イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章 (GA文庫)
イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章 (GA文庫)

【イレギュラーズ・リベリオン 1.王者の紋章】 尾地雫/おちゃう GA文庫

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超自然の力を操る紋章騎士の養成学校――マーテリア騎士学院。そこに歴代最高成績で入学し、最強部隊で活躍していたハンティス=ハーミリオン。ところが、
「せんぱい、起きてくださいよぉ……」
「……なんでそんなに俺に構うわけ?」
今は落第生としてドジっ子のマロンを筆頭に、問題児ばかりが揃う落ちこぼれ部隊の隊長となっていた。しかしある日、学院を揺るがす事件が勃発し、ハンティスの前に忌まわしい過去の因縁が再び姿を現す。
「俺はもう逃げないって決めたんだ」
元エリートと落ちこぼれたちの反撃が、いま始まる!
なるほど、才能のきらめきはあるけれどそれぞれ大きな欠点がある落ちこぼれたち。それに対して、かつて歴代最強と謳われた天才たちでありながら、大きな挫折を経験して停滞してしまったエリートたち。それぞれ別枠で一つの物語を形成出来そうなチームを思い切って一緒にしてみるとこうなるのか。実に優等生的な内容でこうすれば盛り上がる、こうすれば面白くなる、という定型パターンを丁寧に踏襲しているんだけれど、上辺だけなぞるのでは決して出てこないキャラクターの熱量がちゃんとノッてるんですよね。残念ながら落ちこぼれ組はそれほどでもないのだけれど、大きな傷みを抱え込んでいる主人公たちエリート組は、抱え込んだものの重さとそれを振り払おうと足掻く必死さが熱量となり、厚みとなり、キャラクターの息遣いに力が宿ってる。だからこそ、彼らの走っていく後にちゃんと実のある物語が形成されていってるのではないでしょうか。キャラがこうして流れに乗って動いてくれてる作品は、その流れをうまく維持できればどんどん伸びていきますからね。その意味でも先は楽しみな作品なのですが、如何せんちょっとまとめすぎたかなあ。
まず現在の落ちこぼれ部隊第29部隊の他の面々が見ててイラッとするタイプばっかりであんまり魅力ないんですよね。彼らが落ちこぼれている理由って、不遇とか力の使い方が間違ってるとかそういうのじゃなくて、本人たちが好き勝手してるだけで真剣にやるべきことをやってない、という面が大きいんですよ。ちゃんと頑張ってるのに報われない子はそりゃ応援したくなりますけれど、この子らは自業自得の側面が大きいからなあ。むしろ、かつてのイレギュラーズの方がエリートで天才たちの集まりでありながら、みんな努力家でひたむきでお互いを思いやり足りない部分を支えあい、と人格面でも優れていてついつい肩入れしたくなるようなチームだっただけに、こう対比してしまうと尚更に、うーん……と。
そのイレギュラーズでも、もうちっとお互いの距離感やどう思い合っているのかを想像できるエピソードが多くあったら、それが喪われていく時の悲劇性にも感情が乗ったのですけれど、特に隊長のリースがどういう人物だったのか、人となりや考え方。表面的にはともかく、中身をもう一味実感できる要素が足りなかった気がします。彼が、仲間を一人ひとりどう思っていたのか、についても。
残念ながら、今後彼については掘り下げられていく機会もなさそうで、このままものすごい勢いで過去の人になっていきそうですし。
ともあれ、一度壊れてしまったものの一部でももう一度繋がることが出来、今の仲間たちに加えて此処からが再びの、過去を一つ乗り越えたイレギュラーズの再出発。こっからが本番なのでしょう、物語としても。
あれだけ直球で告白しながら、シスリーの横槍でひどいことになってしまったハンティスは可哀想だと思いますけれど、いやそこでバタつかずに粘りなさいよ。告白したんだから、サヤ一筋でいいじゃない。頑張れよw
個人的には00部隊のアルレナとムスリアの二人組の関係の方が気になるなあ。