫)

【天壌穿つ神魔の剣 3】 高木幸一/狐印 GA文庫

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【残りの欠片がすべて、こちらに向かってきています】
深夜、喋る剣ルガイアからもたらされた情報に驚いたアークだったが、その背後にある国家レベルの組織の暗躍にも気づくことができた。そして欠片を身に宿したリリアを守るため、アークはある決意をする。

やがて、ルガイアの失われた過去の記憶が明らかになる中、アークは黒髪の女性と出会う。
「お前は……」
「ありがとうございました。アーク・リガード。……さよなら」

ルガイアを巡る世界の危機と対峙する時、神魔の剣が今、目覚める!
高木幸一×狐印が贈る王道ロマンティック・ファンタジー第3弾!
わははは、全部オマエが持ってくんかーい!
元々現代を舞台に青春恋愛小説をメインに書いてきた作者だけあって、ファンタジーでありながら年頃の男女らしい恋愛色を強く感じさせる作品だったのだけれど、最後の最後でこれ、挑戦的な設定で挑んできましたよね。このルガイアの境遇って恋愛小説ならどんと来い、なポディションなんですけれど、ハーレムものに親しんだ読者によっては拒否反応を示すものなのかもしれません。私は、非常にそそられましたけれどね。ガンガン攻めたアークは、肝の据わったいい男ですよ。ごちゃごちゃ抜かさず、惚れた女を振り向かせるために一心不乱に突き進める男というのは、やっぱりイイです。その代わり、と言いましょうか割を食ったのがリリアたち三人娘でもあるんですが。
紆余曲折あって、ついに男のために命賭けれるくらい惚れぬいてしまった自分を認め、それを踏まえてよしやったるぜー、と気合を入れなおしていたら、その男に突然大本命登場である。これってなかなか大ショックですよ。自分たちが夢中になってる男が、突然現れた女に夢中になってるわけですからね。しかも、若干振られ気味だしw
なんじゃそりゃー、となるところを状況の緊迫化と合わせて、ガンガン行こうぜ、と猪突して勢い良く前進していけるあたりが、リリアたちの良い所なのか、恋する乙女の恐ろしいところなのか、まあ明るい前向きさは気持ち的にも助かります。アークも後ろから足を引っ張られずに、むしろ背中を蹴飛ばされた感もあり、背後を気にせずルガイアの元に行けたのは幸いでもあり、これが青春恋愛小説ではなく冒険ファンタジーであった証左なのかもしれません。恋愛小説だと、もうちょっとドロドロ縺れた気もしますし。
しかし、この巻まで剣のシルエットと音声のみで人型を表さなかったルガイアがメインヒロイン掻っ攫っていくとはさすがに思わなかったなあ。話の流れ的に、心臓にかけらを埋め込まれたリリアがそれっぽかったですし、ルガイアは女性人格ということはわかっていたものの、打ち解けてるとは必ずしも言いがたかったですし、相棒でありながら呪いをかけてきた相手、という事でどこか警戒を置かなければならない相手、という印象がつきまとっていましたし。
まさか、アークの方がこれだけベタぼれだったとは思わなんだ。
そして、頑なだったルガイアがついに振り向いた途端、尋常でないくらい甘い雰囲気になってしまったのにはどっひゃーってなもんでした。あかん、つれない女性が全力で甘えだしたときの凶悪さはやはり並々ならぬものがあった!
一番の大問題だったリリアの心臓問題が拍子抜けするほどあっさり解決してしまったことからも、おそらく内容をかなり捲いて完結まで持って行ったのでしょうけれど、このくらいでまとめるのでよかったのかなあ。
ぶっちゃけ、ファンタジー要素は置いておいて、このキャラたちで真っ当に駆け引きしながら恋愛小説してくれたら、それはそれで読みたくもあるのですけれど。やはり、この作者さんはそっちの話で読みたいなあ。

シリーズ感想