うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。2 (HJ NOVELS)

【うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。2】 CHIROLU/景 HJ NOVELS

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訳有り魔族少女ラティナの保護者となって、早二年。可愛すぎるラティナとの生活も順風満帆な凄腕冒険者の青年デイルは、とある事情から実家のある故郷ティスロウへと帰省することになる。そこでデイルは、自分の故郷にラティナを連れて行くことにするのだが――
「デイル、デイルっ! 海、海っ、行ってもいいっ!?」
「落ち着けってラティナ」
――初めての長旅に、普段は大人しい娘も思わず大興奮!?

新たな出逢いや発見も満載な、大人気アットホームファンタジー第2幕!
毎ページ、ラティナカワイイ! ラティナ可愛い! を連呼されてもなお足りないくらいにラティナが可愛すぎて、どうしようもない。可愛いは正義などでは収まらない、これはもう「可愛いは摂理」のレベルである。
幼いラティナとの出会いから二年。あれから、少し大きくなったラティナはさらに賢く可愛らしく成長し、これはもう天使と呼んでいいんじゃね? 育ての親であるデイルは親バカを拗らせ続け、街の人々も愛らしさを増していくラティナを可愛がり、ラティナはその愛情を糧にしてさらに健気に頑張って成長していくという幸せスパイラル。
もうねー、可愛いのよ、ラティナが。
子供にとっての二年というのはやはり大きいのですね。まだまだちっちゃな女の子なんだけれど、ふとした瞬間に大人びた顔を見せたり、無邪気さの中にもしっかりとした聡さが根付いていたり。どんどん素敵なレディになっていってるわけですよ、もう可愛いなあ。
さて、今回そんなちょっと大きくなったラティナを連れて、デイルは故郷へと帰ることになる。ラティナの初お披露目となる里帰りだ。勿論、現代社会のように車や電車で気軽に帰れるわけがなく、片道一月以上のそれなりの旅となる。いつも、仕事の為に遠出するデイルを見送るばかりだったラティナの、初めての大好きなデイルとの旅行である。意外と体力的にもタフで、好奇心旺盛なラティナにとっては、まさに目眩くような体験の連続で、その楽しそうな様子の可愛いことかわいいこと。初めて見る景色、見たことのない街並み、デイルと一緒に覗いてまわる異国の商品が並ぶ露天、旅先で出会う人々。旅先からお世話になっている人や友達に送る手紙を書くのに、便箋が足りなくなるくらい書きたい事が山程ありすぎてる姿なんか、心の底からこのデイルとの旅行を楽しんでいて、もう目をキラキラさせてるんですよねー。なんて可愛いんだろう。
幸せそうなラティナの可愛さも素晴らしいんだけれど、そんなラティナをひたすら愛でるデイルもまた楽しそうで、思わず目を和ませてしまう。ラティナと出会う前のデイルは、どこか心をすり減らし感情を停止させ摩耗していく剣のようなヤバイ雰囲気を漂わせていたもので、非常に危なっかしい人品を連想させていたんですが、だからこそ彼は家族には恵まれていないんではないか、そうでなくても天涯孤独とかそういう境遇なのかなあ、と漠然と思っていたのですが、ちゃんと家族や身内となる一族の人たちが居たんですねえ。しかも、家族仲はむしろ普通よりも良好なようで、わりと定期的には帰郷してたようなのですが、だからこそそんなイイ家族や親族がいながら、あれだけデイルがちょっと危うい方に傾いていたというのは、深刻な状況だったんでしょうね。家族も、デイルの変化には危惧を抱いていたようですが、離れて住んでいるだけにメンタルケアとかできてなかったみたいですしね。
だから、あのタイミングでラティナを引き取ることになったのは、ラティナにとっての幸いだけではなく、デイルにとっても自他共認めるように、救いを得たターニングポイントだったんですなあ。

しかし、ラティナのスキルとか魔術とか関係なしの、籠絡力はもう尋常じゃないですね。関わる人関わる人、場合によっては人以外ですらも、ラティナの魅力にメロメロにされていく。
前回、ラティナのためならば魔王を倒すくらい楽勝だろう、と確信したものですけれど、今回読んでいるともう魔王討伐を通り越して、ラティナの為ならば世界だって征服できるんじゃないだろうか、というくらいにはラティナ教信者が勢力拡大してるんですよね。これまでは、まだ一つの街の中に留まっていただけに、その影響力は街一つに収まっていましたけれど、今回ラティナが街の外に出てしまったが為に、旅先にまでラティナの可愛さが感染拡大してしまってる次第。冗談じゃなく洒落にならない勢力が、幾つか陥落していたような!?
デイルの故郷ティスロウも、あれ話を聞く限り、単なる村落ではなくかなり特殊な勢力みたいですし。

この旅の中で、幾つかラティナの魔族の事情についての情報も得られたわけだけれど、この世界では「魔王」とは単体ではないのね。どうやら、ラティナの存在は魔族の中でもかなり特別みたいなんだけれど、単純に弱い狙われる立場、とも少し違っているようで……いずれ、彼女自身にも決断が求められる場面が訪れるのかなあ。
一方で、出自の事情とは別に、ラティナにとって女の子としての立場や考え方も成長を遂げているようで……、さてこの年齢の娘にそこまでの成熟を求めるのは間違っているのだろうけれど、彼女の歳相応とは言いがたい聡明さを思うと、周りが思っている以上に精神的に大人びている可能性もあるので……さて、いつまで彼女は自分が「愛娘」であることを保つことが出来るのだろう。このあたりも、興味深いところである。

1巻感想