異世界修学旅行 (ガガガ文庫)

【異世界修学旅行】 岡本タクヤ/しらび ガガガ文庫

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新しい異文化コミュニケーションコメディ!

高校の修学旅行中だった沢木浩介をはじめとした2年1組の面々は、気づけば中世ファンタジー風の異世界へと辿り着いてしまう。どうやらこの世界では100年に1度くらい異世界から人間が漂着し、漂着者はその度に世界の危機を救ってくれるという言い伝えがあるという。
普段から接している漫画とゲームとラノベとゆとりある教育のおかげでその手の話をすんなり受け入れた2年1組は、サクっと世界を救ってやろうと決意する。
だが、世界を支配せんとしていた魔王は既に倒されたあと。彼らの活躍する隙間はもう残っていなかったのである。さらに次の日食の際に儀式を行えばもとの世界に帰れると知り、拍子抜け。
しかし、異なる文化と文化がぶつかるところでは、必ず摩擦が起こるもの。異世界中に散らばった少年少女たちが世界各地で様々なトラブルの種となっている。
浩介たちは異世界という修学旅行先の各地で思い思いにはしゃいで回る個性的すぎるクラスメートたちを全員回収し、無事にもとの世界に帰還することができるのか。

異世界から帰るまでが修学旅行の異文化コミュニケーションコメディ。
名前に覚えがあると思ったら、この作者さん、【僕の学園生活はまだ始まったばかりだ!】の人じゃないですか。活動実績は少ないながら、どれもいい仕事してるんですよね。本作も、流行りの異世界転移モノと思いきや、一味も二味も違ったものでした。せっかく異世界に来たものの、別に現地の内政に関与するでもなく、戦争に加担するわけでもなく、文化侵略するまでもなく文化色々浸透しているし、現代知識そのものも若干の遅れはあるものの、結構流布しているので、異世界まで来たはいいものの、特にやることもなく……観光だよ!観光!! というわけで、異世界に来ても王宮を旅館代わりに修学旅行を続ける面々。平和である。やったことといえば、現地人の姫様にお菓子を献じたくらいか。
まー、このお姫様、プリシラがぶっちゃけ全部持ってってますよね。プリシラ無双。なんでそんな、日本のバラエティ番組への造詣が深いんだよ! あらゆる物事をバラエティ番組のあれこれに当てはめて解釈するその知見たるや、生半のテレビっ子では太刀打ちできないバラエティという概念そのものへの習熟度である。どれだけバラエティ見尽くしたら、そこまでの見解を得られるのか。タモリ倶楽部のノリをそこまで深く理解仕切った異世界人は初めて見たわ!! 
しかし、前作もそうだったのだけれどこの人の描く学生は、端から端まで個性的すぎやしませんかね! まともな奴が一人もいない、一人もいない! キャラ立ちしていないと入学できないのか、というくらいにクラスメイトの一人一人がアレすぎる。文化祭の出し物を何にするか、のアンケートで出てきた案を並べるだけでクラスメイトがどんなやつかわかってしまう、というのも相当なんじゃないだろうか。
一方で、他のクラスメイトや圧倒的すぎるプリシラの存在感に押されて、肝心のメインとなる主人公とヒロインの影の薄さが逆に尋常でなかったりする。あんたら、主役じゃないんかい。前作で、個性的すぎるキャラたちを圧倒する勢いで全部持って行ってしまっていた存在感ありすぎな主人公とメインヒロインの反動なのだろうか。
プリシラに個性の無さを突っ込まれてた主人公はまだマシな方で、むしろ何も言及されていないメインの幼馴染ちゃんの方が存在感ないんですよね。
「行くー」
は私も可愛いと思ったが、思いましたが、うんうん。
まー、何しろ文学少女の豹変というか変身がインパクト強すぎたしなー。ただの知識バカではなく、マニアが高じ過ぎた挙句に行く所まで行っちゃってるあたり、いきなり旅先で颯爽と現れた時には突き抜けすぎてて笑ってしまったし。いやもう、そこまでやればもう何も言えないよ。凄いよ。バイタリティありすぎだよ。
ゲームマニアの豚くんも、凄いと言えば凄かった。言ってることはどうしようもないことのはずなのに、あの溢れかえる大人物感。むしろ、偉大な人物に思えてくる威風。いや、ほんと何にもしてないのにね。
異世界に転移してきた直後あたりは、主人公とヒロインの綾ちゃん、ちょっと甘酸っぱい雰囲気で旅先で関係が変わり始める幼馴染同士、みたいな予感が漂ってたのに、実際王宮から出てからはパタッとそのへんの空気感止まっちゃったんで、個性的なクラスメイトたちが今後も出てくるにしても、殆どプリシラ姫が持ってっちゃうのは仕方ないにしろ、メイン二人のラブコメはきちんとやってほしいなあ。
それにしても、まだ出てないクラスメイトが完全に出待ちのコント大会状態な件について。司会はもちろん、プリシラ姫で。彼女のさ○まやタモさんばりの司会トークセンスはもう既に大御所レベルやでぇ。

岡本タクヤ作品感想