乙女な王子と魔獣騎士 (2) (電撃文庫)

【乙女な王子と魔獣騎士 2】 柊遊馬/久杉トク 電撃文庫

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殺し合う宿命にあった男装の王女と魔獣、それはいつしか"愛"へと変わった――

王を襲う暗殺者を撃退した功労者として、予期せずかつての嫌われ者の立場から、憧れの騎士生として英雄視されるようになってしまったジュダ。
慣れない周囲の反応に居心地の悪さを覚える中、男装王女ラウディの元フィアンセ・ソフィーニアが、騎士学校を訪れた。その目的は……ラウディ王子との復縁。決して知られてはならない、ラウディが女性であるという秘密を守るべく、ジュダは彼女の騎士として奔走する。だが、それをあざ笑うかのように、魔の手がラウディに迫り――。
乙女な王子がガチで乙女すぎるので困るなあ、これ(笑
男装女子としては、それも性別を偽って男で通している娘としてはもっと男勝りだったり勝ち気だったり活発だったり、性別の違和感をごまかせるようなパワーがあって然るべきなんだろうけれど、ラウディって大人しくはないし頑固で正義感が強いところはあるんだけれど、基本的にすごく普通の女の子なんですよね。
王族として男をやりぬく覚悟や、視野の広さ見識などちゃんと国を差配する器は見せれくれているんですけどね、でも女の子なんだよなあ。どうして、誰にもバレないのか不思議なくらい。
それはまあ、実のところ全然構わない。男装王子と騎士との道ならぬ恋、というのは別に王子が男っぽい必要はさっぱりないからね。必要なのは、秘密の共有。男だと周囲にバラせない不自由さ。今回は、他国からラウディの元婚約者がやってきて、王子に復縁を迫る展開なのだからこの不自由さが物語のエッセンスとして効いてくることになる。とは言え、ソフィーニアがラウディの秘密に迫ってしまい危うくバレる、というドタバタした展開もなかったので、不自由さのエッセンスを果たして活かしきれていたのか、というところはあるんですけれどね。ラウディを嫉妬させるため、とは言えソフィーとジュダの絡みが多かったのはそれでいいのかソフィーと思うところでしたし。ぶっちゃけ、ラウディとジュダの関係って外からの刺激が必要なほど停滞していたわけじゃないですからね。もう、一巻の時点でかなり双方向の青信号でしたし。それでも、ラウディが秘めた想いを秘めたままにし切れなくなった、という点でこの刺激策は有効だったのだろうか。
面白いのはこの二人の関係、ラウディ側だけが秘密を有しているのではなくて、ジュダも人間ではない上にラウディに物理的に触れられない、という大きな秘密を抱えているわけで、道ならぬ恋としては身分差以上に本来天敵同士という関係の方が実は大きい要素なんですよねえ。ラウディとしては、自分が男として国を継がなければならない、という覚悟があるからこそ想いをジュダに伝えながらもそれを成就させるつもりはないのだけれど、果たしてジュダの秘密を知った時にどうなるのか。どうもこの二人って、自分の側の障害に踏み込む足を留めているけれど、相手側の抱える障害についてはあんまり拘らなさそうなんだよなあ。いや、ジュダはラウディと触れ合えないという物理的障害があるんで、これに関しては打開策が今のところ全然ないのだけれど。
でも、これについても王様あたりなんか知ってそうなのよね。王が殺したというジュダの母と王の関係も、どうも一筋縄ではいかないものがあるっぽいし。

しかし、ソフィーは彼女本人のせいじゃないにしても、あれだけの騒動を巻き起こしてしまった以上、外交失点はとんでもない事になってそうで、帰国したらかなり肩身の狭い思いをするんじゃないだろうか。結局、ソフィーリアサイドは事件の解決に何らの寄与も出来なかったわけですし、事件の黒幕はあれだったわけですし。
可哀想に、としか言えないんですけれど。

1巻感想