できそこないの魔獣錬磨師 (富士見ファンタジア文庫)

【できそこないの魔獣錬磨師(モンスタートレーナー)】 見波タクミ/狐印 富士見ファンタジア文庫

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授かったモンスターの紋章によって優劣が決まる世界。モンスターを従え闘わせる『魔獣錬磨師』の育成学園『ベギオム』に通うレインは学園唯一のスライムトレーナー。周囲の嘲笑も気にせず、相棒のペムペムを信じ、誰よりも努力を重ねていた。そんなレインに固執する学年3位の美少女ドラゴントレーナーのエルニア。紋章と美貌を兼ね備えた完璧な彼女が底辺のレインにこだわるのは、過去の因縁が原因らしいが…!?最弱も最強も関係ない!勝利への執念が定められた運命に逆転劇をもたらす!!
なるほど、ポケモンっぽい……と、言っても自分、ポケモンやったことないので外から見た印象が似ている、と言うだけの事なのですが。
今はもう大人になってても、子供の頃からポケモンやってて今も親しんでいる、という人は珍しくないんでしょうねえ。自分の世代だと、ポケモンというと小学生が遊ぶものでわざわざ自分たちがやるもんじゃなかったからなあ。あ、勿論初代のゲームボーイ版の話ですよ? それ以降となると、もうさっぱりわからない!
とは言え、ポケモンがあれこれとゲットしたポケモンを入れ替えながら戦う、というくらいは知っている。対して、本作は一人につき1モンスターしか扱えない、と言う事なのでなかなか戦術の幅は広がらないんだろうなあ。一匹しか扱えないなら、そのモンスターの格でトレーナーの評価がある程度定まってしまう、というのも致し方ないのかと。
タイトルはできそこない、となっているけれど、単に世間的評価の低いスライムを扱っている、というだけで主人公のトレーナーとしての実力はすこぶる高い。努力し研鑽を積んで、単にスペックをあげるのではなく、自分の扱うモンスターの特徴をよく掴み、長所を取り上げ、戦いかたの幅を広げ、能力を開発し、と自分たちの限界を規定せず、自分たちを高め続ける姿勢は、ストイックですらある。最弱のスライムであることで上級モンスターを僻むでもなく、見返してやるという憤懣を蓄えているわけでもない。ただ、自分たちを高めることに一心不乱なのだ。
でも、実際を見ずに不当に低く評価されてしまうこと、最初から決められた枠内で物事を判断されてしまうことに対しては、やはり溜め込んでいるものがあるようで、時折激しく反発心を垣間見せる。

でもねえ、このレインって固定観念に対して憤ってみせるくせに、自分もやっぱり自分たちをバカにしている連中と同じく固定観念に縛られてるんですよね。エルニアたち女の子たちが自分に向ける感情に対して、まったく考慮もせず自分の観念に拘って一顧だにもしてあげないあの態度って、レインをバカにしていた連中と同根なんですよね。結局、同じ穴のムジナじゃないか、とちょっとがっかりしてしまった。
最弱のモンスターが最強のドラゴンを倒す、とはいっても、あくまで世間的評価ではジャイアントキリングに見えるだけで、実際の実力を発揮すれば勝てる、というくらいに普通にレインとペンペンが強いんですよねえ。それに、バトルみてるとわりと無駄な行動や攻撃が多いような。一手一手にすべて意味がある濃厚な戦術、というわけでもないですし。
エルニアも、なんか面倒くさいばかりで、その面倒臭さに面白みがあるタイプのヒロインじゃないですしねえ。対ドラゴン戦も、最初殺す気で来ていたはずなのに、戦い終わったあとにあんなに物分かりよくされてしまうと拍子抜け、というかなんというか。
どうも折々に触れて締まりがない気が抜けてしまう場面があって、もうちょっと起伏と締りのある展開が欲しかったかなあ、と。