VRMMOをカネの力で無双する6 (HJ文庫)

【VRMMOをカネの力で無双する 6】 鰤/牙/桑島黎音 HJ文庫

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ナロファン存続の危機に、全プレイヤーが立ち上がる!
パチロー事件がいち段落つき、落ち着きを見せ始めたプレイヤーたちの目に飛び込んできたのは、我らが石蕗一朗が逮捕されたというニュースだった。
再び大混乱の渦にぶち込まれたナロファンだが、同時にその裏ではゲーム自体の存続すら危ぶまれる事件が進行していて――。
全てのゲーマーたちよ立ち上がれ! 大人気課金バトルファンタジー第6巻!!
つ、ついにアイリスまで金の力で大暴れを!?(物理)
いやいや、御曹司や暗黒落ち桜子さんと違って、資金力に物を言わせての課金地獄というカネの力無双じゃなくて、アイリスの場合は金の力(物理)だったんだが……物理ってなんだよ(笑
というわけで、この御曹司が活躍……好き勝手する【VRMMOをカネの力で無双する】もこれにて最終巻。ウェブ版の方も本編はここで締めてるのか。まだまだ他にも後日談や外伝があるみたいなので、あとでチェックするつもりです。アイリスの「邪神」の異名はまだ出てきてませんしねえ。既に、その萌芽というか、もはや凶器に等しい舌鋒の鋭さは垣間見えているのですけれど。
そのアイリスと、御曹司が今回初のリアルでの対面を果たすことになるのですけれど……、御曹司、ゲームでも素の姿を晒しているので、アイリスに限らず全然初めましてな感じはしないんですよねw 唯一楽しみだったのは、キルシュヴァッサー卿の中の人である桜子さんとのリアル対面だったのですが、あれやこれやでトラブル続きで結局ちゃんとしたオフ会出来なかったからなあ。それ以前に、もうこの段階ではキルシュヴァッサー卿の中の人が女性(しかも結構美人)という事が知れ渡ってしまっていたので、サプライズイベントのインパクトとしては薄れてしまっていたのですが。
しかし、VRMMOの中に限らず、アイリスのあの行動力には瞠目するものがある。御曹司逮捕の一報に一番真っ先に駆けつけてきたのは彼女だったわけですし、御曹司が保釈されたあとアイリスを連れて回ったのも決して気まぐれだけじゃあないと思うんですよね。尤も、彼女の行動力は御曹司の予想を超えて爆裂していくわけですけれど。御曹司がVRMMOの何を面白がっていたのか、なかなか余人にはわかりにくい部分があったと思うんですけれど、なるほど彼にとっての予想の範囲を安々と逸脱して楽しいイベントをぶちあげていくナロファンの参加者と「遊ぶ」のが本当に楽しかったんだなあ。今回の「御曹司が出し抜かれた一件」は、それを思いの外じんわりと実感させる形で教えてくれたように思う。何もかも思い通りになってしまう世界で、だからこそ世界を自分の思う通りにしないように振る舞う御曹司にとって、世界は不自由であると同時に退屈で、世界と自分を切り離すということは孤独を自ら受け入れるようなものだから、桜子さんが言うところの寂しがり屋な御曹司は随分とつまらない思いをしていたんでしょうね。桜子さんは、その慰めになっていたと思うんだけれど、やっぱり彼女だけだと寂しかったんでしょう。そんな中、遊んでみたVRMMOはやっぱり思い通りに何でも出来る世界だったけれど、その中には彼の思惑を乗り越えて自由に振る舞う儘ならない、しかし自分と笑って遊んでくれる、遠慮無く怒って突っかかってくる連中が居て、一緒に遊んでくれていたわけだ。そりゃ、楽しかっただろう。そんな無二の遊び場に、余計な茶々を入れられたら、そりゃあ怒る。御曹司激怒する、のも当然だ。しかも、その相手と来たら結局予想の範囲内でしか動かず、しかもその範疇における一番最低でつまらない下卑たる退屈なやり口でイラんことをしてきたわけだか。しかも桜子さんを泣かせたわけですから。万死に値する。
本当なら、もっとこのおっさん、けちょんけちょんに死滅させられていたんじゃなかろうか、と思うんだけれど、最低で最悪でクソツマラナイ状況にして結末だったものを、アイリスをはじめとするナロファンのゲーマや運営スタッフが、一丸となって御曹司の手のひらの上から飛び出して、自分たちで一矢報いて最悪の事態を回避してみせたのですから、一番いいところは御曹司が持って行ったとはいえ、御曹司からするとやっぱり結構イイトコロ持ってかれた、という気分だったんじゃないでしょうか。それは、嬉しい悔しさであるわけで……そんな楽しい遊び場から去らなければならないのは変わらなかったにしろ、彼なりにかっこ良く去れたのはナロファンのみんなのお陰だったんですよねえ。
今回の一連の事態の中心に居たのはやっぱり御曹司だったのですけれど、坂道を転がり落ちていくように悪化する状況の中で、一番奮闘し、声を上げ、走り回った、主人公だったのはアイリスだったような気がします。主役交代じゃないけれど、一番頑張ってたのは彼女だもんなあ……。いや、御曹司は特に肩肘張って頑張らないので、いつもアイリスの方が何につけても頑張ってた気がしますが。
それでも、彼女あいりがカネの力(物理)を振るって、その舌鋒とともに暴れまわる姿は一番痛快でしたよ。さすが、さすがアイリス!
冷静に考えると、アイリス全然何にも当事者でも何でもなかった気がしないでもないのですけれど、どうしてこの娘こんなに駆けずり回ってるのか、と思う部分も後になってみると無いではなかったのですけれど、こうやって首を突っ込んじゃうあたり、十分主人公の資質ありですよ。
彼女メインの話が書籍化しても、多分買うなあ。絶対、面白いでしょうから。まあそれ以前にウェブ連載分、呼んじゃうと思いますけどね。

これで完結というのが残念ですけれど、いやはや楽しい楽しい作品でした。あー、面白かった♪

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