異世界魔法は遅れてる! 5 (オーバーラップ文庫)

【異世界魔法は遅れてる! 5】 樋辻臥命/himesuz オーバーラップ文庫

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最強の現代魔術師 vs 最強の現代剣士!?

リリアナを救い、元の世界に戻る手がかりを探すため、サーディアス連合領に向かった水明一行。そこで水明は、幼なじみの朽葉初美(くちば・はつみ)を発見する。なぜ彼女がこの世界に召喚されているのか。声をかけるものの、彼女は水明のことをまったく覚えていないという。どうやら彼女は召喚時のショックで記憶を失っているらしい。水明は彼女の記憶を取り戻すため、接触の機会をうかがうことに。
一方、黎二たちもまた、勇者が使ったといわれる「伝説の武具」なるものを引き取りに帝国から旅立つことに。
その旅に同行しようと現れたのは、意外な人物で――!?
異世界魔法と現代魔術が交錯する異世界ファンタジー、第5巻!
初美の修めている剣術の流派名がまた凄いな!!
倶利伽羅陀羅尼幻影剣!!
いやでも、凄い山田風太郎的じゃないですか? 人間相手の剣術じゃなくて、伝奇モノらしい妖異魔物相手に練り上げられた剣法、というのがひと目でわかる名前じゃないですか。時代的に一周回ってそろそろかっこ良く思えるような時期に入ってるんじゃないだろうか。
倶利伽羅陀羅尼幻影剣!!
何気に語呂が良くて口当たりが心地よいので、ついつい口ずさんでしまう(笑
そんな魔界都市御用達な剣法を振るうのは、まさかの幼馴染枠である。異世界まで来てしまっている以上、一緒に召喚された黎二たち以外に同郷の現代人の参加はまずないだろうから、幼馴染枠の投入はこの作品ではないんだろうなあ、と思ってたらどうしてどうして。違う国の勇者として召喚された、という顛末で登場である。というか、こんなに各国ごとで勇者が召喚されてるのか。
ともあれこれ、現代とこっちの世界、この様子だとかなり繋がり深く絡んでくる可能性も出てきましたね。度々、水明の回想で語られる中に、同業と思われる女性の影もちらほら垣間見えるので、どうも初美で打ち止めとは思えないんですよねえ。敵方の方にも、現代での因縁の相手らしき人物も顔を覗かせてきましたし。
まだ水明君は気づいていないようだけれど、敵味方の構図がどうも単純な魔族VS人類サイドとは行かなくなってきたようで。面白いことに水明くん、このままだとどの陣営にも入れない、というか入ると角が立ってしまう様相になってきてるんですよね。角が立つ、というのはおかしいか。彼にとっての正義と良心と友情と親愛を全部蔑ろにせず、大切なものを守ろうとすると、もう自分がどの陣営にも属さない独立した勢力として立って全方位を敵に回さないといけない、ような感じに当人含めまだ誰も把握していない段階だけれど、流れとしてなってきてるんですよねえ。
黎二くんだけでもある意味決定的だったのに、そこから初美まで勇者として召喚されていた、となるとトドメに近い形になってるわけだ。こりゃもう、どうやったって水明くんが勇者を敵に回すことはあり得ない。一方で、薄々見えてきた構図からすると、勇者の味方をするわけにもどうにも行かなくなるような気配もあるわけで……。
黎二があっさりと勇者として魔族と戦おうと決めた過程。黎二の性格から水明も殆ど疑問らしい疑問を抱いていなかったようだけれど、初美やエリオットの例を見ると少なからず何らかの意思の誘導が行われてる、ということなんだろうか。

しかし、勇者陣営差し置いて、水明組の強化っぷりがまた凄いなあ。といっても、レフィールは最初からこのくらいだったので、主に水明に弟子入りしたフェルメニアが担っているんだけれど戦闘パートでのあの活躍は大したものである。リリアナは今のところ、まだリハビリ中で実戦は無理なのか。でも、彼女が加わったことで水明組のパーティーとしてのスタンスが出来上がったような気がする。立ち位置がちょうどみんなの妹分みたいなマスコット的なところに収まったので、レフィールとフェルメニアの間を繋ぐ感じにもなってるんですよね。プラス、もと工作員らしいあの諜報能力。フェルメニアが王様と繋がっているとは言え、事実上国家組織から離れて動いている彼らは情報収集面でどうしても一歩譲るというか、孤立しているというか、一般大衆にも届く程度のうわさ話を耳にするくらいしか出来なかったのが、リリアナのおかげで一気に情報面でも遅れをとらなくなったわけで。これは地味に大きい。

なかなか怒涛の展開のさなかで終わってしまったのだけれど、これは次巻に焦らされるなあ。

シリーズ感想