神鎧猟機ブリガンド 3 (ダッシュエックス文庫)

【神鎧猟機ブリガンド 3】 榊一郎/柴乃櫂人 ダッシュエックス文庫

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『ブルー・オーシャンズ・ガーデン』の事件後、損傷を負った“ブレイバー”と大悟は修復と再調整に入っていた。一方、連志郎と“ブリガンド”も和晃を中心に『武器』の試作をするなど、対“悪魔憑き”の緊張感は高まっていた。そんな中、“悪魔憑き”が同時多発的に五体現れる。一対一の戦闘しか経験のない“ブリガンド”に対する、亜麻音たち“フォスファー”の次なる一手だった。“ブレイバー”と“ブリガンド”は共に出動し制圧に向かうが、混乱の中で効率的な動きが取れない。そして苛立つ連志郎たちの目の前で、悲劇が起きる。局面打開のため再び共闘を呼びかける大悟に、連志郎は―。鋼鉄の巨人が導く、ダークヒーローアクション、第3幕!
凄いな、フラグをちゃんと立たせてすら貰えずに退場させられてしまったぞ。あんまりあっさりしていたので、裏があるんじゃないかと勘ぐってしまうくらいに。
容赦無いといえば容赦無いんだけれど、盛り上げるだけ盛り上げて突き落とされるよりもダメージは少ないのかもしれない。連志郎ってあれでかなりメンタルが繊細であることが明らかになっているので、もし本格的に踏み込んできた段階でああなっていたら、ちょっと立ち直れないほどのダメージを食らっていたかもしれない。
何者も寄せ付けない鉄壁、を装っているようで大吾のヒーロー主義に対してムキになるところや全然冷酷に徹しきれてないところなど、何というか自分から他人を拒絶するほどの主体的な反応は示せてないんですよね。向こうから近づきたくなるようなキャラを振舞っているだけで。自分から突き放すことも拒絶することも出来かねるような、受動的な少年であるわけだ。
だから、紫織のささやかな不満やヤキモチの理由である、自分に対して彼が反応してくれない、興味を示してくれない、相手をしてくれない、というそれは、内気な少年の繊細な反応として見たら可愛いものなんですよね。紫織が考えているほど、連志郎は紫織のことをスルー出来ていないような気がするのです。敢えて見ないようにする、というのも意識している反応の一つと捉えるなら。
大吾の連志郎への馴れ馴れしさには、彼の「可愛げ」というものを無意識に把握しているからじゃないかなあ、という向きもあり……まあ、単に無神経、というところもあるんでしょうけれど。
いずれにしても、もうこの段階にまで至ってしまえば、単なる復讐者として復讐以外のすべてから背を向けて生きることは叶わないでしょう。ブレイバーとしての大吾の正義に共感を覚え、知り合いや友人が理不尽に死んでいくことに耐え切れず、敵を倒すためではなく守るために戦うことを選んだ時点で。
しかし、それだと単なるヒーローものになってしまうのも確かなんですよね。ダークヒーローものとしては、安易に世の正義と相容れてはいけないのである。そのための鍵となるのが、紫織の存在となってくるわけか。
彼を復讐しか考えない修羅の生き方から血の通った人間へと戻るための要だった存在が、彼を見守る者となっていた紫織だったのだけれど、彼女が再び「悪魔憑き」として世の中から排斥される存在になったとき、それも自分を庇って日常から、自分の前から消え去ろうとした時、彼が寄って立つ側はどちらなのか。
ヒーロー見参。しかし、それは正義のヒーローではなく、ただ一人のための英雄に。離れ行く彼女を引き止めるために、紫織の腕をつかみとる。あのラストシーンはなかなかに叙情的で、静かに盛り上がるシーンでした。いい具合に佳境に入ってきたんじゃないですかね。

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