天空監獄の魔術画廊 (3) (角川スニーカー文庫)

【天空監獄の魔術画廊 3】 永菜葉一/八坂ミナト 角川スニーカー文庫

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奇跡の島『天空の大監獄』―そこには魔王の血肉と、恐るべき魔術が込められた600枚以上の『魔王の絵画』が封じられている。天空の大監獄に閉じ込められ、看守の任を与えられたリオンはある日、監獄の次期副署長の座を賭けた『熾天の儀』にエントリーされてしまう。そんな中、リオンの前に若き看守ハイネが現れる。彼は『魔王の左手』の持ち主で、魔王の復活を目論むヴェルゼ教の騎士だった!妖しき監獄ファンタジー第3弾!

なるほどなあ。今回の話は、リオンと同じ画家であり魔王を継ぐ者、そしてリオンが成し得なかったもっとも素朴な善性を保持し続けた、リオンの対照ともいうべきハイネという少年の存在を以って、より深く主人公であるリオンの人間性を掘り下げていく話であったわけか。掘り下げる、というのは別の言い方をすると「解体」とも言える。元々画狂とは言え、普通のメンタリティの持ち主だったリオンが、いかにして魔王と呼ばれるに足る異常性を発露していったのか、その根源的な理由を捉えることでリオンとヒロインたちとの乖離を留め、手繰り寄せようという展開だったわけだが、その担い手がキリエでもレオナでもなく、淫乱シスターのアネットであった、というのが意外でもあり、一番成熟した大人である彼女にしか成し得なかったという意味では納得の人選でもあった。近年、シスターというと前提として血塗れだったり当たり前みたいに銃器を振り回してたり、思想的に頭おかしかったり、とまともな人材を見たことがなかったのだけれど、このアネットは調教開発されて多少発情しがちとはいえ、基本的には貞淑で勤勉な変態魔王崇拝者……あれ? やっぱりオカシイ人ダネ。まあ若干アレな部分はあるとしても、常識と包容力と、何より他者を救うことに真摯な信念を抱いている、という意味では実に真っ当な修道女なんですよね。隣人を正しく愛することの出来る聖職者、というべきか。
だからこそ、自分を犠牲にすることを厭わなかったのだろうけれど。自分を優先するのなら、リオンには魔王で居てもらった方が良かっただろうに、彼女の愛情とは与えられるものではなく、ただただ与えるものだったのだ。
尤も、この作品に出てくる主だった女性陣は、リオンのヒロインたちに限らず報われる事を望まずに愛を与え続ける健気な人たちなんですよね。下衆揃いの看守たちの中で、彼女たちが巡りあったその男たちが、そんな献身に足るだけの男だった、というのもあるんだろうけれど、何気にそういう愛情は重たいもので、その重みをしっかりと背負うだけの貫目を持つのは、男としても大仕事なんですけどねえ。
一人の男はそれを最期まで背負いきり、一人の少年はその重さに縛られてしまった。リオンはその点、恵まれているのでしょう。アネットにしても、レオナにしてもその重さをリオンに重さとして認識させない化粧の仕方が実にうまい。まあ、レオナはまだまだ未熟で、かなりコケかけている気がするけれど。その点、キリカは完全に天然ポンコツで最近もうふわふわ浮いちゃってるんじゃないか、というくらいマイウェイを行ってしまっているのが面白い。リオンが魔王から人間側に戻りかけてるのに、キリカと来たらあっけらかんと人外の領域へすっ飛んで行ってしまってるような。まったく自覚ないアタリ、なんともはやw
新加入のフィーネも、一悶着あったもののなんとか馴染んで……馴染んでしまったなあ、この変態集団にw
いや、元々この突っ張ってるのにちょっと強く当たると即座にビビって涙目になる防御力ゼロなところは完全に面白枠だったのに、弄られるのが高じてついにドMに目覚めてしまうとはw
妻(キリカ)・愛人(レオナ)・玩具(アネット)に雌豚(フィーネ)って、どんなヒロインラインナップだ。
ともあれ、リオンの魔王化は頼もしくはあってもちょっと危うさもあったので、アネットの救済によって欠落が産められたことでより男をあげてくれたのは良かったんだけれど、彼にはそのままヒロイン全員抱きかかえられるだけの魔王としての貫目は保ってほしいなあ。

さり気なく、巻を重ねるごとに表紙のキリカの衣装がランクアップしていっている気がする。あと、露出度もw

1巻 2巻感想