灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって (オーバーラップ文庫)

【灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって】 

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「目標はもう決まったわけだろ? それなのに、帰るってどういうこと?」
ハルヒロたちとトッキーズが発見した「黄昏世界」は新たな狩場として注目を集めていた。
ハルヒロたちも、以前は逃げるしかできなかった白い巨人を撃退し、安定した稼ぎを得られるまでになっていた。
しかし、あるクランの行動がきっかけで「黄昏世界」の危険度が跳ね上がってしまう。
そんななか、以前に加入した「暁連隊」のリーダーであるソウマと再会したハルヒロたちは、なし崩しに複数のクランが参加する、大規模なミッションに加わることになる。
精強な義勇兵たちと共に戦うことで、ハルヒロは何を見て、何を思うのか――

ララ&ノノのキャラクターが想像と違いすぎててひっくり返ったよ!! いや、十文字青キャラらしいといえばらしいんだけれど、もっとキューティーというかリリカルというか、そっち方向のちょこまかとフットワーク軽そうな可愛らしいコンビを思い描いていただけに、思わず悲鳴あげちゃいましたがな。
「黄昏世界」、とてもマトモに活動できそうにないフィールドだと思ってたのに、慣れるとこんなものなのか。それだけ、初見が危険だということでもあるんだろうけれど、結構ハルヒロたちも順応性高いよねえ。歩みは遅くても、着実に出来ることを増やしていっている気がする。
それでも、周りのハイレベルなクランたちが凄すぎるので、決して目立っていないのだけれど。でも、ハルヒロの意識というか心境が、そんなハイレベルのクランに対しても徐々に変わってきてるんですよね。昔は見上げるだけで遠い存在にしか感じていなかった彼らに対して、どうにかして近づけないか、と考えるようになってきている。おこがましいとか腰が引けたり凄すぎるとか圧倒されながらも、心の奥底、本音の本音では負けん気みたいなのが徐々ににじみ出てるんですよねえ。ハルヒロは常に現実を直視し続けて、自分を戒め続け、身の程を知り、浮ついた気持ちにならないように抑制し続けているのだけれど、それでもなお、心の奥底とは言えそういう気持ちが生まれ始めている、というのはそれだけ何かしらの手応えがあるんだろうなあ。モグゾーをはじめとする、多くの喪失、数えきれない失敗を経た上での成長だからこそ、重みを感じるのである。成長の実感に対して喜色よりも、ハルヒロのそれには哀切を感じてしまうんですよねえ。頑張ってる、君は頑張ってるよッ!
そして今回も十文字さんお得意の対大群戦闘である。このグリンガムシリーズでこれだけ大規模の雲霞のごとき敵群との戦闘は流石に初めてだったんじゃなかったか。ゲームの無双シリーズみたいな戦いは、それこそ一騎当千の連中でこそ形になるもので、モブキャラサイドであるハルヒロたちにとってこんな倒しても倒しても湧いてくるようなモンスターの津波は、それこそ押し流されるしかないもので、いやいやもういつ誰がやられるかわからない切羽詰まった撤退戦にハラハラしっぱなし。作者さんは、いきなしサクっと誰でも殺りかねない引き金の軽さがあるので、こういう時の緊張感はたまらんものがあるんですよね。一旦、クランのメンバーが散り散りになってしまった時なんぞ、本気で肝が冷えた。本当にピンチに陥った時には、強力なクランが援護に入ってくれたり、と運のよさもあるんだろうけれど、この引きの強さはハルヒロたちがそれだけ縁を繋いできた証拠とも言えるので運のよさだけじゃないんだよなあ。少なくとも、強キャラたちの目に入った時に助けてやろう、と思うだけの印象を、与えているわけなんだから。
決して器用な性格じゃないはずなんだけれど、ハルヒロってわりといろんな方面の人に気に入られてるんですよねえ。とはいえ、それは人間性だったりクランのリーダーとしてだったり、という方面であって信頼は寄せられても異性としては誰からもあんまり反応がなかったのだけれど、此処に来てついにミモリンというハルヒロに熱烈な好意を寄せてくれる女の子が登場……したわけですけれど、明らかになんかヤバイ系で捕食されそうだし、大女だしこれはあかんやつやー、と思っていたのですが、今回じっくり話してみると、す、凄くいい子じゃないですかー。一途で情熱的でしかし強引すぎずちゃんと乙女していて……。いい子なんですよー。でも、ハルヒロの気持ちもわかるんですよ。友達としては全然オッケーで一緒に遊んだりしても楽しいのだけれど、お付き合いするとなるとなんか違うなー、そういう気持ちにはなれないなー、というの。そんな気持ちをごまかさずきっぱりと告げるハルヒロは、やっぱり誠実なんですよねえ。クザクといい雰囲気を通り越してもうあれ付き合ってるんじゃないの? という素振りを見せるメリィに対して、ショックを受けてようやく自分の恋心に気づいて、それが既に終わってしまってる可能性が高いことにも連続して気づいてへこみまくってるハルヒロは、いわば攻め時だったはずでミモリンの告白と攻勢のタイミングは最良と言って良かったはずなんだけれど、ディフェンス固いなあこの主人公。ただ、ミモリンも粘って今後の可能性を繋いだのはよくやった、と言いたいんだけれど、ミモリン報われなさそうなんだよなあ。

ここにきて、ついに「元の世界」に戻る情報が現れるという激動の展開。そもそも、元の世界の記憶を持たない義勇兵たちにとっては、自分たちが異世界から来たという自覚すらないのだから、これはいきなり爆弾みたいな情報なんだよなあ。

シリーズ感想