ガーリー・エアフォース (3) (電撃文庫)

【ガーリー・エアフォース 3】 夏海公司/遠坂あさぎ 電撃文庫

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お待ちかね、艦載機のアニマが初登場!米軍所属で明るく気さく、だけどどこか謎めいたスーパーホーネットのアニマ、ライノがグリペンたちの前に現れる!
そんな彼女も加えて、ついにザイへの反攻作戦が発動する。東シナ海洋上の空母ジェラルド・R・フォードより発艦、目指すは大陸への足がかり、上海奪還!
「ではお先に」ファントムは今日もクールにテイクオフ。「撃墜数勝負ね!」イーグルは今日も無邪気に士気軒昂。
「慧、行こう」そしてグリペンは慧の手を携えて、いざ蒼穹の戦場へ!
さあさあ、どんどんきな臭くなってきましたよ。国同士の国際関係も、ザイの正体と人間の関係についても。
こう、何を信じていいのかわからない状況になってくると、腹に一物抱えているファントムが逆に頼もしくなってくるんですよね。天真爛漫なイーグルにしても、無垢なグリペンにしても、いい意味でも悪い意味でも純粋で彼女のたちの場合、それが人間味に通じているのと同時にアニマとしての本能に無造作に親しいとも言えるのである。特に、グリペンは今回の話を見ていると、彼女自身理解しきれていない本能の部分で、ザイの真実を把握している節がある。彼女はその「真実」を人類の側の自分に言語化して持ってこれずに、ただあるがままそこに置いてしまっている感じなんですよね。彼女の無垢さは、その状態をあるがままに受け止めている、というべきか。多分、イーグルもあの性格からして対応は似たようなものだと思うのだけれど、ファントムに関しては、あの捻くれつつも戦闘機として人類側の戦力のアニマとしての自分に忠実であり、人格として理知に重きを置いている彼女なら、もしその自分の中の「真実」に気づいた場合、そのまま置物にしておくことが出来ない性格だと思うんですよね。ファントムは、色んな意味であれ、人間寄りなんですよ。だからこそ、真実の探求においては慧の相棒足りえるわけだ。ファントムが自分の搭乗者として慧を欲しているのも、彼女自身が口にしている理由には実際は留まらないんじゃなかろうか。彼女自身の自覚の有無はわからないけれど。勿論、ごくごくシンプルに、慧という人間のもたらす効果じゃなく、彼自身に対する興味や関心、秘めやかな好意からくる彼を独占するグリペンへの嫉妬や羨ましさがあるのはあるんだろうけれど。
いずれにしても、こうしてみると日本のアニマたちは複雑な内面を抱えていることがよくわかる。ややこしいファントムに限らず、グリペンやイーグルだって自然に芽生えたものを今までずっと培ってきたわけだ。その点において、ライノと一体どれだけの差があったのか。
アメリカのアニマの扱い方が一体どれほどのものだったのか、触りくらいのレポートだけでしかわからないのだけれど、あちらのアニマは記号として扱われ、徹底してそう振る舞わなければならなかったんだろうなあ。日本側のアニマへの態度だって、慧が来るまでの様子を見ていると決して良いものではなかったと思うんだけれど、その点については八代さんの見識によるものが大きかったのだろう。彼がどうして、こうも多くのアニマを生み出せたのか。ライノへのアメリカの待遇と八代さんの姿勢の差は、何気にアニマの秘密に直結している気がするんだが、どうだろう。ここにきて、対比するようにこういう展開を持ってきた上で、ライノの顛末ですもんね。
正直言って、一個人にはどうにも出来ない国家間の駆け引きなんてものは、その綱引きの上に乗っかった上でそこで出来る僅かな範囲の中でどうにかするしかないわけで、さらに何の権限もない一般人の延長にすぎない慧に出来ることなんて、本当に微小にすぎないんですよね。まだ成人もしていない一人の少年に負わせるには過酷すぎる状況ではあると思うんだけれど、国同士のパワーゲームも未知との衝突もそんな矮小な事実は欠片も考慮してくれないわけで、このへんのそっけない冷徹さは何気に好みなんだよなあ。
幼馴染の明華への、あのそっけなさすぎる冷徹な物語上の扱いにも、ゾクゾクさせられますけれどw 殆ど彼女の存在って、日常側における嫁も同然なんですけどねえ。嫁だからこそ、旦那の仕事に口を出せないのかw

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