メイキュー! (1) ダンジョン科がある高校って本当ですか (角川スニーカー文庫)

【メイキュー! 1.ダンジョン科がある高校って本当ですか】 森崎亮人/希望つばめ 角川スニーカー文庫


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世界で唯一ダンジョン科のある迷宮学園に入学したゲーマーの赤坂怜也。しかし彼が出会った加藤椎奈は、「合法的に刀を振り回すために入学した」辻斬り志望の女子だった!椎奈を筆頭に物理殴打系新人アイドルや、猶予期間満喫中のエリートなど個性豊か(すぎる)仲間に振り回されつつ、夢にまで見たリアル迷宮攻略に挑む怜也だが、職業選択の段階で術師になる夢を絶たれてしまい!?世界一キボウとキケンの詰まった授業開始!
ううーん。なんだろう、このスケールの小ささは。他のダンジョンものに比べて、本作のダンジョンって謎の技術がふんだんに使われているとは言っても、どうも手作り感が漂ってるんですよね。本物の遊園地のアトラクションで散々遊んだ後で、いきなり高校の学園祭のお化け屋敷とかアスレチックアトラクションとかに放り込まれても、それが幾らよく出来てたって「あ、うん、よく出来てるね」と感動とか興奮とかは無縁な感じになっちゃいますよね。そんな感じ。
だって、あの術などの発動形式とか当たり判定とか、凄まじく原始的じゃないですか? なんかこう、発動している事にしよう、当たった事にしよう、という空虚な感覚? しかも、技術の上達や工夫でうまくなる余地がないような感じですし。
ダンジョン自体も上限が既に決まっている上に、つくり手がダンジョンに反映させているイメージが凄くショボい感じがして……使われている技術も未来的なわりに、全体に風雲たけし城の延長戦上にあるみたいな使い方だし。もう全体的になんかショボいんですよねえ。ダンジョンものにあるワクワク感、未知に対するドキドキ感がさっぱり感じられない。
こんな遊園地のアトラクションみたいなダンジョンに三年かけて挑んで、ほんとなんか得るものがあるんだろうか。作中でもこの学校を目指すのは物好きばかりで、世間的には価値が疑問視されてる、みたいな話があるけれど、読んでて自分も思わず同感、と思ってしまった。仲間と協力して、考え努力して何かを成し遂げる、というのは尊い経験だと思うけれど、その対象というにはこのダンジョン、素人の手作り感が満載で、こんなショボいダンジョンでええんかい? と思っちゃったのでした。
だいたいクリア賞金の10億円だって、一人ひとりにくれるんじゃなくてパーティーの人数で割らないといけないとか、貰えても2億円くらいじゃないですか。いや、大金ですよ。生涯賃金に親しい大金ですよ? 人生が変わる金額です。でも、宝くじで当たる程度とか、成功を収めた人なら普通に稼げる金額、と思えば、世界で唯一のダンジョンクリアの報酬としてはショボいんじゃね? と思っちゃうんですよね。
あと、全体把握し戦況や味方の状態など細かな部分を全部掌握して指揮しなきゃいけないコマンダーが、前衛の戦士がやるのが前提とか、ちょっと理解が及ばなかった部分なんですけど……。え? これ、敵とガシガシぶつかりながら把握して指揮するのって、無茶ぶりなんじゃね? と思いながら見てたんですけれど、このダンジョンだと戦士がやるものらしくて……はぁ、そうなんだ。
キャラクターとかは悪くはないと思うんですけれど、生き物が斬りたいから、というヤバイ志望動機で登場シーンを掻っ攫った椎奈からして、あんまり突飛なキャラじゃないし、アイドルの子も色々と撲殺とか属性をつけはじめているけれど、全体的に地味というかなんというか。登場人物同士の交流、人間関係、それぞれの思惑や個性の衝突、というところを蔑ろにせず重視はしていると思うんですけれど、ビリビリ来るような魂や意思のぶつかり合いや、共感って感じでもないですしねえ。
ともかく、ワクワク感、ゾクゾクするもの、ドキドキが自分の中でなかったのは、ウィークポイントかなあ。