雛菊こころのブレイクタイム1 (講談社ラノベ文庫)

【雛菊こころのブレイクタイム 1】 ひなた華月/笹森トモエ 講談社ラノベ文庫

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Kindle B☆W

伊莉也は実家の喫茶店に現れた美少女に思いを馳せていたが、再び会う事も叶わずにいた。進学した高校では勉学に追われ友人作りに乗り遅れたりと、少々ブルーな毎日…。そんな時、生徒の悩みを聞いてくれる“お雛様”の噂を耳にする。その人物こそ、伊莉也が思い焦がれていた少女・雛菊こころだったのだ。
不思議な縁から相談事にやってきた生徒にコーヒーを入れる役目を仰せ付かった伊莉也。バレー部の部長や恋に悩む上級生、こころのライバルや生徒会長まで!様々な相談事をこころはちょっとした心理学を用いて解決していく。しかし、こころが相談室を開いた理由にはある過去が関係していた!?

こころさん、本格的に心理学を学んだというわけでもなく、あらすじの通り本当にちょっとした心理学の応用でのお悩み相談で、持ち込まれる悩みも深刻な事件性のあるものではなく、学生生活の中で生じる少年少女たちの行き詰まり、という等身大のものなんですが、変に背伸びしないことで「お雛様」と呼ばれる雛菊こころをハジメとして、お悩み相談室の面々に特別感を持たせずに年頃の子どもたちの奔走を描けてたんじゃないでしょうか。と、言ってもこころさんの洞察力は大人顔負けなのですけれど、小難しいことを言わず自分のできる範囲にとどめているのは好感が持てます。逆に言うと、複雑怪奇な因果が絡まった事件や人間の暗黒面に踏み込むような、悪路を踏破できるようなパワーや技術があるかは怪しい所なのですけれど、人の悩みを解決する話なのに底が浅いという印象を持たせないラインを維持して、さわやかな青春モノに仕立てているあたりに、作者の絶妙なバランス感覚が伺えます。最終話で、これまでこころさんを訪れてきた相談者たちが自然に手を貸してくれる展開など、人と人との繋がりに関してなかなか考えさせてくれましたし。あれって、安易とも取れるんだけれど、人との縁というのはそんな難しく簡単に繋がるもので、それは案外と強固だったり親身だったり運命的だったりするものなんだとすると、友達が出来ないと軽く悩んでいた主人公の伊莉也をはじめ、人間関係で頭を悩ませていた当の相談者たちのことも照らしあわせて考えると、なんだか面白いものだなあ、と思うわけです。
まあ、友達できないとか悩んでるこの主人公、ちゃっかりクラスメイトの女の子と仲良くなって一緒にお昼食べてたり、こころさんの所に積極的に居座ったりとその行動力見ると、友達できないとか信じられない人間力なんですけどね!!
そして、他人のことには色々と気が回るくせに、お互いに関してはさっぱり見えていない主人公とこころさんのメインの二人。これだけ一生懸命サインを出し合っているくせに、それをお互い綺麗にスルーしまくっている、というのも微苦笑してしまうのだけれど、これも若さかw